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一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー >岩田 松雄氏 Vol.2

ミッションを愚直に貫くことが<ブランド>になる – 後編

岩田 松雄氏 Vol.2 株式会社リーダーシップコンサルティング 代表

聞き手:一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 代表理事 岩本俊幸

【岩田 松雄氏のプロフィール】

1982年に日産自動車入社。

製造現場、セールスマンから財務に至るまで幅広く経験し、

社内留学先のUCLAビジネススクールにて経営理論を学びMBA取得。

帰国後は、外資系コンサルティング会社、日本コカ・コーラ常務を経て、経営者として頭角をあらわし、

(株)アトラスの代表取締役として、3期連続赤字企業をターンアラウンド、

(株)イオンフォレスト(THE BODY SHOP Japan)の代表取締役社長としての売上倍増、

スターバックスコーヒージャパン(株)のCEOとして業績向上等、

“専門経営者”として確固たる実績を上げてきた。


岩田 松雄氏の主な著書

  • ミッション
    元スターバックスCEOが教える働く理由

  • ブランド
    元スターバックスCEOが教える「自分ブランド」を築く48の心得




『人事』は強力なメッセージ

岩本

ミッションによってチーム力を高めようと経営者の皆さんに、 参考になるエピソードはありますか?


岩田

ミッションが大切だという話を講演ですると、よく『ミッションはあるけれども、 なかなか社内に浸透しません』という質問が出ます。
これについては、2つの回答があります。 1つは経営者が繰り返しミッションについて、言い続けなければならないということ。 もう1つは『人事』です。
誰を偉くするのか、誰を偉くしないのかという意味の人事ですね。
ミッションに照らして実績を上げた人を偉くすればミッションは浸透しますが、 たとえばお客様をだまして数字を上げるような人、 ミッションは実践していないけれど数字をあげた人を偉くすると、 結局数字を上げた奴を会社は評価するのだなと社員は受け止めます。
だから私は、ミッションを浸透させるための最大のメッセージが『人事』だと思います。
『ミスター・スターバックス』のような、ミッションを体現した人が偉くなったら、 社員はみな自分も見習おうとします。
西郷隆盛の「功ある者には禄を与えよ、徳ある者には地位を与えよ」 という言葉が全てを表しているのです。


岩本

それによって、各チームのリーダー、 さらにその部下にも伝わっていきますね。


岩田

ミッションを大事にする人たちは、部下に対しても同じ指導や評価をしてくれます。



岩本

実際にスターバックスやザ・ボディショップの経営では、 どのように実践されたのですか?


岩田

会社のミッションに合った人は経営の中央に、 そうじゃない人は徐々に端へ。
社長に忠実かどうかよりも、ミッションに忠実かどうかですね。
自分にとっては苦手なタイプだとしても、 ミッションに忠実で行っている事も正しい……という人を選びました。
人間誰でも好き嫌いはありますから、社長としての度量が試されますね。


岩本

『その企業で働くこと自体が誇らしい』という思いを持てるのが、 究極の『インターナルブランディング』ではないか、と考えているのですが。


岩田

「仕事の報酬は仕事」だと思います。
スターバックスで働いていること自体が報酬。
ディズニーランドで働いていること自体が報酬というようなものですね。
私は社長としてもちろん給料を上げる努力はしましたが、 それでもほとんどのスタッフがアルバイトで、ホテル並みの接客ができるというのは、 そういった会社のミッションに深く共鳴する 思いに支えられていたのだと思います。
もちろん報酬目的で働いている人たちもいると思いますが、 かなりのマジョリティはスターバックスで働くことに意義を感じて、 働く事自体が報酬になっているから、 給料以上の働きをしてくれているのだと思います。


リーダーは『役割』である

岩本

リーダーシップについては、どのように捉えていますか?


岩田

CEOは役割であり、別に偉い訳ではないと考えています。
野球でピッチャーとサードのどちらが偉いか比べられないのと同じです。
スターバックスでも、『私はたまたまCEOをしていますが、 お店のみなさんが心を込めてお客様と触れ合い、 それが2億回積み重なったことで1000億円という売上げを達成しているのです。
私もそこから給料をもらっているのだから、 どちらが偉いというわけではありません。』と言っていました。
本社は現場に対して、どうしても上から目線になってしまいます。
だから社長が現場の味方をしないと、バランスが取れませんね。
そういう意味を込めて、スターバックスではCEOもアルバイトも 全員が「パートナー」と呼びあっています。


岩本

リーダーは役割であるということですね。


岩田

リーダーになったことで偉そうになったり、 権力を乱用したりすることは、やはり慎まないといけません。
社長という職責を一所懸命やるだけで、 対等な立場だと意識する必要があると思います。


ミッションについての考え方

岩本

岩田さん個人として、これから目指されるミッションはどんなものですか?


岩田

日産の社長になりたいというミッションから始まり、 その後は専門の経営者になりたいというミッションへと“進化”しました。
3つの会社のCEOを経験して、そのミッションはある程度実現できたと思います。
今のミッションは、経営者やリーダーを育てるというものですね。



岩本

さらにその先は考えていらっしゃいますか?


岩田

今は考えていません。もう一回どこかの会社のCEOをやることになったとしても、 そこでの経験がまた経営者を育てるというミッションに活かせます。
目の前のことを一所懸命やっていると、道が開ける。
そのときは偶然だけど、振り返れば必然の選択でした。
ミッションが“進化”するタイミングというのは自ずと訪れるものだと思います。


岩本

偶然だけれども、必然ですか。


岩田

目の前のことに全力を尽くしていたら、自然に次の段階に移って行くという印象です。
もし今もスターバックスのCEOをやっていたら、 リーダー教育には移れなかったでしょう。
スターバックスを辞めた事で、一年間充電する事によって、本を書くことができました。
本を書いたら、講演を頼まれました。
講演を聞いた人から、コーチングやコンサルティング指導を頼まれました。
さらにさかのぼると、そもそもザ・ボディショップで社長をやっていなければ、 スターバックスから声はかからなかったでしょう。
日産で車のセールスマンを頑張った結果、留学に行けて、 スターバックスの社長になれたとも言えます。
今のような自分を、当時の自分が思い描いていたわけではなく、 ただがむしゃらに目の前の事に本気で取り組んでいた。
それが振り返ると点と点がつながり、一本の道となっていたと感じます。


岩本

まさに流れですね。


岩田

またどこかから社長になりませんか、という話が来るかもしれませんし、 経営者・リーダーシップ教育を深めて、 たとえばビジネススクールで人気講師になったらその道を行けば良い。
それくらいのつもりで一所懸命やっています。
自分で決めつける必要はないですね。


岩本

今日は大変勉強になりました。ありがとうございました。