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一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー >岩田 松雄氏 Vol.1

ミッションを愚直に貫くことが<ブランド>になる – 前編

岩田 松雄氏 Vol.1 株式会社リーダーシップコンサルティング 代表

聞き手:一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 代表理事 岩本俊幸

【岩田 松雄氏のプロフィール】

1982年に日産自動車入社。

製造現場、セールスマンから財務に至るまで幅広く経験し、

社内留学先のUCLAビジネススクールにて経営理論を学びMBA取得。

帰国後は、外資系コンサルティング会社、日本コカ・コーラ常務を経て、経営者として頭角をあらわし、

(株)アトラスの代表取締役として、3期連続赤字企業をターンアラウンド、

(株)イオンフォレスト(THE BODY SHOP Japan)の代表取締役社長としての売上倍増、

スターバックスコーヒージャパン(株)のCEOとして業績向上等、

“専門経営者”として確固たる実績を上げてきた。


岩田 松雄氏の主な著書

  • ミッション
    元スターバックスCEOが教える働く理由

  • ブランド
    元スターバックスCEOが教える「自分ブランド」を築く48の心得




ミッションが社員の力を引き出す

聞き手

本日は宜しくお願いします。
まず、岩田さんのご経歴をお聞かせいただけますか?


岩田

1982年に日産に入社し13年間お世話になりました。
その間、生産管理、品質管理、購買、財務などを経験し、 販売店のセールスマンも2年間担当しました。
32歳の時にUCLAビジネススクールにも行かせてもらい、とてもよい勉強になりましたね。
それからコンサルティング会社に転職して2年、日本コカ・コーラで購買を4年。
そこからアトラスというゲーム会社で初めて経営者を経験しました。
アトラスがタカラの子会社になったときにタカラに移り、 その後にザ・ボディショップで4年間の社長。
それからスターバックスのCEOを2年務め、現在に至ります。


聞き手

著書のなかで、日産入社当初に 「日産の社長になる」という目標を掲げられたとありましたが、 やはり最初から経営者になりたいという感覚があったのでしょうか?


岩田

その頃はまだ社長というものが 実際にどういうものかわからなかったし、世間知らずでしたから……。
私は公立高校で野球をやっていて、その時も一応甲子園を目指していました。
同じようにサラリーマンとしても何か高い目標を持ちたいということで、 部長ではなくて、「社長を目指すしかない」という単純な気持ちでした。


聞き手

なるほど。それが後に叶うことになるわけですね。
ご経歴を見ると、ステップアップのタイミングで転職されていますが、 これはご自身のキャリアプランがあっての事なのでしょうか?


岩田

転職した時には、当然その会社に長くいたいという気持ちでした。
ただ、次のチャレンジが求められたり、お声をかけていただいたりと、自然な流れですね。
最初から“ビジネススクール→コンサルティングファーム→外資系企業の社長” という道筋を描いていたわけではありません。
漠然と経営者をやりたいと思っていましたけれども、 その時々、自分に与えられた役割を一所懸命やっていた結果、 チャンスに巡り合ったということですね。
振り返ってみると、不思議とすべてが繋がっていたようにも感じます。
その時は偶然の選択でも、後から振り返ってみると必然の選択だったように思います。


聞き手

岩田さんが大事にされている『ミッション』は、 ザ・ボディショップの社長時代に意識し始めたということですが、 きっかけは何だったのでしょうか?


岩田

一般的に企業は株主の持ちものであり、 経営者は株主に雇われて企業価値を高めることが使命だと言われていましたが、 どうも私はそれが腑に落ちていませんでした。
いろいろ考えているうちに、そもそも「企業とは世の中を良くするため」にあり、 創業者の“想い”が核にあるのだと考えるようになりました。
それが『ミッション』です。
しかしこのミッションを実現しようにも、利益が出ていなければ継続できません。
ですから利益は、目的ではなく手段。 ドラッカーも全く同じ事を言っています。
そのように考えたら、すーっと納得できたのです。



聞き手

そのような理解が広まった時、何が変わると思いますか?


岩田

社員の迷いがなくなりますね。
社員は経営者や株主のために働くわけではありません。
そこに使命感や大義がないと、納得して働けないと思うのです。
それがスターバックスが多くの方に愛されることにもつながっているのかもしれません。


聞き手

リーダーの役割は、『ミッション』を伝えていくことにあるということですね。


岩田

そうです。私たちの仕事は、何のためにやっているのか。
金儲けのためだけではないということを、リーダーが自信を持って伝えられるか。
社員はそのメッセージを待っているのだと思います。


ブランドとは、自然に染み出すもの

聞き手

ブランドを意識して経営するメリットは、何だと思いますか?


岩田

海に浮かぶ氷河のように、ブランドの下側には、とてもたくさんのものが含まれています。
もちろん商品が大きいと思いますが、それだけではなく、 会社の雰囲気だったり、広告・宣伝だったり、 その他いろんなことが総合的に合わさってイメージされるのがブランドだと思います。
だから、その会社のミッションを一所懸命に愚直に遂行した 行動すべてが組み合わさった結果、お客様にブランドとして伝わるのです。
ブレのないそれらの行動によってミッションとブランドが一体になります。
いくら広告・宣伝などで世のため人のためと訴えても、 実際にやっていることが違えば、 お客様にブランドとして認識してもらうことはできません。


聞き手

ブランドとミッションは、表裏一体になっているということですね。


岩田

『ブランドがない』というのは、その会社が自分たちのミッションを 本気になって達成したいと思っておらず、 外部にそのミッションが伝わっていないということですね。
ミッションに愚直に取り組んでいたら、それに沿った商品を作り、 接客を行い、結果としてブランドができていくわけですから。
だからブランドとは、会社のミッションが外に染み出たものではないかと思います。
宣伝や広告のイメージ先行で作られる一時的なブランドは永続しません。


聞き手

これから岩田さんが、どこかのCEOになってくれと頼まれて、 その会社にミッションがなかったとしたら?


岩田

会社がすでにある以上、ミッションが無いということは恐らくありません。
アトラスの場合でも、明文化されたミッションはありませんでしたが、 従業員や創業者想いを聞いてみると、「遊び心」というキーワードを掘り出しました。
ザ・ボディショップもスターバックスも、ゼロからではなくて、 すでにある素晴らしいミッションを磨きなおしたのです。


聞き手

ミッションを明確にして、次にやることはなんですか?


岩田

決まった順番はありません。そこに方程式のようなものはないと思います。
経営に関するすべての取り組みを、ミッションに照らし合わせ、 合ったことは続ければいいし、合っていなければやめればいいでしょう。
人材の発掘がとても大切だと思います。


ミッションの見つけ方

聞き手

著書によると、ミッションの作り方のコツは『好きなこと』、 『得意なこと』、『社会に役立つこと』ということでしたね。


岩田

それは個人のミッションの作り方ですが、 オーナー経営者の場合はニアリーイコールだと思います。



聞き手

著書には書かれていないポイントはありますか?


岩田

そもそも若い人に自分のミッションなんて、なかなか分からないと思います。
ですから、まず好きなことをやってみるといいでしょう。
たとえば編み物が好きで、それを続けていると得意になります。
さらにそれを深めると人に教えるレベルになり、 対価としてお金がもらえます。
そうすると仕事として継続できるようになって、 自分の一生のミッションにする事が出来るわけです。
企業にとって利益が必要なように、個人にとっても収入がなければ継続できない。
だから、まず好きなことから始めたらどうでしょうか。


その仕事の意義を語れるか

聞き手

このようなミッションを中心に据え、 従業員満足度を高める経営をしようと考えられたキッカケはなんですか?


岩田

企業は世の中をよくするために存在するという考えが根底にあります。
経営者になってからつくづく思うのが、人はちゃんと仕事に意義を感じて働けば、 無限の可能性があるということです。
例えば日産時代の車のセールスでも、私は前任者の9倍の台数を売りました。
同じ店で、同じ商品を扱っていても、やる気になればそれだけの差が出るわけです。
会社にとって、人は一番貴重な資源。
その人たちが意義を感じてやる気になってパワーを出したとき、 大きな成果を企業にもたらします。
社員が自分の仕事に誇りや満足を感じて働かない限り、その先のCSはありえません。


聞き手

確かに。
いま大企業でも中小企業でも、チームビルディング、 チーム力を高めるということが課題になっていますね。


岩田

経営者やリーダーの仕事は、大義、ミッション、仕事の意義、 もっとわかりやすく言えば『何の為にやっているのか』を伝えることです。
理由もなくただ穴を掘らされ、またそれを埋めさせられる、 それを繰り返すのは最も辛い拷問であると言います。
意味の見いだせないことをさせられるというのは、まさに苦役・拷問なのです。



聞き手

つまり、その仕事をしたら社会に役立つかどうか、ということでしょうか?


岩田

リーダーはそれが語れないといけません。
社長が銀座で飲むためや高級車を乗りまわすために売り上げを上げるんだと言っても、 誰も共鳴してくれないでしょう。
スターバックスでは、『より多くの人に、より深い感動を与えよう』と言っていました。
『より多くの人に』は、店の数を増やすこと。『より深い感動を与える』は、 コンセントを増やすとか、Wi-Fiを導入するとか、よりおいしいコーヒーを出すとか。
この量と質の2つからなる縦横の掛け合わせた面積を広げる事で、 ミッションをより達成したことになるということです。
単純にお店だけ増やしていったら、サービスが悪くなります。
だから一人当たりの感動を、より深くする。より多くの人により深く。 それが自分たちのミッションをより実現することだ、と言っていました。


後篇へ続く

※掲載の記事は2016年10月時点の内容です。
掲載内容が変更となっている場合がございますので、ご了承ください。