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一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー >荻原猛氏

最先端デジタルマーケティングを駆使して中小・ベンチャー企業を支援 「マーケティングの民主化」の担い手に

荻原 猛氏

【プロフィール】

ソウルドアウト株式会社  代表取締役社長
荻原 猛氏

1973年生まれ、中央大学大学院戦略経営研究科修了。大学卒業後、すぐ起業。ただ、成長のビジョンを描けずに解散するが、そのときインターネットの可能性に気づき、2000年に株式会社オプトに入社。 2006年に執行役員に就任。2009年にソウルドアウト株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。



聞き手:ブランド・マネージャー認定協会 代表理事 岩本




2009年に株式会社オプトホールディングの100%子会社として設立されたソウルドアウト。最先端のデジタルマーケティングを駆使し、中小・ベンチャー企業の売上を支援する取り組みを行っています。同社の設立の背景や地方企業および中小・ベンチャー企業を対象とする意義、そしてマーケティングにおけるブランドの重要性について、代表取締役社長荻原猛氏にお話を伺いました。



最初の起業でインターネットの可能性に気づいた

聞き手

ソウルドアウトは、中小・ベンチャー企業をデジタルマーケティングによって積極的に支援する事業を展開しています。そもそも、なぜ中小・ベンチャー企業を対象にしようと考えたのでしょうか?


荻原

ひとつには、私が幼いころに経験した強烈な体験がベースにあります。当時、私は社長だった父のもとで、お坊ちゃんとして育てられていました。ですが、父のビジネスが失敗して突然貧乏になり、借金取りが家に来るまでになりました。その前後の落差は想像を絶するもので、周りの大人の態度も変わっていきました。その変化を目の当たりにし、父の仇をとりたい、と思ったんです。


聞き手

その当時の思いが、のちに「中小・ベンチャー企業を支援する」ことの原動力になったわけですね。その後、どのような形で起業されたのでしょうか?


荻原

大学卒業後すぐ、什器などを販売する会社を立ち上げました。当時、メーカーの方の支援を受けて、販売代理店のような事業を手がけていました。ですが、今考えると「起業がゴール」だったような気もして、志を高く持って始めたわけではありませんでした。そのため成長の絵も描けず、2~3年でうまく機能しなくなりました。


聞き手

一度挫折を経験されているわけですね。起業して何か得たものもありましたか?


荻原

簡単に折れない、とても強い心を得ました(笑)それにインターネット経由で什器が売れる様子を目の当たりにしたことは大きかったですね。「ネットで物が売れる」ことを体験ました。それで、「インターネットの活用を提案できれば、もっとたくさんの人の役に立てるかも」と思い、ネット専業の広告会社でもあるオプトに入社したんです。


荻原氏

中小・ベンチャー企業にデジタルマーケティングを届けたい

聞き手

IT企業の中で、オプトを選ばれたのはなぜでしょう?


荻原

惹かれた理由はいくつかあって、ひとつは「ネットのマーケティング」に携われるということ。もうひとつは、オプトが上場を目指していたからです。オプトは当時社員は20人ほどで、会社が成長していく過程に非常に関心があったので、その瞬間を自分の目で見てみたいと思ったんです。


聞き手

なるほど。オプトでは、どのような仕事をされていたのでしょうか?


荻原

オプトには2009年まで、約10年間勤務していました。最初は営業で、2年目にはすぐ営業部長になり、その後、金融系企業の支援事業の事業部長になりました。事業部長になると、営業だけではなく仕入れ部門、クリエイティブ部門、マーケティング部門など、いろいろな部門をマネジメントすることになるので、そこで経営の感覚を身に付けることができたのだと思います。


聞き手

オプトというと、現在では大手企業が対象というイメージがあります。荻原社長が中小・ベンチャー企業の支援に着手したのは、どのような背景があったのでしょう?


荻原

オプトも初めから大手企業を対象にしていたわけではありませんでした。当時はベンチャー企業しかネット広告にはチャレンジしておらず、オプトが上場した2004年頃から、大企業がネット広告に参入してきました。そんな中、オプトが電通と資本・業務提携したことは私にとっても大きな出来事でした。電通との資本・業務提携は、めちゃくちゃ面白かったです。広告予算が大きいので、いろいろなことに挑戦できる。それに電通の皆様は、当然ながらビジネスマンとしてカッコいいし、優秀な方がたくさんいました。仕事に対する向き合い方や進め方なども勉強になりました。

ただ、楽しいと思う一方で、大企業のマーケティングに携わりたい方はたくさんいることを改めて感じました。そして「自分がやらなくてもいいかも」と思い始めたんです。そんなときに、成長意欲にあふれた社長たちと仕事をしていたときも楽しかったな、ということを思い出したんです。そして自分の生い立ち、キャリア、動機などを見つめ直しました。それで中小・ベンチャー企業だけを対象にデジタルマーケティングを届ける会社を作りたいと思い、2009年に会社に提案して「ソウルドアウト」を設立したわけです。


ベンチャーは情報共有が重要

聞き手

ソウルドアウトの立ち上げの際、どのようなことを軸にしたのでしょうか?


荻原

まず、ベンチャー企業なのだから、「新領域にチャレンジする会社だ」ということを定義しました。つまり新領域なのだからロールモデルはいない。いつでも自分たちが先駆者だ、誰もやっていないからベンチャーと呼ばれるんだ、と言っていましたね。まず我々自身がベンチャーでいることを大切にしようと考えました。


聞き手

企業理念を、全社員に共有するためにどのような工夫をされましたか?


荻原

年に一回、全社員に直接、戦略や方針を伝える場である「社長大学」を行います。15人を一組として、10時間ずつ、全部で150時間くらいを使います。また、半期に一回、全国の全社員を集め、慰労と決起の意味を込めて納会を行います。さらに、3か月に一回、グループ会社の代表や各事業部のトップによる方針発表会も開催しています。これらの共有施策により、各自が持つ情報のレベルを少しずつ上げてもらう狙いです。


聞き手

情報共有を非常に重視しているわけですね。なぜ、そのような考えに至ったのでしょう?


荻原

中小・ベンチャー企業の場合は、社長や役員が商談相手のことが多いです。なので、私が持っている自社の情報を社員と共有することで、自社の経営について理解できるようになります。そうなると弊社の担当者が社長と話ができるかもしれません。もう一つの視点としては、企業経営において、経営者と社員の間には信頼関係が重要だと思っています。信頼がないと何も前進しません。社員に信頼関係を結ぶためにも情報開示は重要です。


聞き手

ソウルドアウトでは、中小・ベンチャー企業を主なお客様としていますが、どのような事業を手がけているのでしょうか?


荻原

当社のお客様で多いのは、楽天やリクルートなどの仕組みを活用して集客を行っているけれど、そろそろ自社のサイト、ブランドでも戦いたいと考えている企業です。ただサイトの作り方やSNSの活用の仕方などは分からないので、そこを我々が整理してあげる。また、グーグルをはじめとしたプラットフォーマーの変化スピードが速すぎて、情報をキャッチアップできないニーズもあります。それでは売上は上がりませんし、その間に競合にシェアを奪われます。そこで、我々が常に情報をアップデートして知識を蓄え、最先端の技術を地方の企業にも届ける、というわけです。


荻原氏

ブランドはマーケティングの核である

聞き手

荻原社長は、「ブランドはマーケティングの核である」と仰っています。ブランドが大事だと思うきっかけは何だったのでしょう?


荻原

自分たちのコンセプトやミッションを言葉にすると、立体的な世界観が出てくるんです。そうすると、どの切り口からも「ソウルドアウトっぽいね」と言ってもらえる。会社を経営するにあたって、たくさんの人にそこを認知してもらうことが売上につながっていく、と肌で理解できたことが大きいですね。最も重要なことは、会社のコンセプトを固めることだと実感しました。


聞き手

そのコンセプトを浸透させるために、どのようなことを行ったのでしょうか?


荻原

A4用紙一枚に、会社の経営コンセプトを表にしました。どういうミッションか、成し遂げたい世界観は何か、支援したいお客様は誰か……全部、図式にしました。これを社員に見てもらう。立ち上げ当初の、まだ何もない会社が持っているものといえば、社長の頭の中のコンセプトしかありません。それを書面化し、浸透させていったのです。


聞き手

ブランディングを行ううえで、特に気を付けていることはなんでしょうか?


荻原

一貫性ですね。対外的に言葉を発信するとき、そこに一貫性があるかどうかを常にチェックしています。


聞き手

お客様に対しても、ブランディングの支援を手掛けているのですか?


荻原

実は最近、そうしたお問い合わせがすごく増えています。


聞き手

それはなぜでしょう?


荻原

企業が成長戦略上、リブランディングが重要と捉え始めてきたからです。たとえば、ターゲットに認知され、一定の市場シェアを取れるにつれ、売上は横ばいになる。そうすると、次は違う商品を作るか、異なるターゲットに拡張するか、その判断も含めた成長戦略が重要になります。そこでリブランディングをしないと勝てません。だからそのタイミングで、改めて「誰の役に立つためのサービスか」を整理してあげる必要があるのです。


聞き手

なるほど。そのような支援のための、具体的なサービスを提供していく予定もあるのでしょうか?


荻原

はい。今はさらにニーズのある顧客企業が増えてきましたので、独自のメソドロジーを開発しています。お客様と一緒にブランドを構築していくためのサービスをパッケージでリリースする予定です。


聞き手

デジタルでの支援のみに留まらないサービスを提供していく、ということでしょうか?


荻原

次第にそうなっていくかもしれませんね。ただ、デジタルを中心に置くべきという考え方に変わりはありません。


“マーケティングの民主化”の担い手に

聞き手

中小・ベンチャー企業向けの事業を手がける中で、最大の喜びとは?


荻原

一緒にお仕事をしてきた顧客企業が上場することは、幸せですね。デジタルマーケティングの視点から、あるラインを越える規模にまで成長していく過程を支援できることは喜びです。


聞き手

お客様と喜びを共有できるわけですね。


荻原

それに、成功すると雇用が生まれます。優良な会社が大きくなり、優良な社長がたくさんの社員を雇っていくことは、日本の発展に最高に寄与しているとも言えますよね。これからもお客様の成果が挙がることを是としていきたい。成果には圧倒的にこだわる社風だと思います。


聞き手

最後に、今後のソウルドアウトのビジョンを教えてください。


荻原

テクノロジーの進化は止まりません。テクノロジーがいろんな社会変化を引き起こし、イノベーションを起こしてくれるはずです。ただ、テクノロジーは所詮手段でしかありません。重要なのは、中小・ベンチャー企業の皆様が「自分の会社を通じて誰の役に立ちたいのか」を鮮明にすることです。そのコンセプトや意志、ブランドをしっかりと言語化して発信し、たくさんの応援団を作っていくことが大事だと思います。そうすることではじめて、テクノロジーがスケールに貢献してくれると考えています。デジタルとブランド、両方を経営の中心に据えて発展していくことが、未来の大きな指針になっていくのではないでしょうか。

テクノロジーの進化は、ターゲティング精度が劇的に向上するという恩恵をもたらしました。つまり最小のコストで広告を出稿できることを可能にしました。テクノロジーの発展は、誰もがマーケティングを実践できる「マーケティングの民主化」を生んでいる現実があるので、「ソウルドアウト」がこれからもその担い手になっていければと思います。


荻原氏と岩本
今回インタビューを受けていただいた荻原猛氏と、当協会代表理事岩本で記念撮影

※掲載の記事は2018年12月時点の内容です。
掲載内容が変更となっている場合がございますので、ご了承ください。