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一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー >今関尚子氏

ロジックと情熱を注ぎ、中小企業に貢献するブランド・マネージャーの役割

株式会社ウェブエイト

【プロフィール】

株式会社ウェブエイト 今関 尚子 氏
ディレクター
ブランド・マネージャー
ウェブメディア事業部 マネージャー

1982年長野県松本市生まれ。
長野県全域において求人情報誌及びインターネットサイトを活用した中途採用・アルバイト採用の法人営業を経て、ブライダル事業部に。上場企業からベンチャー企業、自営業のショップまで、規模に関わらず、クライアント企業の課題解決と集客アップ、業績アップに関わる経験を積み重ね、長野県東北信エリアにおいて子育てフリーペーパーの立ち上げに参加。ゼロからのメディア作り、販路開拓、マーケティング、市場開拓に従事。この時期に、ブランド・マネージャー2級を取得し、さらにクライアントへのアウトプットを強化する。

一貫してクライアントとユーザーをつなぐ架け橋として、クライアントの経営課題、集客課題に向き合えるコンサルティング営業を目指してきたが、クライアントの集客課題にさらに向き合うためにウェブマーケティングの知識と経験を求め、現在のウェブエイトに入社。現在は、ディレクターとしてウェブ施策のプランニング、ウェブマーケティングを用いたクリエイティブの制作、集客施策の提案を行う一方で、メディア事業部の責任者として、長野県最大のポータルサイト「ナガブロ」を運営し、メディアを使ったイベント企画、地元企業とのコラボ企画などを行っている。

聞き手:森田旭洋(株式会社イズアソシエイツ ディレクター)


新たな事業の柱をつくるブランディング活動

聞き手

今関さんはこのたび、中部建設工業株式会社様へのブランド・マネジメントが評価され、2017年度ブランディング事例コンテスト優秀賞を受賞されました。まず中部建設工業様のご紹介からお願いします。


今関

中部建設工業様は、創業70年以上の地元長野では歴史のある建設会社様です。長野市の中心エリアに自社ビルを持ち、オリンピック施設やダム建設、道路工事などの公共事業を請け負うなど、地元では大きな信頼を確立されています。


Kasetsu-Store

聞き手

中部建設工業株式会社様のブランディングに取り組まれた経緯をお聞かせください。


今関

加藤誠社長をはじめ、住宅事業部門である建築部の現場のみなさん、コンサルタントの方を交えた計3回のマーケティング研修を行い、自社の強みと今までの優良顧客をもとに「ペルソナ」(ターゲットとする架空の人物像)と「USP」(ユニーク・セリング・プロポジション、自社の強みを伝えるメッセージ)をつくり上げました。

その中で、事業を成長させ継続させていくには、さらなる軸をつくる必要があるということで、建築部のブランディングを開始しました。同社では、中心的な事業である公共事業を担う建設部の売り上げに依存するのではなく、住宅事業部門である建築部を強化しようという目的があったのが背景にあります。当初はウェブマーケティングのご相談でしたが、建築部のブランド・マネジメントまでご相談を受けることになりました。


継続するために必要な「仕組みづくり」

聞き手

今回のブランディングで、特に課題としていたポイントはどこでしょうか。


今関

以前は広告戦略としてのブランディングを意識した仕事をしてきましたが、それではお役に立てないことが多く、自分の未熟さを感じていました。ただブランド構築をしても、ただ研修をしても、その時に起きた変化は長く続きません。今回のブランディング事例に限らず、私が意識しているのは「継続」するために「仕組み化」すること、それを業務フローにまで落とし込むことです。これは、お客様の予算感や求める期待によって関われる範囲が違うので、どこまでできるかは案件によって違うものの、基本的なスタンスは変わりません。なぜなら、私たちブランド・マネージャーが、常に併走するわけにいかないからです。
エクスターナルブランディング(顧客など外側に向けたブランディング)だけでは集客は伸びません。インターナルブランディング(社員など内側に向けたブランディング)だけでも、事業は成長しません。2つの視点を持つ私たちだからこそやれることがあると、今は確信しています。

そう思えたのは今までお世話になったクライアント様のおかげであり、中部建設工業様のブランディングを通した様々な経験でした。成長したのはブランドだけではありませんでした。私が目にしたのは、その過程で成長していく社員の皆さんの姿でした。この事例は、女性設計士の方と、ブランド・マネージャーとしての役割を見失っていた私の半年にわたる成長の物語なのです。


聞き手

取り組みの中で、困難に感じた点などはありますか。また、どのように解決されたかも併せてお聞かせください。


今関

組織の壁、経験の壁、考え方の壁、です。大きな会社になればなるほど、他部署との連携が難しくなりますが、今回も例外ではありませんでした。また、同じ住宅事業部門でも営業と設計士では経験してきたことが違うので、大切にしたいことも違います。すれ違っているもの、掛け違えているものに対しての「目線合わせ」が大切な仕事の1つだったと思います。


現場が決裁権を持つことで責任感が生まれる

聞き手

「『人』の変化で、『数字』と『組織』も変化する。」というテーマですが、取り組みの中で大切にされたポイントをお聞かせください。


今関

現場中心に構築したブランドを孤立させず社内浸透させること、そしてブランドを浸透させていくエクスターナルブランディングの部分を大切にして、反応を感じてもらうことです。インターナルブランディングをちゃんとやっても、それが伝わるように情報が発信できなければブランドは浸透しませんよね。それではクライアントの事業の成長にはつながらず、期待に応えられたとは言いがたいですよね。なぜなら、内部の変化を加速させるのは、クライアントのお客様からの反応であるからだと思っているからです。


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今関

「これぞ」というBI(ブランド・アイデンティティ)を作り、かっこいいロゴ、パンフレット、ホームページを作ったら、マーケットに発信して反応をみる。当たり前のようですが、こういったことを最初の段階から設計し、検証することは非常に大切だと思います。

中部建設工業様においては、ブランディング構築後、VI、サイトのリニューアル、パンフレット・名刺のリニューアル、広告戦略(どの時期に、どの媒体で、どんな原稿で、どのくらいの予算で、どう効果測定して、次に活かすか)と、イベント設計(どのイベントで、どんなブース作りをして、どんなツールで、注意点は何で、どんなオペレーションで)までお手伝いさせていただきました。


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今関

今回重要なことは、それをいかに現場主導で構築をしきるかということでした。ブランド構築のための研修を現場の皆さんとしても、大切な決断は経営陣がすることもあります。ですが、それでは今後育てていくブランドに対する責任感や当事者意識が低くなる可能性があります。現場に責任感を持ってもらうために、現場が「決裁権」を握ることが大切だと考えていました。そして、その決断を後押しし、経営戦略とのブレを問い、方向性の確認をし、最終的な形にすることが私の仕事でした。

このブランドを作ったのは私やデザイナーではなく、まさに現場の皆さんでした。結局私ができることは、旅路の入口。お客様の旅支度を整え、マインドセットすることで、楽しい旅路になることを全力で応援していくしかできないのだと感じています。ブランドは、お客様そのものですから。

現場がいかに「決裁権」を持ったのかや、エクスターナルブランディングの詳細などは長くなるので、もし知りたければ個別にご連絡ください(笑)。発表した資料も含めて、全部共有します!


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嬉しかった女性設計士のことば

聞き手

ブランディング後の成果についてお聞かせください。


今関

具体的には書けないことが多いですが、営業していく上でのリストを多く獲得できたこと、資料請求の数や自社イベントの質の向上などはありますが、何より嬉しかったのは、現場の女性設計士さんのその後の変化でした。ある時に頂いたメールにはこのように書かれていました。

「思い描いていた未来への切符を手に入れたと思いましたし、同時に、とうとうここまで来てしまったと、後戻りはできないと、重責を覚悟しました。」…何よりの成果だと感じています。


聞き手

今回の取り組みを振り返って、他業種にも活かせる(再現性)のポイントは何かありますか?


今関

繰り返しになりますが、今回のブランディング事例に限らず、私が意識しているのは「継続」するために「仕組み化」すること、それを業務フローにまで落とし込むことです。ただ研修をする、ただロゴを作るだけなら、比較的多くの方ができると思います。でも、インターナルブランディングとエクスターナルブランディングの2つの視点でお客様のビジネスに貢献できるのは、一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会の型を持ち、何度も繰り返してお客様に対峙しているわれわれの強さだと思います。お客様の予算感や求める期待によってどこまでできるかは限られるものの、基本的なスタンスは変わりません。

もっと具体的に色々共有したいのですが、この場ではお伝えしきれないので、何か私が経験したことがお役に立てそうであればご連絡ください。


聞き手

その他、「これだけは伝えたい!」というポイントがあればお聞かせください。


今関

私が資格を取得して5年ほど経ちますが、今回初めて事例コンテストに応募しました。最初は、どこまでの完成度であればコンテストに応募して良いのだろうと考えましたし、まだまだ応募できるような仕事ができていないと思っていました。しかし、今回勇気を出して応募したことで、自分の仕事を振り返るとても良い機会になりました。また、扇野睦巳さん(株式会社ファーストデコ代表取締役、2017年度ブランディング事例コンテスト大賞・中小企業特別賞受賞)の発表にも本当に勇気をいただきました。

私たちは時に、お客様の人生に関わるような場面に遭遇します。私の発言1つ、スタンス1つで、もしかしたら大切な従業員様と社長様が描く未来への歩みが変わるかもしれない、そんな緊張感と責任感の中で、不甲斐ない自分と向き合い日々葛藤しています。

ですが、同じように悩み、同じようにお客様と向き合い成果を出している仲間が全国にいる、それがとても素晴らしいことだと気づいたのです。それに気づかせてくれたのは昨年の大賞の株式会社イマージの北原友さん、そして今年の大賞の株式会社ファーストデコの扇野さんの事例でした。「私もまだまだだなぁ」と感じる圧倒的なパワー、「同じように悩み頑張っているんだ」という安心感や勇気をいただきました。本当に本当にありがとうございます。

最後に、この機会をくれた弊社社長の草間と、支えてくれた会社の仲間、そして共に歩んだ中部建設工業の皆さんに感謝しています。


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