一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー >長崎秀俊氏
【プロフィール】
目白大学 社会学部教授
ブランド・マネージャー認定協会 顧問
長崎 秀俊氏
大日本印刷、インターブランドジャパン、明治学院大学、昭和女子大学、立教大学の講師を歴任し、2014年に目白大学准教授に就任、2018年教授に昇任。マーケティング、ブランディングに精通し、インターブランドジャパンでのストラテジーディレクターとしての実務経験を活かした実践的な研究教育を得意とする。大学で教鞭をとりながらブランドコンサルタントとして実務も続けている。高尾登山電鉄、銀座中央軒煎餅など実績多数。2001年9月、公益財団法人 吉田秀雄記念事業財団 助成研究 佳作受賞(「ロングセラーブランドのパッケージアイデンティファイア効果の研究」にて店内プル活動としての製品戦略と店外プル活動としての広告戦略を考察)。主な著書に「イラストで理解するブランド戦略入門」(三弥井書店)など。
聞き手:一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 ディレクター 能藤
聞き手
先生は「パッケージ・アイデンティファイア」という概念を提唱されています。具体的には、どのようなことを指す言葉なのでしょうか。
長崎
これは「ブランド・アイデンティファイア(Brand Identifier)」という、中央大学教授の田中洋先生と電通の丸岡さんという方が提唱された概念が基になっています。たとえばブランドを認識するときは、自分の頭の中にある記憶と、そのとき見たものを同定化させているわけですよね。ロゴや名前など、同定化させるためにはいくつかの要素があり、仮にパッケージのデザインが変わったとしてもそうした要素が頭の中の記憶と一致することで、同じブランドだと認識できるわけです。そのブランドの同定化のための要素を「ブランド・アイデンティファイア」と名付けたんですね。
聞き手
「ブランド・アイデンティファイア」は、いわゆるブランド要素と同じようなものでしょうか。
長崎
そうですね、ブランドを認識させるものなので、同じと言えると思います。で、そうした動きを見ていて、私が研究している「パッケージらしい」という言葉が同じように表現できるのではと考えたんです。たとえば、永谷園のお茶づけ海苔であれば、歌舞伎の緞帳の背景デザイン。明治のカールなら、カールおじさんがひとりいるだけでカールだと認識しますよね。それが「パッケージ・アイデンティファイア」です。他の論文でも紹介されたことがない概念だと思います。
長崎
分かりやすく言うと、消費者に「ああ、あのパッケージだ」と頭の中で認識させる要素のことです。たとえブランド名を忘れていても、頭の中でパッケージを介してブランドの記憶とつながっている状態を想像するとわかりやすいかもしれません。
それを特定して、変化させないことがブランドにおいては大事なんです。「パッケージ・アイデンティファイア」を変化させてしまうと、パッケージを見ても同じブランドと認識できなくなり、売り上げが落ちてしまうリスクがあります。
聞き手
現在、最もご興味を持って取り組んでいらっしゃるのも、そうしたパッケージ研究なのですね。
※掲載の記事は2020年1月時点の内容です。
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