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一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー > 清水 章充氏

バイヤーを“ファン化”し販路拡大
日々の仕事の中で感じていた葛藤が生み出した
新しい大阪土産「TEMAHIMAN」とは?

株式会社doushi清水 章充

Profileプロフィール

株式会社doushi 代表取締役社長
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 トレーナー

1977年生まれ。
東京都小金井市出身、兵庫県西宮市在住。
2005年、国内最大手外資系広告代理店のI&S BBDO入社。
クリエイティブ局でCM、WEB、グラフィック等の広告制作に携わる。
2011年、営業局へ転局。
クライアント企業の商品やサービスブランドの開発、年間コミュニケーション戦略の立案、進行管理を行う。

2017年、I&S BBDOを退職し、フリーランスのブランド・マネージャーとして独立。
2019年、事業を法人化し株式会社doushi代表取締役に就任。
「TEMAHIMAN」のブランディングで2023年度のブランディング事例コンテスト優秀賞を受賞。

新たな大阪土産として注目を集めている お菓子ブランド「TEMAHIMAN」。
関西のお菓子の小売店「まるしげ」と菓子製造業の「日進堂製菓」が作り上げた同ブランドは、“職人”に焦点を当てたブランディングで販売初月に12000個の販売を記録。
現在は専門ショップの開設を目指すなど、好調に拡大を続けています。
同ブランドのブランディングとはどのようなものなのか。
ブランド開発を担当した株式会社doushiの清水章充社長にお話を伺いました。

現状への葛藤がブランド誕生のきっかけに

Q. 本日は、2023年度のブランディング事例コンテストで優秀賞を獲得した「TEMAHIMAN」のブランディングについて、お話をお伺いできればと思います。
まずは「TEMAHIMAN」のご説明と、今回のブランディングの背景について教えてください。

「TEMAHIMAN」は、関西のお菓子の小売店「まるしげ」(株式会社マルシゲ)が、今までにない新しいコンセプトで、生み出したお菓子ブランドです。
お菓子業界では従来、流通が決めた販売価格を受けたメーカーが原価計算して工場へ発注し、決められた原価の枠内で工場の職人がお菓子を製造するという商流があります。
その商流の中で働いている職人たちは「美味しいお菓子をつくって、多くの人を笑顔にしたい」と夢を持ってお菓子工場に入社したにも関わらず「オーダーされた原価の枠内で、お菓子の作り方を探る」という仕事と、心を殺して向き合って働いています。

当時外販部の部長だった山田氏はそうした、夢を叶えきれずに悲しい気持ちで仕事を続けている職人の姿を見て、なんとかしてあげられないか?と、ずっと胸を痛めていました。
そうした中、マルシゲにお土産売り場で販売するお菓子の開発という依頼があり、これを絶好の機会ととらえた山田氏は「原価を気にせずにお菓子を作ってください!」と、職人の一人であった木谷氏に製造を依頼したのです。

こうしてできあがったアーモンドバーを、どのように世の中にデビューさせたらよいか?という相談をいただいたところから、このブランドの開発は始まりました。

アーモンドバー

社長の“熱語り”でバイヤーがファンに

Q. ブランディングはどのように進められていったのでしょうか。

ブランディングは、「入社当時に描いていた夢を諦めきれない」という木谷氏の職人としての想いや、「全国の職人を笑顔にする」という山田氏の使命感などをストーリーの核としてスタートしました。

ブランド構築は、ブランド・マネージャー認定協会のブランド構築ステップに沿って手順を踏みました。
まずはPEST分析、3C分析を行い、アーモンドがぎっしり詰まった贅沢感のある商品であることや、山田氏の葛藤が起点となったストーリー性のある商品であることなど、自社商品の強みや特徴を抽出。
競合他社の強みと弱み、顧客ニーズも抽出し、そこから4人のペルソナを作りました。
一例を挙げると、国内旅行が趣味でこだわりを感じられるお土産が欲しい都内在住の20代女性、友達に気の利いたお土産を買ってあげたい関西在住の30代女性などです。

3C分析

さらに店頭調査、競合商品の検討を経てポジショニングマップを制作し、そこからブランド・アイデンティティは「職人の自分史上、最高傑作」と決めました。
ブランド名は、「手間暇」をかけた「職人たち」の物語という思いを込めて「TEMAHIMAN」としました。
また、パッケージのデザインは、職人の顔を真ん中に大きく載せたものを採用しています。
これは、シリーズ化して商品が増えるごとに職人の顔が増えていく仕組みで、もちろん第1弾のアーモンドバーのモチーフは木谷さんです。
「TEMAHIMAN」シリーズを展開する中で、日本全国の職人をどんどん紹介していこうと考えています。

ブランドアイデンティティ

Q. 刺激の設計について教えてください。

まずは商品の説明などを記載したウェブサイトを作りました。
さらにクラウドファンディングも実施したほか、プレスリリースの「PR TIMES」を使って商品をPRしました。
予算はあまりかけられなかったのですが、これらの取り組みから、大きな広がりを3つ生み出すことができました。
その1つが、多くのウェブメディア、インフルエンサー、著名人による紹介です。
2つめは、テレビ番組から毎年取り上げてもらえるような状態になったことです。
関西のテレビ局、ラジオ局に複数回取り上げて頂けている、中には毎年取り上げてくれる番組まであります。
そして3つめは、それまでお付き合いのなかったバイヤーさんから多数の問い合わせをいただいたことです。
クラウドファンディングやPR TIMESを見た、という問い合わせが多く舞い込んだのです。

インフルエンサーが紹介

私たちの仕事は、クライアントの自分では整理しきれない想いや考え方を整理して、それが相手に伝わるように武器として持たせてあげることだと思うのですが、そんな武器を持った山田氏が、バイヤーさんと向き合う。
そうするど、どうなるか?つい熱くなって、激しく“熱語り”をしてしまう(笑)。
ブランドの開発者が目の前で熱く語るのですから、それは自社商品を売り込みに来る営業マンの営業トークとは、熱量がちがいますよね。
結果、その熱量を感じた、バイヤーさんも次々とファンになってくれました。
そんなふうに応援してくれるバイヤーさんを味方につけたことで、多くの店舗で一等地に大きく長期間にわたって売り場を作ってくれるなど「TEMAHIMAN」を応援してくれるようになりました。
そしてついには、2020年10月には、関西で最も格式の高い百貨店として知られる阪急百貨店でマルシゲ史上初の催事をすることができました。
また昨年6月には伊丹空港で、スタッフ厳選のお土産ナンバーワンと紹介され、月間の最高売上を達成することができました。

初月から売上個数12000箱を記録

Q. ブランディングの成果を教えてください。

「TEMAHIMAN」の販売個数についてお話しすると、販売個数は2019年9月の発売初月にいきなり12000箱もの販売を記録しました。

また、マルシゲの従業員の意識にも変化がありました。
たとえばある営業マンは、以前は、毎日既存取引先に顔を出した後に消息不明になるような方だったのですが(笑)、TEMAHIMANを持って、積極的に遠方の新規客を訪問し、売り場を確保するようになりました。

そして何よりも今回のプロジェクトでうれしかった成果は「TEMAHIMAN」の成功も理由の一つとして、山田氏が社長に就任したことです。
昨年8月から社長になった山田氏とはおそらく一生、仕事を一緒にしていくと思っていますし、そういった方と出会えたことに感謝したいなと思います。

山田社長

Q. 今後の展望を教えてください。
今後は伊丹空港か関西国際空港に専門ショップを出したいと考えています。
また、お菓子職人が一緒に仕事をしたいブランドのナンバーワンになりたい、という思いがあるので、「TEMAHIMAN」が「お菓子職人の生きがいを作るブランド」として認知されるよう、頑張っていけたらと思います。

※掲載の記事は2024年2月時点の内容です。
掲載内容が変更となっている場合がございますので、ご了承ください。

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