「客数より客層」を重視することでブランド力が上がる
生産性と利益を向上させるための
「商品構成」と「価格設定」とは?
株式会社サンアスト佐治 邦彦氏
Profileプロフィール
株式会社サンアスト 代表取締役
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 エキスパートトレーナー
1990年、求人広告代理店として株式会社サンアストを設立。
ファッション誌の営業広告や飲食店、パチンコ店の販促広告を扱うほか、焼き肉店の開業など様々な事業を展開。
2010年に経営コンサルティング業に転換。
2011年に一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会のトレーナー資格を取得し、中小企業にブランディングを普及・啓発する活動も開始。
これまでに500社以上の中小企業を支援しており、2015年に自ら体系化した「ミッションマーケティング」の提供を開始。
ブランド・マネージャー認定協会 エキスパートトレーナーとしても活躍中。
著者に『頑張らせない経営(社員の「ムリ」「ムラ」「ムダ」をなくして会社を「儲かる体質」に変える3つの方法)』 (standards/2021)、『年商1億社長のためのシンプル経営の極意』(商業界/2019) がある。
「ミッションマーケティング」を提唱し、これまで数々のコンサルティングを手掛けてきたサンアスト代表取締役の佐治邦彦氏。
生産性を向上させ、高収益ビジネスを実現するためには「商品構成」と「価格設定」が重要だと話します。
佐治氏に「ミッションの浸透と生産性を向上させる商品構成」と「利益を爆上げする価格設定」をテーマにお話を伺いました。
商品構成次第で原価の高騰もチャンスにできる
Q.
本日は、数々のコンサルティングの実績を持ち「ミッションマーケティング」を提唱している佐治さんに、「ミッションの浸透と生産性を向上させる商品構成」や「利益を爆上げする価格設定」をテーマにお話をお伺いしたいと思います。
まずは「ミッションの浸透と生産性を向上させる商品構成」ですが、具体的にはどのようなことを実践すれば良いのでしょうか。
佐治さんがこれまでに手掛けられてきた事例も交えて教えてください。
まずは「ミッションの浸透と生産性を向上させる商品構成」ですが、具体的にはどのようなことを実践すれば良いのでしょうか。
佐治さんがこれまでに手掛けられてきた事例も交えて教えてください。
では、浜松にある郷土料理の居酒屋さんの事例をご紹介します。
この店では、郷土料理居酒屋と言いながら、もつ鍋が流行ったらもつ鍋、から揚げが流行ったらから揚げ……と、そのときのブームの商品をメニューに入れていたんです。
ただ、やはり流行りの商品を入れているだけなので、お客様には浸透しない。そこで、「遠州人が誇りに思う店」というミッションを打ち出し、商品構成は餃子やうなぎ、カツオなど浜松の郷土料理に絞りました。
同時に、商品の背景にある地元の生産者を全面に出すことにしたんです。
以前はミッションとは関係ない商品を出して、期待してきたお客さんをがっかりさせてしまっていたので、そこを改善したわけです。
また、イベリコ豚の専門店の場合は、「世界一の生ハム」と言われるものを日本に輸入した会社なのですが、以前はイベリコ豚を「豚しゃぶ」として売っていました。
そこで「本物のイベリコ豚を広めると共に、環境問題を解決するNO.1企業」というミッションを設定し、イベリコ豚の文化を発信していこうと決めました。
この生ハムはマリー・アントワネットやナポレオンがこよなく愛した、本当に貴重なイベリコ豚の生ハムなのですが、「豚しゃぶ」という形で売ってしまうと、価値が伝わらない。
そこで「生ハム」という、お客様に喜ばれる商品をメインに持っていこうと決めたわけです。
基本的な方針としては、イベリコ豚のおいしさというより、歴史や文化をしっかり伝えていこうということですね。
ミッションをさらに浸透させるため、昨年1本142万9,000円の生ハムも作ってギネスに登録されました。
通販でも2021年12月は単月で6,000万円以上を売っています。
このように、ミッションを伝えることができれば高単価でも売れる。
しかも時代を超えて長期的に売れるわけです。
この店では、郷土料理居酒屋と言いながら、もつ鍋が流行ったらもつ鍋、から揚げが流行ったらから揚げ……と、そのときのブームの商品をメニューに入れていたんです。
ただ、やはり流行りの商品を入れているだけなので、お客様には浸透しない。そこで、「遠州人が誇りに思う店」というミッションを打ち出し、商品構成は餃子やうなぎ、カツオなど浜松の郷土料理に絞りました。
同時に、商品の背景にある地元の生産者を全面に出すことにしたんです。
以前はミッションとは関係ない商品を出して、期待してきたお客さんをがっかりさせてしまっていたので、そこを改善したわけです。
また、イベリコ豚の専門店の場合は、「世界一の生ハム」と言われるものを日本に輸入した会社なのですが、以前はイベリコ豚を「豚しゃぶ」として売っていました。
そこで「本物のイベリコ豚を広めると共に、環境問題を解決するNO.1企業」というミッションを設定し、イベリコ豚の文化を発信していこうと決めました。
この生ハムはマリー・アントワネットやナポレオンがこよなく愛した、本当に貴重なイベリコ豚の生ハムなのですが、「豚しゃぶ」という形で売ってしまうと、価値が伝わらない。
そこで「生ハム」という、お客様に喜ばれる商品をメインに持っていこうと決めたわけです。
基本的な方針としては、イベリコ豚のおいしさというより、歴史や文化をしっかり伝えていこうということですね。
ミッションをさらに浸透させるため、昨年1本142万9,000円の生ハムも作ってギネスに登録されました。
通販でも2021年12月は単月で6,000万円以上を売っています。
このように、ミッションを伝えることができれば高単価でも売れる。
しかも時代を超えて長期的に売れるわけです。
Q.
ミッションと商品がつながれば、長期的に高単価が継続できるという好例ですね。
ほかにも「ミッションの浸透と生産性を向上させる商品構成」の例があれば教えてください。
ほかにも「ミッションの浸透と生産性を向上させる商品構成」の例があれば教えてください。
ポップコーン屋のポップコーンパパさんの事例をご紹介します。
こちらのポップコーンは、「大切な人との絆をつなぐポップコーン」がミッションです。
「ポップコーンは楽しいときに食べるものなんだ」という思いから、人と人の絆をつなぐというミッションを作ったわけです。
こちらでは、以前レギュラーメニューが32種類あったのですが、それは「人と人をつなぐ」というミッションとはつながらなかった。
そこで、レギュラーメニューを21種類に絞り、さらに「大阪セット」などの「人と人をつなぐ」セットメニューを始めました。
これは大阪土産として人に渡すポップコーンです。
ほかに母の日や父の日、クリスマス、ハロウィンパーティーのときに食べるポップコーンなども始めました。
今は、ポップコーンの代金の一部を子供たちのために募金する仕組みも始めています。
このように、商品構成を通じてミッションを浸透させ、企業の存在意義を広めていくというやり方もあるわけです。
また、商品の絞り込みで生産性も向上しました。
21種類からさらに2割の4種類だけを強調したポップを作り、その4種類に集中させる手法をとったんです。
ローコストオペレーションにすることで、一気に収益を改善させたわけですね。
外部環境が悪くても、商品構成、価格設定を変えるだけで収益は出せるので、しっかりと分析しながら判断することが大事だと思います。
同じように、2割の商品で8割の売り上げを作る形をもう一つご紹介します。
名古屋にある焼肉屋さんで、もともとは外国人観光客が7割だったのでコロナ禍で危機を迎えましたが、今期計画ではコロナ前の2倍を予定しています。
この会社のミッションは「最高級和牛で大切な仲間とわくわくする食の瞬間づくり」。
こちらでは「集客商品」として、649円(税込)の値段でA5ランクのカルビを提供しています。
これでお客様が集まり、リピートする。
一方、「収益商品」を野菜にして、高単価で販売しています。
この「肉と野菜のバランス」によって粗利が取れるわけですね。
また、お金に余裕のある人に対しては「演出商品」として、締めに食べる牛肉のお寿司やローストビーフを提供しています。
これはさらに主役を引き立てるメニューとなります。
こうしたメニューミックスという方法で、つまり2割の商品で8割の売り上げを作る形にするために絞り込んでいるわけです。
こうした集客商品、収益商品、演出商品の組み合わせによって、原価が高騰したときも、原価率の低い演出商品と収益商品があるため吸収できてしまうし、原価の高い集客商品を絞り込むことで、価格の高騰もコントロールできてしまうわけです。
こういうテクニックを知っていると、原価の高騰もチャンスになるのです。
こちらのポップコーンは、「大切な人との絆をつなぐポップコーン」がミッションです。
「ポップコーンは楽しいときに食べるものなんだ」という思いから、人と人の絆をつなぐというミッションを作ったわけです。
こちらでは、以前レギュラーメニューが32種類あったのですが、それは「人と人をつなぐ」というミッションとはつながらなかった。
そこで、レギュラーメニューを21種類に絞り、さらに「大阪セット」などの「人と人をつなぐ」セットメニューを始めました。
これは大阪土産として人に渡すポップコーンです。
ほかに母の日や父の日、クリスマス、ハロウィンパーティーのときに食べるポップコーンなども始めました。
今は、ポップコーンの代金の一部を子供たちのために募金する仕組みも始めています。
このように、商品構成を通じてミッションを浸透させ、企業の存在意義を広めていくというやり方もあるわけです。
また、商品の絞り込みで生産性も向上しました。
21種類からさらに2割の4種類だけを強調したポップを作り、その4種類に集中させる手法をとったんです。
ローコストオペレーションにすることで、一気に収益を改善させたわけですね。
外部環境が悪くても、商品構成、価格設定を変えるだけで収益は出せるので、しっかりと分析しながら判断することが大事だと思います。
同じように、2割の商品で8割の売り上げを作る形をもう一つご紹介します。
名古屋にある焼肉屋さんで、もともとは外国人観光客が7割だったのでコロナ禍で危機を迎えましたが、今期計画ではコロナ前の2倍を予定しています。
この会社のミッションは「最高級和牛で大切な仲間とわくわくする食の瞬間づくり」。
こちらでは「集客商品」として、649円(税込)の値段でA5ランクのカルビを提供しています。
これでお客様が集まり、リピートする。
一方、「収益商品」を野菜にして、高単価で販売しています。
この「肉と野菜のバランス」によって粗利が取れるわけですね。
また、お金に余裕のある人に対しては「演出商品」として、締めに食べる牛肉のお寿司やローストビーフを提供しています。
これはさらに主役を引き立てるメニューとなります。
こうしたメニューミックスという方法で、つまり2割の商品で8割の売り上げを作る形にするために絞り込んでいるわけです。
こうした集客商品、収益商品、演出商品の組み合わせによって、原価が高騰したときも、原価率の低い演出商品と収益商品があるため吸収できてしまうし、原価の高い集客商品を絞り込むことで、価格の高騰もコントロールできてしまうわけです。
こういうテクニックを知っていると、原価の高騰もチャンスになるのです。
Q.
集客商品、収益商品、演出商品についてもう少し伺えればと思います。
先ほどのイベリコ豚やポップコーン屋の事例に当てはめると、どういう形になるのでしょうか。
先ほどのイベリコ豚やポップコーン屋の事例に当てはめると、どういう形になるのでしょうか。
イベリコ豚の場合は、「世界一の生ハム」が集客商品ですね。
収益商品は豚しゃぶ、肉寿司、ドリンクなど。
演出商品は「生ハムキープ」や142万9,000円の生ハムです。
ポップコーンパパさんの場合は、集客商品は「うめかつお味」で、一番リピート率が高い商品です。
それに対して収益商品は、キャラメルナッツ、パインアメといった商品。
このキャラメルナッツ、パインアメという収益商品を買っていただくことによって、演出商品の「大阪セット」などを大々的に見せて誘導しているんです。
お伝えしたいのは、商品構成を変えるのは、そんなに難しくないということ。
売り上げが落ちると、客数を増やそうということばかりに意識がいきがちですが、商品構成を変えることは難しくないテクニックなんです。
客数を増やすこと以上に、商品構成をコントロールしたり、価格をコントロールしたりして、いかに収益を確保しながら顧客満足を作るか……そういう考え方が必要だと思います。
収益商品は豚しゃぶ、肉寿司、ドリンクなど。
演出商品は「生ハムキープ」や142万9,000円の生ハムです。
ポップコーンパパさんの場合は、集客商品は「うめかつお味」で、一番リピート率が高い商品です。
それに対して収益商品は、キャラメルナッツ、パインアメといった商品。
このキャラメルナッツ、パインアメという収益商品を買っていただくことによって、演出商品の「大阪セット」などを大々的に見せて誘導しているんです。
お伝えしたいのは、商品構成を変えるのは、そんなに難しくないということ。
売り上げが落ちると、客数を増やそうということばかりに意識がいきがちですが、商品構成を変えることは難しくないテクニックなんです。
客数を増やすこと以上に、商品構成をコントロールしたり、価格をコントロールしたりして、いかに収益を確保しながら顧客満足を作るか……そういう考え方が必要だと思います。
バックエンド商品の購入につなげるステップマーケティング
Q.
商品構成について、ほかにも大事なテクニックがあれば教えてください。
ステップマーケティングという手法があります。
たとえば、カーコーティング業の会社の事例なのですが、フロントエンド、バックエンドという商品構成をとっています。
フロントエンドが集客商品で、購入しやすいリーズナブルな商品。
バックエンドが収益商品で、いきなり購入するにはハードルが高い高額商品などです。
高額な商品を売る会社の場合、まずはフロントエンドで買いやすい商品を買っていただいて、バックエンドで高額商品を案内するわけです。
つまりこちらの会社の場合は、フロントエンドでコーティングとフィルムを販売して、バックエンドでデットニングという車内が静かになる商品を販売しています。
バックエンドでは大体100万前後ぐらいの商品を扱います。
これによって平均単価が上がっていくわけですね。
さらに、こちらの場合、ミッションは「愛車の価値が高まるトータルカービューティー」です。
そこまでセットで体験させるからこそ、本来自分たちが提供したい価値が提供できるわけです。
さらに、フロントエンド、ミドルエンド、バックエンドという組み合わせもあります。
3ステップで考えるということですね。
通販で言えば、フロントエンドはお試しセットです。
ミドルエンドは本商品の購入。
そしてバックエンドは定期購入というわけです。
音楽教育なら、フロントエンドが体験コース、ミドルエンドは教室入会、バックエンドは楽器販売や調律販売。
コンサルタントなら、フロントエンドは体験セミナー、ミドルエンドは3日間講座、バックエンドはコンサルティング……このように、商品を横並びではなく縦並びにして、お客様のために次の商品を案内していく。
そのような形で階段を上っていくと、会社にとっても高収益が期待できるし、お客様にとっても安定した高い満足度になっていく。
これこそがミッションの浸透なんです。
単にお客様に買いやすい商品を買っていただくだけでは、ミッションの浸透にはなりません。
商品構成を通じて、お客様のためになる案内をする。
そういう商品構成にならなければいけないと思います。
たとえば、カーコーティング業の会社の事例なのですが、フロントエンド、バックエンドという商品構成をとっています。
フロントエンドが集客商品で、購入しやすいリーズナブルな商品。
バックエンドが収益商品で、いきなり購入するにはハードルが高い高額商品などです。
高額な商品を売る会社の場合、まずはフロントエンドで買いやすい商品を買っていただいて、バックエンドで高額商品を案内するわけです。
つまりこちらの会社の場合は、フロントエンドでコーティングとフィルムを販売して、バックエンドでデットニングという車内が静かになる商品を販売しています。
バックエンドでは大体100万前後ぐらいの商品を扱います。
これによって平均単価が上がっていくわけですね。
さらに、こちらの場合、ミッションは「愛車の価値が高まるトータルカービューティー」です。
そこまでセットで体験させるからこそ、本来自分たちが提供したい価値が提供できるわけです。
さらに、フロントエンド、ミドルエンド、バックエンドという組み合わせもあります。
3ステップで考えるということですね。
通販で言えば、フロントエンドはお試しセットです。
ミドルエンドは本商品の購入。
そしてバックエンドは定期購入というわけです。
音楽教育なら、フロントエンドが体験コース、ミドルエンドは教室入会、バックエンドは楽器販売や調律販売。
コンサルタントなら、フロントエンドは体験セミナー、ミドルエンドは3日間講座、バックエンドはコンサルティング……このように、商品を横並びではなく縦並びにして、お客様のために次の商品を案内していく。
そのような形で階段を上っていくと、会社にとっても高収益が期待できるし、お客様にとっても安定した高い満足度になっていく。
これこそがミッションの浸透なんです。
単にお客様に買いやすい商品を買っていただくだけでは、ミッションの浸透にはなりません。
商品構成を通じて、お客様のためになる案内をする。
そういう商品構成にならなければいけないと思います。
オペレーション効率を改善する松竹梅の法則
Q.
効果的に利益を上げるためには、現場のオペレーションも重要です。
販売効率を上げるための商品構成についてはどのように考えるべきか、教えてください。
販売効率を上げるための商品構成についてはどのように考えるべきか、教えてください。
松竹梅の法則をご紹介します。
たとえば価格で言うと、梅が2000円、竹が3000円、松が5000円です。
原価は梅が25%、竹が35%、松が50%。
この真ん中の竹をちょっと梅に近づけるだけで、7割から8割の人が竹にいくんです。
こういう手法を用いて、なるべく同じものを買っていただくようにすることができます。
現場のオペレーション効率が良ければ、そのぶん顧客満足につながるわけです。
顧客の心理についてもご説明すると、まず松を買う人は、価値優先です。
竹を選ぶ人は、失敗したくない人。
そして梅を選ぶ人は安さ優先です。
つまり、一番下の梅に来る人たちは量を重視しているので、原価を下げて量を出していく。
竹は標準的なもの。
松はモノの価値を求める人たちが買いますから、ちょっと原価をかける。
そうすると、良いお客様が定着します。
松は原価が50%ですが、ほかの二つよりも利益額が高いのです。
松は素材重視、竹はコンセプト重視、梅はボリューム重視、という形で考えていただければと思います。
たとえば価格で言うと、梅が2000円、竹が3000円、松が5000円です。
原価は梅が25%、竹が35%、松が50%。
この真ん中の竹をちょっと梅に近づけるだけで、7割から8割の人が竹にいくんです。
こういう手法を用いて、なるべく同じものを買っていただくようにすることができます。
現場のオペレーション効率が良ければ、そのぶん顧客満足につながるわけです。
顧客の心理についてもご説明すると、まず松を買う人は、価値優先です。
竹を選ぶ人は、失敗したくない人。
そして梅を選ぶ人は安さ優先です。
つまり、一番下の梅に来る人たちは量を重視しているので、原価を下げて量を出していく。
竹は標準的なもの。
松はモノの価値を求める人たちが買いますから、ちょっと原価をかける。
そうすると、良いお客様が定着します。
松は原価が50%ですが、ほかの二つよりも利益額が高いのです。
松は素材重視、竹はコンセプト重視、梅はボリューム重視、という形で考えていただければと思います。
価格設定は“価格価値”の追求が大事
Q.
次に「利益を爆上げする価格設定」について教えてください。
価格設定をするうえで大事なポイントは?
価格設定をするうえで大事なポイントは?
価格設定の考え方には、原価思考、競争思考、価値思考があります。
大事なことは、たとえば無意識に原価思考、競争思考になっているなど、自分たちの今までの考え方に捉われた思考になっていてはいけないということ。
今まで、どういう意識で値段を決めていたのかをしっかり把握する必要があります。
ましてや今は、価値が伝われば10倍、100倍の値付けでもモノが売れる時代。
だから価格価値を追求することが大事です。
よく「この商品、いくらなら買いますか」と聞く人がいますが、実は絶対にやってはだめなこと。
そうではなく、自分たちが目指す価格設定で販売するために、その価格がどんな人にとって、どういう意味、価値があるのかをいかにちゃんと説明できるかが大事なんです。
大事なことは、たとえば無意識に原価思考、競争思考になっているなど、自分たちの今までの考え方に捉われた思考になっていてはいけないということ。
今まで、どういう意識で値段を決めていたのかをしっかり把握する必要があります。
ましてや今は、価値が伝われば10倍、100倍の値付けでもモノが売れる時代。
だから価格価値を追求することが大事です。
よく「この商品、いくらなら買いますか」と聞く人がいますが、実は絶対にやってはだめなこと。
そうではなく、自分たちが目指す価格設定で販売するために、その価格がどんな人にとって、どういう意味、価値があるのかをいかにちゃんと説明できるかが大事なんです。
Q.
価格設定について、具体的にはどのように考えれば良いのでしょうか。
一例として、お金の流れを図で示した「戦略ストラック」というものがあります。
たとえば100円のアイスクリームなら、原価が60円で利益が40円とします。
100個売ったら売り上げは1万円で、原価は6,000円、粗利が4,000円です。
固定費が仮に3,000円とすると、この場合の利益は1,000円ですね。
この戦略ストラックで、利益に大きく影響するのは価格、原価、数量、固定費の4つ。
この4つの数値をどのようにコントロールして確実に利益を出すか。
そこを分析して、現場にすぐ指示を出すことが大事になってくるわけです。
市場は、成長すると必ず競合がやってきます。
繰り返しになりますが、このときに一番やってしまいがちなことは、値段を下げること。
たとえば10円下げて売ったとすると、販売数量は同じ100個だったとしても、売り上げは9,000円になりますよね。
原価は同じ6,000円なので粗利は3,000円で、最終的な利益は0になってしまいます。
要するに、競合がやってきて売り上げが落ちる中で、どのような経営判断をして現場に指示を出すか、それがものすごく重要なんです。
この経営判断をせずに、単にがむしゃらに頑張っている会社がすごく多いのですが、それでは組織はどんどん弱体化してしまうんです。
ではどうすれば良いのか。
一つは、値段を変えずに営業努力をするという考え方です。
この場合は販売数量が10%減ると売り上げは9,000円で、先ほどの例と一緒ですよね。
でも販売数量が減ったぶん原価も減っていますので、粗利は3,600円で、利益は600円残るわけです。
こう考えると、安易な値決めがいかに自分たちに経営危機をもたらすかがわかると思います。
さらに、価格を10%上げたらどうなるかを考えてみましょう。
この場合、販売数量が80本に減っても売り上げは8,800円で原価が4,800円、粗利は4,000円。
固定費を引いても利益は1,000円出るわけです。
これは先ほどお話ししたポップコーンパパさんのときにとった手法ですね。
つまり、市場の競争が激しくなるからといって、安易に安く売ってはだめなんですよ。
逆に高く売らなければいけないんです。
そうすれば、客数を減らしても利益は出る。
しかも、客数が減れば固定費も下がります。
ポップコーンパパさんの場合も収益は毎年右肩下がりでしたが、ローコストオペレーションにしたことで半年で10%も改善しました。
たとえば100円のアイスクリームなら、原価が60円で利益が40円とします。
100個売ったら売り上げは1万円で、原価は6,000円、粗利が4,000円です。
固定費が仮に3,000円とすると、この場合の利益は1,000円ですね。
この戦略ストラックで、利益に大きく影響するのは価格、原価、数量、固定費の4つ。
この4つの数値をどのようにコントロールして確実に利益を出すか。
そこを分析して、現場にすぐ指示を出すことが大事になってくるわけです。
市場は、成長すると必ず競合がやってきます。
繰り返しになりますが、このときに一番やってしまいがちなことは、値段を下げること。
たとえば10円下げて売ったとすると、販売数量は同じ100個だったとしても、売り上げは9,000円になりますよね。
原価は同じ6,000円なので粗利は3,000円で、最終的な利益は0になってしまいます。
要するに、競合がやってきて売り上げが落ちる中で、どのような経営判断をして現場に指示を出すか、それがものすごく重要なんです。
この経営判断をせずに、単にがむしゃらに頑張っている会社がすごく多いのですが、それでは組織はどんどん弱体化してしまうんです。
ではどうすれば良いのか。
一つは、値段を変えずに営業努力をするという考え方です。
この場合は販売数量が10%減ると売り上げは9,000円で、先ほどの例と一緒ですよね。
でも販売数量が減ったぶん原価も減っていますので、粗利は3,600円で、利益は600円残るわけです。
こう考えると、安易な値決めがいかに自分たちに経営危機をもたらすかがわかると思います。
さらに、価格を10%上げたらどうなるかを考えてみましょう。
この場合、販売数量が80本に減っても売り上げは8,800円で原価が4,800円、粗利は4,000円。
固定費を引いても利益は1,000円出るわけです。
これは先ほどお話ししたポップコーンパパさんのときにとった手法ですね。
つまり、市場の競争が激しくなるからといって、安易に安く売ってはだめなんですよ。
逆に高く売らなければいけないんです。
そうすれば、客数を減らしても利益は出る。
しかも、客数が減れば固定費も下がります。
ポップコーンパパさんの場合も収益は毎年右肩下がりでしたが、ローコストオペレーションにしたことで半年で10%も改善しました。
Q.
競争が激しくなったときほど安易に値下げせず、正しく分析して経営判断すべきだということですね。
多くの会社は、外部環境の変化があったときに打つべき手を間違えているんです。
安く売るほど客層も悪くなり、現場は忙しくなり、社内が疲弊します。
市場が縮小しているときほど、高単価に設定し、良いお客様に絞って良いサービスを強化することが重要です。
優先すべきは、客数を取るのではなく、良い客層を守ること。
お客様の取り合いによって競合が良いお客様を手放すことが非常に多くなるので、だからこそ重視するのは「客数よりも客層」なんです。
市場が低迷しているときは、客数より客層を取る。
客層が良くなれば、自社の独自性も上がるし、ブランド力も上がるので、客数はその後でついてくる。
このように、値段をコントロールして時代の波をどう乗り越えていくかを考えてほしいと思います。
多くの会社は「売り上げ主義」ですが、それはイコール、客数を増やす発想です。
ですが、実は客数が増えるときというのは、外部環境が良いときか、自社のブランド力が上がったときだけ。
それにもかかわらず客数を取りにいけば、必ず客層は悪くなります。
そして、さらに人件費や販促費が高騰する。
だから「今年こそ売り上げを上げるぞ」「客数を増やすぞ」と考えている会社は、時代に逆行してわざわざ大変になるように経営しているんですね。
逆に利益を上げている会社は、客数を追わずに客層や利益を追っています。
そのうちにブランド力も上がり、顧客満足度も上がり、さらに伸びるための基礎ができる。
このように、常に価格をコントロールしていくことが大事なんです。
一つだけ注意が必要なのは、なんでも値上げすれば良いというものではない、ということ。
たとえばポップコーンパパさんの場合、値上げしてうまくいったのは嗜好品だからです。
生活必需品や消耗品は、値段に敏感なお客様が多いので注意すべきでしょう。
安く売るほど客層も悪くなり、現場は忙しくなり、社内が疲弊します。
市場が縮小しているときほど、高単価に設定し、良いお客様に絞って良いサービスを強化することが重要です。
優先すべきは、客数を取るのではなく、良い客層を守ること。
お客様の取り合いによって競合が良いお客様を手放すことが非常に多くなるので、だからこそ重視するのは「客数よりも客層」なんです。
市場が低迷しているときは、客数より客層を取る。
客層が良くなれば、自社の独自性も上がるし、ブランド力も上がるので、客数はその後でついてくる。
このように、値段をコントロールして時代の波をどう乗り越えていくかを考えてほしいと思います。
多くの会社は「売り上げ主義」ですが、それはイコール、客数を増やす発想です。
ですが、実は客数が増えるときというのは、外部環境が良いときか、自社のブランド力が上がったときだけ。
それにもかかわらず客数を取りにいけば、必ず客層は悪くなります。
そして、さらに人件費や販促費が高騰する。
だから「今年こそ売り上げを上げるぞ」「客数を増やすぞ」と考えている会社は、時代に逆行してわざわざ大変になるように経営しているんですね。
逆に利益を上げている会社は、客数を追わずに客層や利益を追っています。
そのうちにブランド力も上がり、顧客満足度も上がり、さらに伸びるための基礎ができる。
このように、常に価格をコントロールしていくことが大事なんです。
一つだけ注意が必要なのは、なんでも値上げすれば良いというものではない、ということ。
たとえばポップコーンパパさんの場合、値上げしてうまくいったのは嗜好品だからです。
生活必需品や消耗品は、値段に敏感なお客様が多いので注意すべきでしょう。
高単価商品の投入が様々なメリットを生む
Q.
価格設定の考え方について、もう少しお話を聞かせてください。
これまでのお話で値上げの重要さがわかりましたが、ほかにも値上げのテクニックはあるのでしょうか。
これまでのお話で値上げの重要さがわかりましたが、ほかにも値上げのテクニックはあるのでしょうか。
それでは、空調設備の会社の例をご紹介します。
空調設備というのは建築会社の下請けの場合が多いですよね。
予算は最後につけられるし、建築会社にとって使い勝手がいいところが良しとされています。
ただ、空調はお店を長く続けていく場合、お客様や社員の居心地に最も影響を与えるもの。
だから社員の定着やお客様にリピートしてもらうためには、空調がいかに大事か、その価値を伝えて、適正価格をしっかり提示することが重要です。
実際、クライアントの空調設備会社もコロナ禍で売り上げは下がっていますが、利益は倍以上になっています。
お客様にとって、どんなメリットがあるのか、しっかりと伝えることで製品を買っていただけるわけです。
もう一つ、コーヒー専門店の事例もあります。
この店はしっかりと価格設定の分析ができていませんでしたが、きっちり分析して、集客のために行っていたコーヒーのチケットキャンペーンをやめることを決断しました。
チケット販売で来るお客様が何パーセントで、どれぐらい粗利を損失してきたかのデータを見て分析したことで決断できたんですね。
そしてこの決断によって、安定的に利益が出るようになりました。
値決めの判断で大きく改善したわけです。
値上げのテクニックはほかにもいろいろあります。
たとえばお勧め商品、キャンペーン商品という高単価商品を投入するのもその一つ。
イベリコ豚のお店は、142万9,000円の高単価商品を投入しましたが、それは売るためではなく、一部をVIP客への特別なプレゼントとすることでメインの商品が売れたり、リピーターになったり、ブランド力が上がったりする効果を狙っているわけです。
高単価商品を投入することで様々なメリットがあるということですね。
また、低単価商品を排除する方法もありますし、ポップコーンパパさんのようにセット販売をすることで客単価を上げていく方法や、無料サービスを有料化する方法もあります。
考えてほしいのは、5%、10%の値引きがいかに利益に影響するかということ。
お客様に与えるインパクトと会社に与えるインパクトは全然違いますから、価格の決め方はとても大事だと思います。
このように、商品構成と価格設定を緻密に設計し、ブランド力を上げて強固な経営基盤を築いていただければと思います。
空調設備というのは建築会社の下請けの場合が多いですよね。
予算は最後につけられるし、建築会社にとって使い勝手がいいところが良しとされています。
ただ、空調はお店を長く続けていく場合、お客様や社員の居心地に最も影響を与えるもの。
だから社員の定着やお客様にリピートしてもらうためには、空調がいかに大事か、その価値を伝えて、適正価格をしっかり提示することが重要です。
実際、クライアントの空調設備会社もコロナ禍で売り上げは下がっていますが、利益は倍以上になっています。
お客様にとって、どんなメリットがあるのか、しっかりと伝えることで製品を買っていただけるわけです。
もう一つ、コーヒー専門店の事例もあります。
この店はしっかりと価格設定の分析ができていませんでしたが、きっちり分析して、集客のために行っていたコーヒーのチケットキャンペーンをやめることを決断しました。
チケット販売で来るお客様が何パーセントで、どれぐらい粗利を損失してきたかのデータを見て分析したことで決断できたんですね。
そしてこの決断によって、安定的に利益が出るようになりました。
値決めの判断で大きく改善したわけです。
値上げのテクニックはほかにもいろいろあります。
たとえばお勧め商品、キャンペーン商品という高単価商品を投入するのもその一つ。
イベリコ豚のお店は、142万9,000円の高単価商品を投入しましたが、それは売るためではなく、一部をVIP客への特別なプレゼントとすることでメインの商品が売れたり、リピーターになったり、ブランド力が上がったりする効果を狙っているわけです。
高単価商品を投入することで様々なメリットがあるということですね。
また、低単価商品を排除する方法もありますし、ポップコーンパパさんのようにセット販売をすることで客単価を上げていく方法や、無料サービスを有料化する方法もあります。
考えてほしいのは、5%、10%の値引きがいかに利益に影響するかということ。
お客様に与えるインパクトと会社に与えるインパクトは全然違いますから、価格の決め方はとても大事だと思います。
このように、商品構成と価格設定を緻密に設計し、ブランド力を上げて強固な経営基盤を築いていただければと思います。
※掲載の記事は2022年7月時点の内容です。
掲載内容が変更となっている場合がございますので、ご了承ください。
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