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一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー > 高木 純氏 Vol.3

「価値がなかった六角形の器」から「繋がるプロダクト」を創出し瀬戸焼復権に貢献

株式会社コムデザインラボ高木 純

Profileプロフィール

株式会社コムデザインラボ 代表取締役
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会1級資格取得者

2010年10月に「コムデザインラボ」を開業、2014年10月に「株式会社コムデザインラボ」として法人化。
ショップブランディングを軸に、空間の設計デザインからロゴマークやキャラクター、印刷物やホームページなど、すべて自社完結でトータルデザインする“合わせ技一本のデザイン事務所”として全国にクライアントを持つ。
2017年2月に「JCD 中部支部デザインアワード 2016」受賞。2018年度ブランディング事例コンテストで優秀賞受賞。2019年度のブランディング事例コンテストでは「瀬戸焼ブランド m.m.d・セトヤキHEX」「リゾートインヤマイチ」の事例で地方創生審査員特別賞を受賞。

聞き手:一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 岩本俊幸
話し手: 高木 純 氏

かつて「せともの」の愛称で親しまれていた「瀬戸焼」。
瀬戸エリアの代表的な陶磁器ですが、昨今は洋食器の普及や量産品の流通によって以前のような馴染みのある存在ではなくなり、そのシェアに陰りが見え始めていました。
そんな中、窯元で過去の在庫品として積まれていた六角形の器に着目し、商品化を進めたクライアントとともにブランディングに着手しました。
“繋がる器”をコンセプトに、瀬戸焼独自の技法を駆使したブライダルギフトを作り上げ、注目を集めています。
株式会社コムデザインラボ代表取締役の 高木 純氏に、瀬戸焼のブランディングについてお話を伺いました。

「ほんの少しの非日常」をブランド・アイデンティティに

Q.「瀬戸焼」のブランディングで、2019年度の「ブランディング事例コンテスト」では地方創生審査員特別賞を受賞されました。 今回のブランディングに至った背景を教えてください。
瀬戸焼は、「せともの」の愛称で日本全国で親しまれてきた陶磁器です。
ただ、かつては圧倒的な知名度がありましたが、洋食器の普及や大量生産された焼き物の流通など多様化が進んだことで以前ほど馴染みのあるものではなくなり、そのシェアや知名度に陰りを見せています。
そこで、名古屋の焼き物のセレクトショップ「make my day」さんと一緒に、日本六古窯(ろっこよう)と数えられる日本屈指の窯場・瀬戸エリアで作られた六角形の器を現代のニーズに合わせてブランディングすることになったんです。
Q. 行政の主導などではなく、ショップが指揮を執りブランディングを進めたわけですね。
はい。これまで瀬戸市では行政が主導したり、助成金で何度かブランディングを実施したりしたことがあったそうですが、今回はクライアントであるショップ make my dayさんのバイヤー目線でのブランディングです。 「本質的な顧客ニーズ」がある商品開発を軸に、リデザインした瀬戸物のあり方を検討しました。
Q. ブランディングはどのような思考のもと、進められていったのでしょう。
そもそも現在は、食器という「機能的価値」を求めるのであれば100円でどこでも買える時代です。
そこで「どういった購買動機で食器を買うのか?」を考えるところからブランディングは始まりました。
Q. 機能的価値以外の付加価値を追求していったわけですね。
そうですね。たとえば男性の私の場合、「年間でどれだけ食器を買うのか?」と考えてみると、「まったく買わない」が結論でした。
そこで、割れたから買う、という消耗品としての見方から脱却し、「どうしたら瀬戸焼に付加価値がつくだろうか?」ということを検討してみたんです。そして実際に産地の窯元を訪れてみると、一つひとつ丁寧な手作業で工程を進められている。
でも、その手間暇は消費者に届いていません。それがとても残念に感じられ、「もっと価値のある売り方をするべきだ」という印象を持ちました。
Q. 本来の価値が正しく伝わる売り方を意識された、と。
はい。そこで、「普段使いの焼き物」ではなく、「普段使われない美術品としての陶磁器」でもない、食卓が華やかになるための「ほんの少しの非日常」をブランド・アイデンティティとして、商品開発を進めました。
具体的には、まずは瀬戸市でかつて焼かれていた六角形の器に着目しました。窯元に平積みされ、タダ同然で売られているような平皿でしたが、クライアントのアイデアによってこれを“掛け分け”という釉薬の技法で再生産し、ブライダルギフトとしてブランディングしたんです。

2枚セットで“思いを込められるストーリー”を表現

Q. 新たにデザインを起こして造形的に優れたものを開発したわけではなく、あくまで「そこにあったもの」をブランディングで再生産した、という点がポイントですね。
“掛け分け”とはどのような技法なのでしょう?
発色の違う釉薬を部分的に掛け分けて模様にする方法です。
この “掛け分け”の技法を使って六角形の器の一部だけに色釉薬をかけることで、これまでありそうでなかった「組み合わせ自由」で「繋がる」プロダクトを生み出すことができました。
それが「make my day」のオリジナルのプロダクトとなる「セトヤキHEX」です。
Q. 具体的には、どのような商品なのでしょうか?
実用的な六角形の器で、カラーは瀬戸で一般的に使用されている朱、黄彩、アメ、青磁、織部、ルリといった6色の釉薬を使用しています。
商品コンセプトは“繋がる”で、「色が繋がる、人が繋がる、記憶が繋がる」という意味があります。
最初に企画したのは2枚セットの平皿でした。2枚の器の色と釉薬の色の掛かり方を購入時に組み合わせることで、贈り物に“思いを込められるストーリー”を作ったことが特徴です。
Q. “思いを込められるストーリー”とは、たとえばどのようなものでしょうか。
たとえば、「朱の色釉2分掛け」と「朱の色釉8分掛け」を2枚セットにすることで「足りない部分を補い合う」という思いを表しています。
また、「朱の色釉5分掛け」と「ルリの色釉5分掛け」のセットは「いつも隣り合う」という意味ですね。あるいは、「黄彩の色釉10分掛け」と「ルリの色釉10分掛け」のセットで「あなたの色に染まります」なども面白いと思います。
Q. ブライダルギフトならではのメッセージですね。
そもそも、なぜブライダルギフトをターゲットにしたのでしょう?
結婚を控えた世代にとっては、和モダンにリデザインした瀬戸焼は新鮮ですし、何より「組み合わせるだけで自分たちの気持ちを乗せた贈り物を決められる」ことは、「ほかとは違うものを選びたい」「自分たちで少しでも手を加えたい」というニーズを満たすものだと思ったからです。
これまでのブライダルギフトは夫婦の写真や名前を入れたものが定番でしたが、それだと、贈られた人が食器として使えません。
でも、このプロダクトなら、食器を組み合わせるだけでゲストへの思いを込めることが可能で、なおかつ普段使いもできます。
つまり、「自分たちの思いを表現したいが、使えない商品は贈りたくない」という需要にダイレクトに答えられると考えたわけです。
Q. 器をいろいろ組み合わせる楽しみもありそうですね。
「選ぶ・組み合わせる」こともブランド体験だと考えています。
実際、名古屋の販売店舗では、全国各地から結婚前のカップルなどが自分たちだけの組み合わせを探しに訪れ、写真を撮っていかれているようです。
Q. プロダクトのロゴマークも、六角形を組み込んだモダンなデザインです。
カタカナの「セトヤキ」と六角形を意味する「HEX」を組み合わせ、プロダクトを連想させるロゴマークにしました。
六角形が“繋がる”様子をモダンに表現しています。ブランドのロゴは、会社名の「make my day」の略称で使用されていた「m.m.d」をそのまま使い、商品の裏や専用パッケージにもラベリングしています。
Q. ほかにはどのようなことに取り組まれたのでしょうか。
このほかブランディングの取り組みとしては、旗艦店での商品ディスプレイやネットショップのデザイン、「ほんの少しの非日常」というコンセプトを表現したフォトスタイリング、撮りおろし写真を使用したギフトカタログの作成なども行っています。

ブランディングで企業コラボが増加

Q. そのようなブランディングに取り組んだ結果、どのような成果が得られたのでしょうか?
まず、商品のラインアップですが、スタート時は平皿「セトヤキHEX」のみでしたが、ニーズに合わせてバリエーションも増加し、今では商品ラインアップも増えています。平皿は、瀬戸の窯元の生産ラインぎりぎりとなる月間3000枚を販売するまでになりました。提携する窯元の数も増えています。
六角形の器から派生したプロダクトは小鉢や箸置き、マグカップなどラインナップも豊富に取り揃え、食卓をトータルコーディネートで飾る商品ブランドとして確立しています。 最近では、食器にとどまらず身に着ける瀬戸焼、maison m.m.dとしてファッション業界にも進出して、新たな価値を広げているようです。
Q. 他企業とのコラボレーションも展開されていますね。
コラボレーションの依頼は多いですね。
星野リゾートのブライダルギフトにセレクトしていただいたり、バンダイナムコと商品コラボしたり、知名度の高い企業からのOEMは近年増えつつある状況です。
Apple Payのホームページの広告イメージにも使用され、今まで瀬戸焼にまったく接点のなかった若い世代にも訴求ができたのではないでしょうか。

また、焼き物を焼く以外にも、絵付け師や、ギフトの箱を作る貼り箱業者、原型師など、商品に携わるほかのメンバーも含めて「made in 瀬戸」とすることも、こだわっている部分。
過去の栄光とされていた「瀬戸焼」の復権に、微力ながら貢献できていると思います。
Q. 今後の課題と展望を教えてください。
商現在はプロダクトの数も増え、知名度は着実に上がっていますが、海外との接点が少ないので、これからいかに海外にアプローチしていくかが課題として挙げられます。
また、国内についても、今は窯元の生産ラインいっぱいで製造されてはいますが、まだまだ知名度の部分では伸びしろがあるのではないかと分析しています。今後は販売店舗数を増やし、商品を“きちんと販売すること”を通して、窯元と、焼き物自体の伝統を守ることに貢献していきたいと思っています。

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