資料請求はこちらから!オンライン資料請求
第10回公開シンポジウム
ブラ検® 3級 - ブランド・マネージャー資格試験3級
BM協会オンラインショップ
ブランディングコンテンツが満載! 登録無料の会員サイト『Me:iku』
『学割』ベーシックコース、アドバンスコースの受講料を20%割引

一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー > 寺嶋 直史氏

M&Aは“徹底した現場主義”と“ブランド経営”が
明暗を分ける

株式会社レヴィング・パートナー寺嶋 直史

Profileプロフィール

代表取締役

事業再生コンサルタント。
中小企業診断士。
大手総合電機メーカーに15年在籍し、部門で社長賞など多数の業績に貢献。
独立してコンサルティング会社を立ち上げ、経営に苦しむ多くの中小企業を経営や業務の見直し、ブランディングの仕組み構築など様々な問題解決により再生に導く。
その他、1年で一流の経営コンサルタントを養成する「経営コンサルタント養成塾」の塾長として、金融知識、問題解決の思考法、ヒアリング手法などの基礎から、事業デューデリジェンス、財務分析、経営改善手法、事業計画、マーケティング・ブランディングなどの講義を実施。
著書に『再生コンサルティングの質を高める 事業デューデリジェンスの実務入門』(中央経済社)、『儲かる中小企業になる ブランディングの教科書』(日本実業出版社)など。

大企業同士のM&Aとはまた異なる、近年注目を集めているスモールM&A。
中小企業や個人事業主でも参入できる敷居の低さが魅力ですが、失敗するケースも多々あるのが現状です。
中小企業がM&Aを成功させ、会社を成長させるためには何が重要なのか。
また、ブランディングの観点からはどのようなことを意識すべきなのか。
昨年『小さな会社を買って成功するための個人M&A大全 失敗しない「企業買収」と「中小企業経営」の極意』(standards)を出版した、事業再生コンサルタントで株式会社レヴィング・パートナー代表取締役の寺嶋直史氏に、スモールM&Aのポイントやブランディングとの関係などについてお話を伺いました。

小さな会社を買って成功するための個人M&A大全 失敗しない「企業買収」と「中小企業経営」の極意

小さな会社を買って成功するための個人M&A大全
失敗しない「企業買収」と「中小企業経営」の極意

(‎ standards)

ブランディングとは価値を高めて浸透させること

Q. 本日は、近年注目を集めている中小企業による「スモールM&A」とブランディングとの関係について、昨年著書『小さな会社を買って成功するための個人M&A大全 失敗しない「企業買収」と「中小企業経営」の極意』(standards)を出版された寺嶋さんにお話をお伺いできればと思います。
まずは理解を深めるため、寺嶋さんのご経歴から教えてください。
まず大手総合電機メーカーに入社し、15年間在籍していました。
最初は技術部門で入ったんですが数年で営業に異動して、インフラ関係の企業向けに電機や精密機器など産業用コンピューターの営業をしていました。

独立した理由は、一つにやり切った感覚があったからです。
幹部候補にも選ばれるなど会社には貢献していたと思いますが、仕事がつまらなくなって。
産業用コンピューターという非常に狭い範囲で仕事していても、これ以上成長できないなと思ったんです。
また、忖度社会であるなど、保守的な組織のあり方に辟易していた部分もありました。
もともと将来は中小企業向けのコンサルティングで独立起業することを決めていましたので、在職中に中小企業診断士の資格を取得してから退職したんです。

退職後は、中小企業のコンサルティングをするためには自分自身が中小企業を経験する必要性を感じていたので、中小の半導体開発メーカーに転職しました。
そこで驚いたのが、大企業とは比べ物にならないぐらい保守的だったということ。
権力の強い技術部の幹部の天下で、社員はみんなその人に忖度している。
結局、完全に囲まれた領域の中にいるとそうなってしまうんだとわかって、6、7カ月でコンサルティング会社に転職しました。
そこで2年ほど勤めましたが、やはりブラック企業で、コンサルティング会社と言いつつ、実態はほぼ派遣会社。
テレアポをして、アポが取れたら営業に行って、コンサルをする……という会社でした。

ただ、そこで働いている中で、独立の方向性が定まった部分はありました。
知人の診断士が営業に来たのですが、その方が事業再生を手掛けていて、話を聞いているうちに「これだ」と感じたんです。
難易度は高いけど、自身が最も成長できる領域に違いない、と。
そこで、その方が所属しているコンサルティング会社とパートナー契約を結び、2010年に独立した形です。
Q. 独立してからの事業再生コンサルタントとしての活動について教えてください。
あるコンサルティング会社で知り合った方から紹介を受け、その方と一緒に動きつつデューデリジェンス(デューデリ)のやり方を習いました。
その後、自分なりに動いて自信もつくようになり、日本で一番大きな税理士法人を紹介されて様々な案件が来るようになりました。
それからはデューデリの嵐で、1年間で28件こなしたこともありましたね。
そこでノウハウを蓄積できたと思います。
そうした経験をもとに出版したのが2015年の『再生コンサルティングの質を高める 事業デューデリジェンスの実務入門』(中央経済社)です。

また、並行して販促の勉強もしていました。
それまで経験していたコンサルティング会社は実行支援がメインで、販促のことは分からなかったから。
中小企業で重要なのはやはり販促なので、岩本さんの本を読んで、ブランド・マネージャー認定協会にアプローチしたんです。
その頃はとにかく「答えを出すためのノウハウ」を徹底的に勉強していました。
Q. ブランディングの知識は、事業再生やM&Aといった仕事を手掛けている寺嶋さんにどのような影響を与えたのでしょうか?
当時、販促の勉強をしていましたが、それだけでは足りないな、と漠然と思っていたんです。
それで、ちょうどその頃にブランディングというものに興味を覚え、ブランド・マネージャー認定協会に入ったり、ブランドの本を読みまくったりしました。
単発で終わるのではなく、持続的な経営の仕組みを作りたいと考えていたんですね。
そのためには販促だけではだめだと気づいて、自分なりに「ブランディングとは何か、それをどのように経営に当てはめていけばいいか」を考えていきました。

では、ブランディングとは何かというと、まずは「価値を高める」こと、そして「価値を浸透させる」ことだと気づきました。
ブランドとは、価値イメージである」と。
また、価値を高めるということは、結局は経営であり、営業だけではなく販促、マーケティング、ブランディング……など、それらすべてを融合しないといけないとわかりました。

M&Aが失敗する理由は?

Q. 寺嶋さんは昨年『小さな会社を買って成功するための個人M&A大全 失敗しない「企業買収」と「中小企業経営」の極意』(以下『個人M&A大全』)を出版されましたが、なぜそのタイミングで世に出そうと思われたのでしょうか。
以前『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(講談社+α新書)という本がベストセラーになりましたが、実際にはサラリーマンがM&Aで会社を買って失敗するケースも少なくありません。
そうした失敗のケースをいろいろ聞いたことが一つのきっかけでした。
『個人M&A大全』は、なぜ失敗するのか、分析した結果も一部掲載しています。

では、なぜ失敗してしまうのかというと、まず理由の1つは「売り手企業の事業内容や内部環境を十分に把握せずに買収してしまうため」です。
これは大企業と中小企業の違いですが、大企業はしっかりしていますけど、中小企業は事業の仕組みができていないなど、めちゃくちゃなんです。

たとえば売り掛け金があって、そのうち4割は不良債権だったり、在庫もほとんど死蔵在庫になっている状況だったりします。
それなのに中小企業のM&Aの場合、お金がなく人材もいないので、デューデリをしない。
つまり、法務デューデリも財務デューデリもビジネスデューデリも行わず、めちゃくちゃな実態であることを知らずに買ってしまい、買った後にめちゃくちゃだったことがわかる……というケースがあるわけです。

また、2つ目の理由として、「中小企業の実態と経営手法を知らない」ということが挙げられます。
たとえば、買う側の人が大手企業で管理職についているようなサラリーマンだった場合。
大手なら部下に指示すればその通りに動きますが、中小企業の場合はみんな目の前の仕事だけが仕事だと思っているので、大手のようには部下が動いてくれないんです。
だから社長自身が戦略のみならず具体的なアクションの戦術までを構築するなど、すべてやらないといけないのですが、そういう実態を知らないんですね。
あとは、やっぱり経営のやり方の問題です。
つまり、社員とコミュニケーションを取るのが基本だということや、PDCAの回し方など、諸々の経営のやり方も知らずに買ってしまうので、めちゃくちゃな施策をやってしまうわけですね。

そして失敗の理由の最後に挙げるのが、「ブランディングを意識している経営者がほとんどいない」ことです。
先ほどもお話ししたように、「ブランド」とは価値イメージです。
つまり消費者が会社名や商品名を見聞きして、そこからイメージするものであり、そしてブランディングとは、会社のブランド力をつける活動です。 中小企業の場合、大企業と徹底した差別化を図ることで自社のブランドを確立することが重要であり、そのためには「他社と異なる特徴のあるもの」で、かつ「顧客に受け入れられるもの」を販売する必要がある。
つまり中小企業が生きる道は、お客様から選ばれる自社ブランドを確立し、利益を出せる体質にすることで、M&Aでもそこを意識しなければいけないのです。
そんなふうに、『個人M&A大全』では、いろいろな問題点があるという仮説のもと、うまくいかない部分を整理した形になっています。
Q. これまでに見てきた中で、具体的に紹介できる失敗例を教えてください。
たとえば、売り手は「このぐらいで会社を売りたい」という希望額を持っています。
ただ、3,000万円で売りたいと思っていても1,000万円ぐらいでしか売れない、と評価された場合は、大抵だめですね。
売り手とすれば、それぐらいの価値はあると思ってしまっているわけです。

また、最近多いのは、もともと債務超過で値段がつかない会社を売ろうとするケースで、これもすごく多いです。
借金がある場合は、借金があるまま買い取ってもらうしかないんですが、そんな借金まみれの会社なんて誰も買わないですよね。
そうした事例が多いことから、個人M&Aの業界は、今は以前ほど活況ではなく沈静化してきています。
感覚的にはかなり沈静化していると思います。

では、今はどういう傾向があるかというと、大きく2つあって、1つは相手の会社を買って、自分の会社の価値をより高めていくパターン。
もう1つはオーナー社長がまったく関係のない会社を買って、独自で運営するパターン。
これは趣味のような感覚なのかもしれません。
大きく分けると、今はこの2つかなと思います。
買った会社の経営は、売り手側の社長にそのまま任せるケースもあるし、完全に別の人間を送り込むケースもあります。
自社の価値を高めるために買った場合は、人を入れ替えるケースが多いですね。
Q. 失敗しないためにはデューデリが重要ですが、企業買収前に押さえるべきポイントとは?
まずは企業の基本的な「特性」を知ることです。
特性には種類がいくつかあり、具体的には「企業特性」「事業特性」「業界特性」「地域特性」などが挙げられます。
企業特性」とは、戦略や戦術を考える際に考慮すべき、その企業特有の要因を指しています。
主に企業の内部環境に関する特性のことですね。
次に「事業特性」は、企業内部の特性に加え、外部環境も含めたもののこと。
この場合の外部環境とは、市場や各業界全体の傾向といったマクロ的な視点や、自社顧客のニーズ、競合他社の状況など、自社でコントロールできない事項のことです。
また「業界特性」は、製造業や飲食店など、各々の業界に存在する特有の要因のことで、「地域特性」はその地域が持つ独自性や異質性のことを指しています。

以上が主な「特性」ですが、こうした特性を知らなければ、正確で迅速な経営判断はできません。
なぜなら、特性は経営判断の前提条件となるものであり、特性を知らないまま経営判断を行ってしまえば、判断を大きく誤り、経営を悪化させてしまう可能性があるからです。

明暗を分ける「現場主義」と「ブランド経営」

Q. しっかりとデューデリをして会社を買い、いよいよ本格的に動き出そうというとき、中小企業経営で押さえるべき最も重要なポイントは?
徹底した現場主義」と「ブランド経営」かもしれません。
中小企業は、社長が全部の意思決定をするので、現場を見て、迅速に現状把握して決断する、というスピードがあるんです。
ですが、規模が大きくなり、大企業になればなるほど、社長は現場を見ていません。

では現場の情報をどうやって知るかというと、週報だったり、現場が作った提案のパワーポイントだったりする。
ただ、それは社長や事業部長に行くまでに、いくつもの役職を通るので、いろいろ削り取られてしまっているわけです。
やっぱり、日本でも成長している企業は社長が現場を見ています。
自分で全部現場を見て、自分で判断して、自分で調べて……本来はそういった経営をしないといけないと思います。

そして「ブランド経営」ですが、これは価値を高める、価値を浸透させるということを軸に判断する、ということです。
たとえば、今私がデューデリをしているマッサージの会社があるのですが、この会社で、かつて社長が「顧客からどう評価されているか」をランク付けして公表する、といったことがありましたが、現場から大反対されたそうです。
果たして実施すべきかどうかと質問されたので、私は「直接お客様と接しているのはマッサージ師だから、その人たちが嫌がったらノーです」という話をしたんです。
気持ちよく仕事ができる環境を作ることがブランド経営であり、社長の仕事ですよ」と。

つまり、価値を高める、価値を浸透させることが何より重要なのですが、日常の経営判断の中でそれが抜けてしまうことがあるんです。
でも、そこを軸にすれば判断を間違えることはない。
そういう意味で、「ブランド経営」が重要だというわけですね。
Q. 企業の理念や文化は意識すべきでしょうか?
大手企業の場合、文化をすごく重視しますが、実は中小企業の場合はあまり関係ないと思っています。
なぜなら「文化を大切にする」というとブレてしまうんです。
仮に両社が全然違う文化だった場合、両方を生かそうとするとブレた話になってしまう。
中小企業で「文化」といえば、たとえば「のんびりしている」とか「家族みたいな」というものがありますが、実はそういう社風や文化はいらないし、あまり考えないほうがいい。
そう言うと、ほぼ反発をされますが……。 でも、経営の現場を見ていたら、それが成長の足かせになっているケースは非常に多いんです。
だから、買った会社の色に全部染めてしまえばいい。
規模が小さければそれができてしまうんです。
重要なのは、「ゴールは何か」ということ。
要するに“ビジョン”の明確化ですね。
ゴールのイメージをちゃんと描きましょう、というわけです。
とにかく重要なのはゴール。
ゴールがないと、どこに向かっていいのかわかりませんから。
そして、この“ビジョン”を構築するために有効なのが「ブランド・アイデンティティをビジョンにすること」です。

まず、ブランド・アイデンティティをゴールにしてそこに向かう形にすれば、社員のベクトルが合うという効果があります。
さらに、ブランド・アイデンティティをビジョン化すれば、従業員に浸透しづらい経営理念も簡単に浸透します。
つまり、理念を浸透させることに時間と労力とお金をかけるのではなく、ビジョンをベースに「具体的にどうすればいいか」という本質的なところに時間と労力とお金をかけることができるようになるわけです。
また、従業員一人ひとりが「顧客軸」で物事を考えることができるようになりますし、モチベーションや自主性も向上します。
さらに、組織の統制や意思決定が容易になり、組織力が向上するというメリットもあるなど、「ブランド・アイデンティティをビジョンにする」ことは様々な効果を発揮するのです。 私はこれを「経営のマジック」と言っています。
なお、ビジョンには数値目標という定量面と、将来の目指す姿という定性面があり、双方を示す必要があります

M&AはPMIも重要

Q. 最後に、このインタビュー記事の読者へのメッセージ、今後の寺嶋さんの活動などについて教えていただければと思います。
『個人M&A大全』は、M&Aをしたいと考えている人に読んでほしいですね。
また、この本とは別に、スモールM&Aを対象にしたデューデリの本『再生コンサルティングの質を高める 事業デューデリジェンスの実務入門』も出しているので、そちらも読んでいただければと思います。
これはデューデリについての本ですが、ビジネスデューデリ、事業デューデリとは何かというと、事業の中身を知ることです。
でも、実際はデューデリをしない方が多いんです。
何百万、何千万円の買い物なのに、中身を知らずに買っているわけで、それは本来ありえないこと。
大手企業の場合、その辺はしっかりしていますし、購入する会社も同業者の場合が多いので問題ないのですが、中小企業の場合は、まるで闇鍋のように、実はいろいろな問題を含んでいるんです。
そういう実態があるのに中身を知らずに買うということはありえないので、そこはしっかりしましょう、という思いがありますね。

そしてもう一つ、「PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)」、つまり企業買収後の統合プロセスを今は重視していて、現在はそれについての本も共著で書いています。
これは要するに「買った後」の経営についてです。
買った後にしっかり経営しましょう、ということを書いています。

その他に、今は「ブランド経営」という講座も始めようとしているところです。
これは著書『儲かる中小企業になる ブランディングの教科書』がベースになっており、どのような形態の会社の方にもお勧めできると自負しています。
ブランディングというものを単に販促や売り上げアップの手法として捉えるのではなく、経営全般として捉えていく、という考えに基づいています

今は事業再生を手掛けていきながら、出口戦略でM&A、PMIまでやっていこうと思っています。
PMIは「経営統合」「管理統合」「業務統合」という3つのプロセスで実施するものですが、まだ本格的には立ち上がっていない状況です。
中小企業の場合、買っても統合せずに独自で運営させるケースがほとんどで、中身がめちゃくちゃなんです。
そこを何とかしようということなので、つまりPMIとは事業再生コンサルティングとも言えるわけですね。
だからPMIも今度の本を出版することをきっかけに、しっかりやっていこうと考えています。

その他インタビュー記事、コラムはこちら

【登録無料】


会員サイト「メイク」