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一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー >吉田ともこ氏・蒲原くみ氏

西成の町工場から、世界へ羽ばたく「下町の太陽」へ。リーファのSDGsブランディングとは?

株式会社オレンジフリー 吉田ともこ氏・蒲原くみ氏

【プロフィール】

株式会社オレンジフリー代表取締役/ブランド戦略コンサルタント
吉田ともこ氏

一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 グランドマスタートレーナー

大手広告代理店のコピーライター・プランナーを経て1988年に創業。現在、ブランディング専門会社として、東証一部上場・大手企業から中小企業、大学、行政に対して、ブランド戦略構築からプロモーションまでを一貫サポート。その実績により、経営コンサルタントの国際資格CMCを取得(国際公認経営コンサルティング協議会認定)、併せて経済産業省所管・公益社団法人全日本能率連盟マスター・マネジメントコンサルタント認定取得。「ブランディング事例大賞2015」受賞、さらに株式会社リーファのブランディングで「ブランディング事例コンテスト2019」大賞・中小企業庁長官賞を受賞。豊中市ブランド戦略策定委員、神戸女学院大学非常勤講師「地域活性化論」「ブランド論」なども務め、講演執筆多数。
https://www.orange55.co.jp

株式会社オレンジフリー専務取締役/ブランディングディレクター
蒲原くみ氏

一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 マスタートレーナー

ブランディングディレクターとして新規ブランドの立ち上げ、店舗のブランディング、B to Bから B to Cへのデザインチェンジ等を指揮し、競合他社との差別化、ブランドの認知拡大を成功へと導いている。「NIKKEI NET 広告賞」「企業ウェブグランプリ」「ブランディング事例大賞」等受賞。一般社団法人ブランド・マネージャー認定協会のエキスパートトレーナーも務め、セミナーの登壇数は100回を超える。神戸女学院大学 非常勤講師「パーソナルブランディング」、その他青年会議所・商工会議所等での講演も多数。共著「販促ウエポン100」(商業界)
https://www.orange55.co.jp


聞き手:一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 ディレクター 能藤


ブランディング事例コンテスト 2019での表彰式。
オレンジフリーさんはリーファさんの事例で大賞と中小企業庁長官賞を受賞した。



2008年4月に大阪市西成区で産声を上げた株式会社リーファは、テーマパークや高級ホテル、レストラン、介護施設などの椅子・ソファの張り替えやオーダーソファの製作を手がける町工場です。5年間で3段階のブランディングを実施。SDGsの達成を経営戦略に取り込んでブランド価値を再構築するなど、社会性と経済性を両立させる取り組みが注目を集めています。ブランド・マネージャーとして伴走支援した株式会社オレンジフリーの吉田ともこさんと蒲原くみさんにお話を伺いました。



ブランディングの取り組みにより、売り上げ46%増、残業時間50%減を達成

聞き手

リーファのブランディングに取り組むことになったきっかけを教えてください。


吉田

2014年に、オレンジフリーが主催したブランディング勉強会にリーファさんが参加されて「どうしたらブランドカンパニーになれますか」とご相談いただいたことがきっかけです。それから2019年までの5年間にわたって、3つのフェーズでブランディングを実施しました。


聞き手

3つのフェーズとは?



ブランディングの3つのフェーズを解説する蒲原氏。
2019年11月に開催された、当協会第9回公開シンポジウムでのプレゼンテーションの様子。

吉田

「強いブランドをつくる」「ブランド価値を高める」「社会的視点でブランド価値を再構築」の3段階です。まずフェーズ1「強いブランドをつくる」では、 “誰に対してどのような価値を提供するか”を明確にし、経営の安定を図りました。フェーズ2「ブランド価値を高める」では、“ブランドの価値の源泉は人にある”との考えに基づき、「働き方改革」と「職人のキャリアパス」により、働く人の力を最大限に引き出す環境と教育を整えました。そしてフェーズ3「社会的視点でブランド価値を再構築」では、リーファを育ててくれた人情の街・西成へ感謝し、地域に恩返しするためのプロジェクトをスタートしました。
ブランディングに着手した2014年と3段階を終えた2018年を比較すると、売り上げは46%増、粗利は33%増、新規顧客のリピート率は20%増、残業時間は50%減という結果になりました。


聞き手

ブランディングの成果が数字に明確に表れたわけですね。具体的に、それぞれのフェーズでどのような施策を実行したのでしょうか。


吉田

フェーズ1「強いブランドをつくる」での目的は、明確なターゲティングです。顧客は誰かを定め、顧客視点に立ったサービスで売れ続ける仕組みを作ろうと決めました。また同時に、リーファのスタッフ全員が仕事にプライドを持てるよう、意識改革を試みました。椅子の張り替えは、ごみの排出を低減する環境配慮型サービスである、持続可能な資源循環型社会を実現するために、とても大切な仕事だと、働く人たちが自分の仕事の価値を認識することが重要でした。


聞き手

価値を認識してもらうためにしたことは?


吉田

オレンジフリーのセミナールームで、リーファのメンバーと20時間のワークショップを行いました。ブランド構築の手順を踏み、環境分析、STPマーケティング、ペルソナ作成などをして、ブランド・アイデンティティを導き出しました。環境問題や仕事の意味、意義などを考えてもらいながら進めて行きました。その結果、決定したブランド・アイデンティティは、「椅子ならまかせてドラえもん」。



リーファの原田社長と社員の皆さんとワークショップを行い、
会心のブランド・アイデンティティを導き出すことができた。

聞き手

ずいぶんユニークなブランド・アイデンティティですね(笑)。


吉田

「これでいいのか?」と思いますよね(笑)。ブランド・アイデンティティというのは、もっと端正な言葉であるべきとお思いの方が多いと思います。でも、ドラえもんというワードが出た時、ワッとメンバーが盛り上がって。「そうか!リーファはお客様にとってドラえもんのように頼りになる存在になればいいのか」と全員が腹落ちしたんですね。その様子を見ていて「あ、これでいいんだ!」と思いました。ドラえもんの4次元ポケットは、リーファにとっては椅子張り技術。この武器で、お客様の困りごとを解決していこう。そして、ドラえもんのようにみんなに頼られ愛される存在になろう。みんなの気持ちがピタッと一つになりましたね。


聞き手

ブランド・アイデンティティは、自分たちにとって腹落ちする言葉であることが大切なのですね。


※掲載の記事は2020年2月時点の内容です。
掲載内容が変更となっている場合がございますので、ご了承ください。

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