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一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー >サルベージ・パーティ Vol.1

メディアに引っ張りだこの「サルベージ・パーティ」のブランディング 前編

サルベージ・パーティ Vol.1 一般社団法人フードサルベージ

聞き手:一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 代表理事 岩本俊幸

【長田 敏希氏のプロフィール】

株式会社connel 代表取締役/一般社団法人フードサルベージ 代表理事/東京農業大学 非常勤講師
クリエイティブディレクター/アートディレクター
connel(コネル)はConnect the localityをコンセプトに「まち、ひと、もの、こと」のそれぞれの共創、共成長を目指した仕組みづくりと課題解決力を強みとするブランド・コンサルティングファーム。経営戦略立案から、CI、VI、商品開発、空間演出等、ブランディングに関する様々な領域で、右脳発想を重視したブランド構築ソリューションを提供。現在は大手コンビニエンスストア、食品メーカーを中心に様々な領域で事業活動を行っている。
また、東京農業大学で非常勤講師として地域ブランド戦略のゼミを持ち、学生、社会人、地域住民を対象にした体験・実践型の授業も行っている。

【平手 敦氏のプロフィール】

株式会社ナカヤマ勤務。当協会認定トレーナー。
愛知県出身、岐阜県恵那市在住。
制作部のリーダーとして社内に変革の新風を吹き込み、自他ともに認めるイノベーターとして活躍。ブランディングと出会い、自社がより顧客に喜ばれ、社会に貢献出来る最善の手段であると確信。徹底的に学ぶことを決意し、多くの素晴らしい先輩に師事し学びを得る。2013年7月より自社に新規事業を立ち上げ、ブランド・コンサルタントとしてのキャリアをスタート。コーチング、心理カウンセリングのスキルを活かし、“心の通い合う”チームブランディングをモットーに活動中。

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サルベージ・パーティ http://salvageparty.com/


聞き手

今回は、今年度の「ブランディング事例コンテスト」で、審査員特別賞を受賞したフードロス削減の活動「サルベージ・パーティ」のブランディングに携わった一般社団法人フードサルベージの長田敏希さんと、株式会社ナカヤマの平手敦さんのお二人に、サルベージ・パーティのブランディングのプロセスや、メディアに取り上げられるコツなどをお伺いします。まずは、お二人が「サルベージ・パーティ」に関わったきっかけを教えてください。


長田

私は、株式会社connelで企業のブランディングと、デザインのお手伝いをしています。流通や食品メーカーの仕事が多く、以前から食品ロスの課題をお伺いする機会がありました。以前、一般社団法人フードサルベージ(以下、フードサルベージ)の代表理事CEOの平井巧が知り合いを集め、家に余っている食材を持ち寄ってパーティをするという、簡単に楽しめて、しかも食品ロスをなくすイベントを行いました。そのイベントは周りから大きな反響があって、それを広めたいと相談を受けたことがきっかけで、この活動に携わっています。


平手

代表理事の平井が3年前に独立するときに、ビジネスコーチングとして事業のコンセプトを出させていただきました。そのときからのお付き合いです。


任意の事務局から、一般社団法人へ

聞き手

フードサルベージは、いつ設立されたのですか。


長田

設立は、今年の3月8日です。しかし活動自体は3年前くらいから、任意団体の形で行っていました。企業さんからの問い合わせが増えてきて、任意の事務局では受けきれなくなってきたので、法人化を考え始めたんです。それに加えて、今年の4月に誠文堂新光社から「サルベージ・パーティから生まれた『使い切る』ための4つのアイデアと50のレシピ」というレシピ本が出版されました。このレシピ本を社団法人として出したかったんです。


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聞き手

フードサルベージを立ち上げた目的は何ですか。


長田

身近な家庭の「フードロス」に着目しています。サルベージ・パーティの活動を通して、フードロスを「自分ゴト化」してもらうことが目的です。食材の買い方や料理の意識を変えることによって、食べ物に敬意を払い、それを具体的な行動に結び付けて、循環型社会に貢献したいと考えています。


家庭で余っている食材をプロが調理する、サルベージ・パーティ

聞き手

具体的にはどのような活動をされているのでしょうか。


長田

僕らの主軸になるコンテンツは「サルベージ・パーティ」です。簡単に言えば、冷蔵庫の中に余っている食材を一つの場所に持ち寄って、その場でプロのシェフがアドリブで料理します。このイベントでの体験や気づきから、食品ロスをなくす活動を家庭レベルで行ってもらうことが狙いです。


聞き手

サルベージ・パーティのプロジェクトは、グッドデザイン賞を受賞されたんですよね。


長田

そうなんです。グッドデザイン賞ではロゴのデザインだけではなく、サルベージ・パーティの啓蒙活動や仕組みを総合的に評価していただきました。


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サルベージ・パーティのブランディング

聞き手

サルベージ・パーティのブランディングについて教えてください。


平手

サルベージ・パーティは、動かしながら尖らせていった部分があります。今のところ、サルベージ・パーティは一般の方を対象とした活動ですが、もっと世の中に広げていくためには、各企業とのコラボが必要です。そのためのブランディングとして、この活動の一番浮き出ているポイントや、どういう人に対して価値を与えているのかを整理して、「見える化」する必要性を感じました。


聞き手

具体的には、どのようにブランディングを進めましたか?


長田

はじめにロゴマークを作成しました。同時に「サルベージ・パーティ」のネーミングも考えました。ネーミングは、啓蒙のために広がりやすいものにしよう、とみんなで話し合って決めた結果です。「フードロス」の言葉を使ってしまうと、「食品ゴミを減らす」という話題のほうへ行ってしまいがちです。そうすると、家庭のフードロスを減らすための啓蒙活動としては、少し重すぎると感じました。一般の方が合言葉みたいに使える言葉はないだろうか、と話し合う中で「サルベージ・パーティ」の言葉が生まれました。ただ、「フードロス」の言葉は、ブランドアイデンティティである「たのしくて、おいしくて、ちょっぴり誇らしい。フードロスの新スタイル提供者」の中では使っています。またホームページでも、「フードロスの現状」を説明しています。ちなみに商標登録は「サルベージ・パーティ」です。これは、海外の方にも意味を理解してもらえる言葉だと思ったからです。弊社ではサルベージ・パーティを略して、「サルパ」と呼んでいます。イベント関係者でも「サルパ」と言ってくれる方が徐々に増えている印象ですね。ちなみに、フードサルベージ設立の3月8日を、「サルパの日」としました。


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聞き手

競合はどこなのでしょうか?


平手

競合として捉えているのは、学術的にフードロスを勉強する機関です。社会貢献のために勉強するような意識の高い方の中には、実際の活動でできることの少なさに戸惑う方がたくさんいます。しかし僕たちの活動では、意識の向き方を少し変えるだけで、「こういう方法もあるんだ」と楽しく実践してみようと思ってもらえることが一番の強みです。


聞き手

いろいろなメディアに取り上げられていますが、その一つの要因が、的確で非常に刺さるペルソナにあると思います。サルパを始められてしばらくは、意識の高い方や平井さんの知り合いの方が中心で、かなり偏った方が集まっていたと思います。その中から現在のペルソナを導き出すまでに、どのような推移を辿ったのでしょうか?


平手

ペルソナは、長田と二人でディスカッションしながら設定しました。ペルソナが意識の高い方だけだと、活動の広がりはそれなりになってしまいます。一般の方にも響かないと意味がありません。ということは、もともとフードロスには興味のなかった方がペルソナになるべきだろう、と結論を出しました。ただし、実際の参加者の傾向にプラスして、「こういう方ならば、この活動の目的を最大評価してくれるだろう」と仮説も入っています。


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聞き手

ブランドステートメント(food_salvage_brand-statement.pdf)がしっかりと作られていますよね。この中には、ミッション、ブランドバリュー、ブランドアイデンティティ、ペルソナなどが掲載されています。これを作ったのは、どれくらいのタイミングだったんですか? アイデンティティやペルソナを決めた時期と同じでしょうか。


長田

ロゴマークはアイデンティティがないと作れないので、ロゴマークを作るタイミングですね。


平手

サルベージ・パーティの活動を広めていく上では、協力者が必要です。もしもクオリティが下がれば、評判は絶対に落ちます。僕たちは少人数だからぶれなかったけれども、ステートメントとして明確にしておかないとぶれていく、と思って作りました。


聞き手

だから軸がぶれないのですね。メディアへの露出の話が少し出ましたが、次回はそのあたりをお伺いしていきます。


後篇へ続く

※掲載の記事は2017年12月時点の内容です。
掲載内容が変更となっている場合がございますので、ご了承ください。