一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > ブランド・マネージャーとは > ブランド用語集
ブランドに関する用語は、同じ言葉でも研究者や実務家など定義する人によって異なる意味を持つ場合が多々あります。この用語集では、一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会としての定義をご紹介します。
ひとつの製品やサービスを販売するために、複数の手段や要素を、最適な形で組み合わせるマーケティング手法を「マーケティング・ミックス(marketing mix)」と呼びます。「4P(よんぴー)」は、1960年代前半にアメリカの経済学者ジェローム・マッカーシーが提唱したマーケティング・ミックスのフレームワーク。4Pは売り手側の視点で考えられた理論だったため、1993年にアメリカの経済学者ロバート・ラウターボーンが、顧客視点からの「4C(よんしー)」を提唱しました。「4P/4Cマーケティング・ミックス」は、この「4P」「4C」のフレームワークを一体化し、対応させたものです。これにより、自社の製品・サービスに関わる情報を、企業視点と顧客視点の両方から一覧することができます。
Business to Consumerの略。企業から個人へのビジネス形態のこと。
Business to Businessの略。企業間取引のこと。
正式には「地理的表示保護制度」といいます。農林水産省が管理する制度で、日本各地の伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地などの特性が、品質などの特性に結びついている産品について、これらの名称(地理的表示)を知的財産として登録し、保護する制度です。
企業や業界の外側にある「マクロ環境」を分析するための、最も基本的なツールです。企業の経営戦略を策定したり、新規の事業計画の立案時、また市場調査などに使用します。「PEST」は、「政治的(Political)」「経済的(Economic)」「社会的(Social)」「技術的(Technological)」の、4つの頭文字を並べたもの。この4つの観点を網羅的に見ることで、マクロ環境に潜んでいる、自社にとってのプラス要因、マイナス要因を整理します。
フィリップ・コトラー教授が提唱するマーケティング手法。「STP」とは「セグメンテーション(segmentation)」「ターゲティング(targeting)」「ポジショニング(positioning)」の頭文字。市場(マーケット)を研究、自社が効果的に市場を開拓するための戦略を考えるフレームワークです。STPマーケティングを行うことで「自社が誰に対してどのような価値を提供するか」を明確にすることができます。
企業や業界の外側にある「外部環境」と、企業のすぐ周辺にある「内部環境」を整理するツールです。「SWOT」とは「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」の頭文字。4つの観点から網羅的に見ることで、自社の強みと弱みを一目瞭然に理解することができます。また、今後の意思決定の方向や、問題の解決策が見つけやすくなります。
意匠とは、物品あるいは物品の部分における形状・模様・色彩に関するデザインをいいます。意匠登録制度は、意匠を保護するために特許庁が管理する制度です。登録時には、所定の様式に基づいた書類を特許庁に提出(「出願」)し、必要な要件を満たしているか審査を受ける必要があります。
「Internal」は「内側の」という意味で、具体的には、社員、非正規労働者(契約社員・パート・アルバイト)、臨時・常駐スタッフ、また協力会社など、企業の内側にいるあらゆる関係者に向けて行うブランディング活動のことを呼びます。
「External」は「外側の」という意味で、具体的には、消費者・顧客、投資家(株主)、取引先、地域社会、行政機関など、企業活動に関わるさまざまなステークホルダーに向けて行うブランディング活動のことを呼びます。
商品・サービスの市場における競争のうち、価格の安さを競うことを呼びます。価格競争に巻き込まれると値下げ合戦となり、消費者・顧客からは価格の低いものが選ばれ、商品・サービスの価値は下がり、企業も疲弊していきます。価格競争に陥らないよう、ブランディングによって価格以外の面で選ばれる商品・サービスづくりをしていかなくてはいけません。
他に「ブランド経験」などの呼び方も。当協会では「ブランド体験」と呼びます。消費者・顧客がブランドと接するあらゆる機会、あらゆる接点のことを指します。消費者・顧客がブランドを認知からリピートするまでの関係を記したシナリオです。
自社にとって競争相手となる存在のこと。直接競合と間接競合に分けられます。直接競合は、同じジャンルの他事業者のこと。間接競合は、顧客ニーズを自社とは異なる手段で満たしている、異業種の事業を指します。
製品・サービスの基本的な機能や品質のこと。これがないと、製品・サービスが成り立たないものを指します。
消費者・顧客の中で、はっきりと形にあらわれている要望のこと。消費者・顧客自身が自覚している場合や、調査などで明らかになっている(表面化している)ニーズのことを指します。
1人の顧客が、取引期間を通じて企業に支払う合計金額のこと。「再購買させる」「購買頻度を上げる」「購買単価を上げる」「顧客期間を伸ばす」の4つの方法で、向上させることができます。
他社の商品・サービスとの明確な違い、特徴を打ち出すこと。
消費者・顧客が、ある商品・サービスを“知っている”状態のこと。必ずしも差別化されている必要はない。
「強いブランド」は、企業にとって「資産」となります。「ブランド・ロイヤルティ」「ブランドの認知度」「知覚品質」「ブランド連想」などを十分に持っているブランドを、「資産価値の高いブランド」といいます。他にも、商標権などの知的財産も資産価値を高める要因となります。
市場における、自社の製品・サービスが占める割合のこと。
消費者・顧客が商品・サービスを識別する上で目印となるネーミングやロゴマークなどを独占的に使用し、また類似した商品・サービスなどを排除できるようになる、「商標権」を取得するための制度です。
広告やデザインなど、製品・サービスの周辺に付加されている情報やイメージ。製品・サービスが持つ情緒的な側面。製品・サービスの基本的な機能以外の価値。
市場機会が具体的にどのような市場において実現可能なのか、収益を期待できる市場を探し当てるためのステップです。消費者・顧客の年齢、性別、職業、趣味・嗜好、休日の行動など、あらゆる切り口で市場を切り分けます。
「売り込む手段」のこと。「すでにあるものを、どのように売り込むか」またその際の「売る手段」に狙いを定めた考え方です。
消費者・顧客の中では、はっきりと形になっていない要望のこと。消費者・顧客自身は自覚しておらず、調査などでも明らかになりづらいニーズであっても、実は無意識に購買行動に深く関わる要素である場合もあり、この潜在ニーズを掘り起こすことが、マーケティング上重要であると考えられています。
形のないものも財産の一部であるとすること。音楽、映画、絵画などの著作物を保護する著作権、発明を保護する特許権、考案を保護する実用新案権、デザインを保護する意匠権、商品・サービスなどを識別するためのネーミングやロゴマークなどを保護する商標権などがあります。
1938年生まれ。カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクール名誉教授、元電通顧問。マサチューセッツ工科大学卒業後、スタンフォード大学で統計学修士号、経営学博士号を取得。「ブランド・アイデンティティ」「ブランド・エクイティ」の提唱者として知られる。
数字では表せない「質」に関する要素のこと。定性的に考えることで、目的や狙い、原因、関係性、意味、文脈などを明確にしやすくなります。
明確な数値やデータなどの「数字」で表せる要素のこと。売上額や販売数、スタッフ数、顧客数、価格、割合、変化率などが該当します。定量的に考えることで、数値的事実にもとづいた、誰が見ても共通の認識を得られる要素を明確にできます。
社会生態学者。1909年 オーストリア生まれ。ニューヨーク大学教授などを経て、1971年、ロサンゼルス近郊のクレアモント大学院大学教授に就任。100冊近い膨大な著作を残し、マネジメントの体系を確立した、「マネジメントの父」。2005年没。
パソコンやスマートフォンを通じて個人が発する情報、コンビニやクレジットカードの購買情報などにより、日々生成される、膨大かつ多様で複雑な情報のこと。将来予測や、事象分析に使われます。
ノースウェスタン大学 ケロッグ経営大学院 教授(在職中)。1931年生まれ。シカゴ大学で経済学修士号、マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。マーケティング&イノベーションの世界的権威として知られ、現在も世界各地で、企業向けの講演活動、コンサルティングを行っている。
商品・サービスなどにつけ加えられた、他とは違う何らかの独自の価値のこと。
ある特定の商品やサービスが、消費者・顧客によって「識別されている」とき、その商品やサービスを「ブランド」と呼ぶ。
(一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会による 消費者・顧客から見た「ブランド」の定義)
ブランドが知られている度合いのこと。認知度が高いブランドは、競合企業と比べて有利にビジネスを進めることができます。
ブランド・アイデンティティとブランド・イメージを一致させる活動のこと。
企業がある製品・サービスが「何ものか」を示すため定める「旗印」のこと。言い換えると「ブランド独自の価値」をひとことで表したもの。
消費者・顧客が心の中に抱く、ブランドに対する心象のこと。
あるブランドが、企業にとって資産的に価値があることをブランド・エクイティと呼びます。ブランド・エクイティには「ブランド・ロイヤルティ」「ブランドの認知度」「知覚品質」「ブランド連想」などを含みます。
ブランド名やマークなどのブランド要素に接した際に、特定のブランド名を認識すること。
あるカテゴリー(ジャンル)を言われたときに特定のブランド名を思い起こすこと。また、消費者・顧客にニーズが発生した際、特定のブランド名を直接、思い起こすこと。
ブランドの「存在意義」や「あるべき姿」を明文化し記載した、冊子状のもの。ブランドに関するすべての活動の拠り所となります。
企業の経営戦略からブランド戦略までの関係性を示したもの。
消費者・顧客がブランドと接するあらゆる機会、あらゆる接点のこと。
企業におけるブランド戦略を担う役職者の名称。ブランドの資産としての価値を高めるために、その構築から運用管理まで、企業のブランド活動全般にわたる、広範囲の経営的責任を担うことになります。
消費者・顧客がブランドを識別する際の手がかりとなる、ブランドを形成する最小単位のもの。ブランド名、ロゴ、キャラクターなどがある。
ブランドに関する様々な記憶が集積し、強固につながった状態のこと。ポジティブなイメージがつながってブランドを想起されることが好ましい状態といわれています。
顧客によるブランドへの忠誠心のこと。高いロイヤルティを持っている顧客がいれば、売上や利益への強固な基盤となります。
企業側の方針や、作りたいもの・作れるものを基準に商品開発などを行うこと。商品・サービスを作ってから、どのように販売していくかを考えるスタイルです。
消費者・顧客の意見・ニーズを汲みとって商品開発などを行うこと。モノを作れば売れる時代ではなくなり、競合と簡単に比較されてしまう今、いかに「マーケット・イン」の概念に基づき、消費者・顧客の満足度を高められるかを考えることが重要です。
消費者・顧客の心の中で、特定のブランドや企業が占める割合のこと。「市場シェア」と対比して用いられる用語で、消費者の心の中でどれだけ強く印象づけられているかの指標となります。
「マクロ」はきわめて大きいもの、巨大という意味。空の上から森全体を見るように、経済活動を捉える視点のことです。マーケティングにおいては、企業や業界の外部(自然環境、社会や文化、産業構造、人口動態、政治…など)を指します。ミクロ環境よりもさらに外側にあるものをいいます。
「ミクロ」はきわめて小さいもの、微小という意味。森の木を一本ずつ見るように、経済活動を捉える視点のことです。マーケティングにおいては、企業の周辺にあるもの(製品や原材料に関する技術、競合他社や業界内の動向など)を指します。
将来的に、自社の商品やサービスの顧客となる見込みがある人々のこと。一方、すでに自社の商品やサービスを利用している人々のことを既存顧客と呼びます。