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一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー > 鎌田 恭幸氏

投資の本質は「出会いを創造するもの」である
投資信託「結い2101」を“つながり”を生む場に

鎌倉投信株式会社鎌田 恭幸

Profileプロフィール

鎌倉投信株式会社 代表取締役社長

1965年島根県生まれ。
1988年、東京都立大学法学部卒業。日系・外資系信託銀行を通じて30年以上にわたり資産運用業務に携わる。
株式等の運用、運用商品の企画、年金等の機関投資家営業等を経て、 外資系信託銀行の代表取締役副社長を務める。
2008年11月に鎌倉投信株式会社を設立。
社長として事業全体を統括する。

鎌倉の日本家屋を拠点に、投資信託「結い2101」の運用と販売を事業の柱に据える鎌倉投信。
代表取締役社長の鎌田恭幸氏は、投資とは「いろいろな出会いを創造するものである」と語ります。
「人・共生・匠」というテーマのもと、ローンチから10年で口座数2万人を突破するなど着実な成長を続けている「結い2101」を手掛ける鎌倉投信のブランディングや経営理念とは、はたしてどのようなものなのか。
鎌田社長にこれまでの歩みや「結い2101」についてお話を伺いました。

“いい会社”とは社会に喜びや幸せを提供できる会社

Q. 本日は、投資信託「結い2101」を手掛けられている鎌倉投信について、設立から現在までの経緯や企業コンセプト、強みや課題などさまざまな角度からお伺いできればと思います。
まずは理解を深めるため、鎌田社長のご経歴から教えてください。
出身は島根県の大田市で、大学入学をきっかけに上京しました。
卒業後は日系の信託銀行に入社し、最初は証券関係の部署に、その後、年金資金の運用部門に配属されました。
キャリアとしては、ずっと投資や資産運用に関わる業務周辺で仕事をしてきたわけですね。
その後は、外資系の資産運用会社に転職し、9年間在籍したのち、鎌倉投信を立ち上げたという流れです。
振り返ると、金融という業種の中でも資産運用や投資という分野にかなり偏ってキャリアを積んできた、ということになりますね。
Q. 独立して鎌倉投信を立ち上げたきっかけを教えてください。
外資系の運用会社を離れたときは、独立して運用会社を立ち上げようという想いがあったわけではないんです。ただ、金融の世界は、当時、「世の中の役に立つ」というより「自分たちがどういうふうに利益を上げていくか」という指向性が強い業界でしたので、自分のマインドセットとは違うな、と思い、残っていた大きなプロジェクトを最後に辞めようと決めました。

もともと草の根の社会貢献のようなものに関心があったので、たとえばNPOやNGOなどに関わることができたらという漠然とした想いで会社を離れたんです。ただ、当時42歳でしたので、まったく畑違いの分野にゼロから関わるのは現実的ではない。
そう考えて、世の中の役に立とうとしている人や会社、もしくはいろいろな組織に対して金融の枠組みを通じて応援できることがあれば今までの経験も活かされると思い、前職の同僚に「本当に社会の役に立つ金融の形を目指して会社を起こしませんか」と声をかけたんです。
その後、私を含めて4人でいろいろディスカッションして、今の鎌倉投信の枠組みや骨子が見えてきたので、スタートしよう、と会社を立ち上げた次第です。

会社を辞めてから鎌倉投信を立ち上げるまで、10ヶ月のブランクがありました。これは、創業メンバーの4人で会社のコンセプトを作ることに注力していた時期ですね。経営思想や理念、事業戦略のようなものについて4人で議論していました。
Q. 「社会を良くしよう」「いい会社に投資する」などの方向性や理念は、立ち上げ前の10ヶ月の初期から決めていたのでしょうか?
それともディスカッションを経て生まれたのでしょうか?
「世の中を良くする金融の枠組みを作っていこう」というベースは、比較的初めのころからあったように思います。それをどういうふうに実現していくかを考えたとき、より善いお金の循環を作っていくことだと思ったんです。
私たちはずっと投資に関わる仕事をしていたので、世の中を良くできるような会社にお金を循環させていく仕組みがいいね、と、方向性が徐々に見えてきました。今で言うESGやSDGsにもつながると思いますが、社会的に意義のあるお金の循環を作っていこう、ということを考えていました。

では、どういうふうに、どういう視点で、どういう企業を具体的に選んでいくのか。それを考える際に非常に参考になったのが、法政大学大学院で 教壇に立っておられた坂本光司先生の著書「日本でいちばん大切にしたい会社」でした。
読んで「本当に社会から愛され、社員から愛されるいい会社というのはこんなにもたくさんあるんだな」という気づきを得られたんです。
利益を上げることを目的とするのではなく、社会に喜びや幸せを提供していける会社が本当の意味でいい会社なのではないか、と教わって、そこから自分たちなりの投資の判断軸を練り上げていきました。
Q. 本社所在地や「鎌倉投信」という名前はどのように決められたのでしょう?
よく「なぜ鎌倉で、古い日本家屋を拠点にしているんですか?」と聞かれますが、一言でいうと、自分たちの立ち位置を明確に示したかったんです。
鎌倉は自然も伝統文化もある一方、日本で初めて環境保護運動が育ったり、武家社会を作ったりするような革新的な土地柄。古くからあるものを大切にしながら新しいものを創造していく金融を目指すならば、それを発信する拠点は、東京でも駅前のビルでもないだろう、と。そのうえで、みんなが通える場所であることを考慮し、鎌倉を選びました。

拠点の家屋はもうすぐ100年になるんです。100年続くということはものすごく意味があると思っていて、まずモノが良くなければいけませんし、周りとの調和バランスも大事です。
何よりも、住む人の想いがつながっていないと100年は持ちません。私たちが運用している「結い2101」も、100年越えて続く投資信託にしたいと思っているので、それを発信する拠点もそういう考えと親和性のある場所にしようと、歴史や日本の良さを感じられる日本家屋にしたんです。

投資は“出会い”を創造するもの

Q. 事業の軸となる投資信託「結い2101」について、成り立ちや内容を教えてください。
「結い」は「みんなで力を合わせる」ことで、「2101」は西暦2101年を表しています。つまり、次の22世紀につながる価値をたくさんの人と共に作っていきたい……そんな想いが込められた投資信託です。

「結い」という名前にもつながるのですが、鎌倉投信の志、いわゆる経営理念や企業理念の根本精神にあるのが「つながりを生む」という考え方なんです。いろんな人がいろんな話をしながら、つながり、広がりを生んでいく……そういう場を創造できるような運用会社でありたいというのが、鎌倉投資の根本精神。

「結い2101」も、この「つながり」が生まれてくるような価値をみんなと共に創造するような、そうした理念に則った金融商品にしています。そのためには、運用そのものも持続的でなくてはなりません。日本人が培ってきた資産や産業、文化を未来に伝承しながら新しい価値を創造するために、投資家にちゃんとした経済的リターンを提供することと、いい会社を応援することによる社会の持続的発展の両立を目指し、それをお客様にも実感していただく……ということを事業の中心に据えています。それを実装するのが「結い2101」です。

「結い2101」の内容を簡単に説明すると、「いい会社に投資する」という考えの投資信託です。「いい会社」にはさまざまな視点がありますが、鎌倉投信の視点では、2つの大きな軸があります。

1つは、先ほども言ったように、「日本を良くする会社をふやしていこう」ということ。日本のいろいろな社会的課題を、本業を通じて改善していけるような、社会の質を高めていけるような会社をふやしていこう、と。たとえば価格競争をしたりモノやサービスをふやしていったりという量的拡大ではなく、社会の質的発展を目指せる会社をふやしたいという考え方です。会社に関わる人たちの喜びや幸せを提供できる会社をふやしていく。経営者だけが儲かるような会社ではなく、ということですね。

もう1つは、会社に関わるさまざまな人、たとえば、社員とその家族、取引先、地域・自然環境、顧客・消費者、株主を大切にし、持続的で豊かな社会を醸成できる会社になろうと努力している会社です。この2つが大前提で、その中でも特に私たちが大事にしたいと思っている3つの視点が「人・共生・匠」です。すなわち、人の強みを生かす会社、循環型社会を作る会社、独自の技術・サービスを持っている会社。そういう視点で、現在は70社弱に投資をしている状況です。

「いい会社」の選定・評価基準としては、「社会価値」「個性価値」「持続的価値」という3つの価値基準があると考えています。

「社会価値」は、本業を通じて社会に貢献するということ。
今、日本はいろんな社会課題を抱えていますが、これを放置したまま10年後、20年後に社会経済が豊かになるとは考えられません。だから社会に対して価値を提供できることを基準の1つにしています。

2つ目の「個性価値」は、いわゆる会社の個性ということ。
ペーパーテストでまんべんなくオールAを取るような会社ではなく、実技で個性が光っているような会社を選んでいきたい、ということですね。国語はできないけど、数学はめちゃくちゃ強いとか、バイオリンを弾かせたらめちゃくちゃ尖っているとか。尖っている会社、個性のある会社を束ねたときに、いろんな社会課題が解決できる、という考え方です。ここでは他社にないものを生み出す能力を持っているかどうかを大事にしています。

最後は「持続的価値」。会社経営としての持続性です。
やはり続かなければ永続的に価値を提供することはできないので、事業性と社会性のバランスがとれている、持続力のある会社をふやしていきたいなと思いました。
Q. 「人・共生・匠」というテーマについて。どのようにして3つに絞られていったのでしょうか。
会社を立ち上げる前に「人・共生・匠」を決めていたわけではなかったんです。
10ヶ月のディスカッションの中では、主に経営理念とビジネスモデルを考えていました。つまり、「いい会社」に投資するということと、直販型という事業モデルで個人のお客様ともしっかり関係づくりをしていこうということですね。金融商品というのは、今は99%以上が銀行や証券会社が販売代理をしていますが、私たちはお客様との関係性を大事にしたいので、あえて銀行・証券を経由しないモデルでいこうと考えました。ここまでは会社設立前に決めていて、会社を作ってから具体的な投資手法を議論し始めました。要するに会社を作る前の10ヶ月で経営理念と事業モデルを考え、会社設立後の約1年でいろいろな登録の手続きや、運用手法を具体的に詰めていったわけです。

「人・共生・匠」というテーマについては、まずは「どういうところに日本の社会課題があるか」という議論から始めました。たとえば、環境問題や地域社会の疲弊などですね。そのような日本が抱える社会課題をある程度グループ化したときにどういうテーマになるのかまとめてみて、人に関わる分野、循環型社会を作るというような共生的な分野、日本の強みである匠の伝承という分野、スタートアップ領域などの分野が私たちの取り組みたい分野だねと話していたんです。実は、人、共生、匠というようにテーマごとに別々に投資信託を設定する構想もあったんですが、わかりにくいので、結果的にすべての要素を組み入れた「結い2101」という1つの投資信託になったんです。
Q. メッセージやコンセプトを外に向けて発信するために、どのようなことをされたのでしょうか?
広告宣伝はせず、完全プル型の顧客勧誘を基本方針としました。ここで、マーケティングや広報誌について、榎本真弓さん (現在:一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会トレーナー)にアドバイスをもらいました。

設立当時の発信ツールは、まずホームページです。それから週に1回のメールマガジン。さらに月に1回「結いだより」という月次運用レポートを出していました。「結いだより」は運用会社らしくないコンテンツにしましょうと決め、面白く楽しく読める内容を目指しました。

また、お客様との対話という意味では、説明会と運用報告会を開催しています。
今はウェブ開催ですが、以前は週に1回程度、鎌倉や東京、ほか全国主要都市で年間50回ぐらい開催していました。最初は50人規模の会場でお客様が2人しかいないことも当たり前でしたが、そもそも知名度がなかったし、説明会の告知もホームページに載せるだけだったので「そんなもんだろうな」と思っていました。説明会って、どこか怪しいイメージがあるから、「鎌倉投信なんて聞いたことないし、社屋も変わっているし怪しいな」って思いますよね(笑)。
だから来てくれるだけでありがたいと思い、参加者が1人でも10人でも同じメッセージを丁寧に伝えていきました。足を運んでくださるお客様は、思考力が高く、好奇心旺盛な方たちが多いので、ブログやSNSで発信してくださって、そこから口コミが広がり、メディアにも伝播するという流れができたんです。
Q. 鎌倉投信の特徴や魅力が社外的に浸透していったと実感できたタイミングやエピソードを教えてください。
大きなエピソードをご紹介します。自分の中で2つの転機がありました。

1つは、2011年3月の東日本大震災です。「結い2101」を立ち上げてちょうど1年が経ったころでしたが、震災が起きて株式市場が暴落したんです。震災直後の月、火曜日の2日間で、日本の株価が20%暴落しました。20%というと、およそ100兆円の価値が瞬間で失われたということ。そこで何が起きたかというと、パニック売りです。売りが売りを呼ぶ展開になりました。

鎌倉投信のお客様は当時500人ぐらいおられて、やっぱり不安になって売却される方が多いのかなと思っていたのですが、投資行動がまったく反対だったんです。月、火曜日の2日間で、その当時最大の入金件数があったんですよ。いろいろなお客様から「こういう大変なときだからこそいい会社を応援したい」とか「東日本復興支援に直接関わることができないけれど少しでも社会の役に立つのであれば投資をしたい」というメッセージと、心のこもった祈りのようなお金をたくさん預かりました。
そのとき「お金というものは無色透明でいろいろなものに染まるけれど、やはり想いを伝える力があるんだ」と思い、自分たちがやろうとしていることは絶対に間違いではないと感じました。信頼をつなぐことが本当のお金の役割だと確信に変わったんです。経営的には非常に苦しい時期でしたが、やり続ければすごく価値が高まる事業であり、投資信託になると思いました。

もう1つの転機は、受益者総会(※)等の催しをきっかけにしてお客様の行動変容が起きるのを知ったことです。経営者の方や社員の熱い想いを聞いて、参加されている1000人、2000人のお客様の意識や行動が変わっていくんですね。
たとえば、お金の遣い方。「どうせならいいものを買おう」とか「マザーハウスのバッグを買おう」と、お金の遣い方に意思が入ってくる。また、ボランティアを始めたり、会社で組織風土改革に挑戦したり、人によっては「結い2101」の投資先に転職してしまったり、お子さんがインターンで行ったりするケースもありました。
自分の大事なお金が、どういう企業に投資されていて、その経営者がどんなマインドセットを持って事業を立ち上げたのか……ということに触れた人が、自分にできる小さな一歩を踏み出すことが少なくないんです。投資というのは、本質的なことを言えば、いろいろな出会いを創造するものであり、究極の出会いは自分自身との出会いです。自分ではまだ気づいていない潜在的な欲求や幸福感と「結い2101」という投資信託を通じて出会ったときに、行動が変わる。そのようなケースを見てきて、投資や金融というのは、本質的には出会いを生むものである、と再定義し直したのです。 (※)受益者総会は、鎌倉投信の登録商標です。

最大の課題は後任の育成

Q. 組織マネジメントの話もお伺いできればと思います。
鎌倉投信自体がしっかりと継続していくために、経営者として考えていることは何でしょうか?
鎌倉投信の持続性は、これからの最大の経営課題です。後任の育成は、今後10年かけて本気でしなければいけない。
そのためには、まず会社そのものを持続的にしなければなりません。
そのための建付けとして、まず株主構成は100%独立系の運用会社という形をとっています。大手の金融資本やベンチャーキャピタルのお金は一切入っていません。個人の支援者だけで資本金を集めており、鎌倉投信の経営思想を伝えやすい体系にしています。

また、上場や規模の拡大を目指さないということを創業時から約束しています。
規模を目指すといろいろなことをしたくなってしまうので、鎌倉投信では、適正な規模で成長し、自分たちの創業時の考えに基づいた商品・サービスを提供していきます。そうした前提のもと、創業時の考え方をどう伝承していくのかが課題。

たとえば理念の勉強会もしますが、何よりも大事なことは、会社の経営理念そのものを事業に落とし込んでいるかどうか。“つながりを生む”場を事業の中で社員を巻き込んで作っているかどうかが、すごく大事だと思っています。
実際の仕事そのものが経営理念に直結している、そういうフレームワークにできているかどうか。そういう意味では我々の場合、何か新しい取り組みをしようとするときに、常に経営理念に立ち返ってそこから外れていないかどうかを検証できる規模感であると思います。
Q. 最後に、今後の目標や挑戦について教えてください。
最大の課題は、やはり持続的な組織づくり、つまり人財育成ですね。
また、事業の柱についてもチャレンジします。
今までは「結い2101」をコツコツと育ててきましたが、今後は1本足打法ではなく、これからの10年で2本目、3本目の柱を作るなど事業の柱をふやすことによって安定感を持たせていきたいと考えています。
まずは2本目の柱として、3月末にスタートアップ専用の投資事業組合(特定投資家向け私募)である「創発の莟」を組成しました。
人財の成長と共にそうした次の柱を育てていくことが、私のここから10年のチャレンジだと思います。

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