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一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー > 高田 敦史氏

「65歳定年」というサバイバル時代を生き抜くために
すべきこと
自分らしく勝つための“6つのシナリオ”とは? 

A.T. Marketing Solution高田 敦史

Profileプロフィール

A.T. Marketing Solution 代表
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 アドバイザー

一橋大学商学部卒、中央大学大学院戦略経営研究科修了。
1985年にトヨタ自動車入社後、宣伝部、商品企画部、タイ・シンガポールでの海外駐在、トヨタマーケティングジャパンMarketing Director などを経て、2012年からレクサスブランドマネジメント部長としてグローバルレクサスのブランディングおよび広告宣伝、広報活動を主導。
2016年7月、A.T. Marketing Solutionを設立。
ブランディング、コミュニケーションについてのコンサルティング業務を行う。
2018年に経済産業省「産地ブランド化推進事業(Local Creators’ Market)」プロデューサーなども務める。
著書に『会社を50代で辞めて勝つ! 「終わった人」にならないための45のルール』(集英社)。
今年『45歳の壁 55歳の谷 自分らしく「勝つ」!サラリーマンのための6つのシナリオ』(高陵社書店)を上梓。

先行きが不透明で、サラリーマンもセカンドキャリアを考える必要性が高まっている現代。
このサバイバル時代を生き抜くために、会社員はどのような心構えで、何をすべきなのでしょうか。
ブランド・マネージャー認定協会アドバイザーでA.T. Marketing Solution代表の高田敦史氏は、著書『45歳の壁 55歳の谷 自分らしく「勝つ」!サラリーマンのための6つのシナリオ』の中で、サラリーマンがサバイバル時代を生き抜くための“6つのシナリオ”を提言しています。
6つのシナリオとは何か、著書の内容を基に高田氏にお話を伺いました。

45歳の壁 55歳の谷 自分らしく「勝つ」!サラリーマンのための6つのシナリオ

45歳の壁 55歳の谷 自分らしく「勝つ」!
サラリーマンのための6つのシナリオ

(‎高陵社書店)

コロナ禍でいろいろな不安が高まった

Q. 近年、ブランド・マネージャー認定協会の講座受講者にセカンドキャリアを意識して受講される大手企業のビジネスパーソンが増えています。
そこで本日は、今年『45歳の壁 55歳の谷 自分らしく「勝つ」!サラリーマンのための6つのシナリオ』を出版した高田さんに、トヨタ自動車時代のご経験を交えつつ、サラリーマンのサバイバル時代への対策や心構えなどをお伺いできればと思います。
はじめに、前著『会社を50代で辞めて勝つ! 「終わった人」にならないための45のルール』を出版された狙いや、今作『45歳の壁 55歳の谷』を執筆された背景を教えてください。

前著『会社を50代で辞めて勝つ!』は、会社を辞めて個人事業主として独立した際に「こんなこともわからなかった」「こんなことを勉強しておけば良かった」ということを自分の経験に照らし合わせて書いた本です。
たとえば、個人事業主になるうえで必要な手続きや青色申告のことなど、実はサラリーマンの方が知らないことはたくさんある。
そうしたことも含めて私の経験をお話しして「チャレンジするならこういう方法があります」ということを伝えるつもりで書きました。

前著は40代後半から50代の方を対象にしていましたが、今回の新刊は30代後半から40代の方をターゲットにしています。
なぜかと言うと、前著を出版した後に講演をお願いされる機会があり、そこで30代後半から40代の方から「50代の方はもう逃げ切ってしまえますが、私たちは大丈夫でしょうか」というご質問をたくさん受けたんです。
逆に、50代の方は「ここまで来てしまうと、踏ん切りがつかない」という方が多かったんですね。
30代後半から40代というのは、「働かないおじさん世代」と「新人類と呼ばれる下の世代」に挟まれた中途半端な世代で、上の世代の影響を受けているけど、下の世代ほど覚悟はできていない。
そういうことが会話しているうちになんとなく理解できて「今、本を書いてあげなきゃいけないのはこの人たちだな」と思ったんです。

また、今回は客観的にいろいろな観点から分析しようと考え、アンケート調査も実施しました。
30代、40代、50代と世代ごとにそれぞれ600人、計1800人のアンケートを取ったんです。
30代の方には役職定年や再雇用の方たちに対するご意見も書いてもらったのですが、すごい数のご意見をいただいて。
「働かないおじさん」たちへの辛辣な意見が多く、あらかじめわかってはいましたが、これほど悪く思われているのか、と改めて実感しました。

アンケート「30代社員の方々600名に聞きました 役職定年、再雇用社員について思うこと」

Q. 著書ではコロナ禍の影響についても言及されていました。
改めて、シニア社員へ与える影響にはどのようなものがあるのか教えてください。

コロナによっていろいろな不安が高まったことは間違いないと思います。
ただ、大企業と中小企業では少し内容が異なっていて、中小企業だと「会社が存続するのか」という不安ですが、大企業の場合は「60歳以降の仕事の中身や給与はどうなるか」という不安なんです。
特に、もともと安定している大企業の方々がすごく不安を感じているように思います。

世間を見ると、コロナを利用して変わろう、とポジティブに考えている人もいますが、アンケートを取ってみると、一般的にはコロナによって「安定志向が高まった」という人がすごく多いんです。
ワークライフバランスについても、どちらかといえばプライベート重視という人が増えました。
そういう結果を見て、「こういう危機があったときに、自分の身を守ろうと考える人が多いのは普通だよな」と改めて感じました。
ただ、会社のトップは「とにかく改革だ」と声高に言っているので、実際にはすごくギャップが出ているのだろうと思います。

グラフ:(不安が高まったと答えた人に対し)どんな不安が高まりましたか

グラフ3:新型コロナを経験して働き方についての意識はどう変わりましたか

自分らしく勝つための“6つのシナリオ”とは?

Q. ご著書の「45歳の壁、55歳の谷」と、「35歳の転職の壁」について、改めてご説明をお願いします。

まずは「35歳の転職の壁」について。
昔から「35歳になると転職できない」と言われていましたが、今はそれが徐々になくなりつつある……とされていますよね。
ただ周囲に聞いてみると、実際には「転職できる人はできるけど、できない人はできない」現実が依然としてあるようです。

次に「45歳の壁」について。
まず、会社としてはある一定の年齢で昇格する人を絞り込まなければいけないという事実があります。
そして、45歳というと、大企業では部長になるかならないかの境目の年齢。
つまり、この時点でほぼ出世競争は決着がついているわけです。

そして「55歳の谷」ですが、55歳という年齢は役職定年で、この年齢になると、課長でも部長でも正規の役職からは外れます。
つまり、この谷を越えてさらに昇りつめていく人は会社の中で1パーセント程度なので、この「谷」は全員に来ることなのです。
昔は年功序列で退職まで給料が上がり続けましたが、今は55歳を過ぎて役職を外れたら下がっていく。
だから今回は、まずはそこを理解したうえでこの谷をどう乗り越えるか、考え方を変えてどう生きていくかを考えるべきだ、と書いたわけです。

65歳定年(希望的観測)

65歳定年(多分こうなる)

Q. 著書では、自分らしく勝つための“6つのシナリオ”を提示されています。
それぞれのシナリオについて教えてください。

6つのシナリオとは①「社内出世型」、②「エキスパート転職型」、③「社内再活躍型」、④「副業両立型」、⑤「シニア転職型」、⑥「シニア独立型」です。

サラリーマンの6つのシナリオ

まず①の「社内出世型」です。
サラリーマンの場合、出世なんてゴマすり次第なので頑張れば出世するわけではないのですが、とはいえ誰もがはじめは出世の可能性を持っているので、はじめからこれを否定する必要はないと思います。
ただ「45歳の壁」や「55歳の谷」が訪れて99パーセントの人は最後までたどり着けないので、55歳以降はどうすべきかを早めに考えることが大事。
45歳ごろからしっかり考えて、55歳から自分がどうなっていくのか想定しておいた方がいいですね。

そして、そのひとつの道が②の「社内再活躍型」です。
これは「『働かないおじさん』はもう許してもらえなくなりますよ」という予測を前提にしています。
65歳定年で70歳まで再雇用、という未来になると、正社員の期間が伸びるわけですよね。
正社員の身分で居眠りするわけにはいかないので、しっかり働かなければいけませんが、役職は上がりません。
だから、後進の人たちをサポートする役目に意識を変えることで自分の存在意義を持ちましょう、という考え方が「社内再活躍型」なんです。

実は、これがみんなできないんですね。
かつての部下が上司になり、仕事もあまりなく、たまに相談に来る人がいたかと思うと高飛車な態度で昔話ばかりして「もうあの人のところに行きたくない」と思われてしまう。
それは、絶対にだめなわけです。

ただ、「社内再活躍型」だけでは味気ないと思えるかもしれません。
そのときの道が④「副業両立型」です。
今は副業が注目を浴びていますから、自分のやりたいこと、得意なこと、あるいは会社で身につけたことを生かして、副業を始めてみたらどうですか、というわけですね。
もしもそれが軌道に乗りそうなら、早期退職で退職奨励金をもらって55歳以降に個人事業主として生きていく道もある。
このように、③「社内再活躍」と④「副業両立」と⑥「シニア独立」はつながっているんです。

⑤の「シニア転職型」は、前著でも書きましたが、正直50歳を過ぎると一部のエキスパート転職の人以外、なかなか転職先は見つかりません。
その代わり、地方に行って仕事をするとかNPOで働くなどの道もあるので、先ほど申し上げたパターンとは別に考えてみてもいいかもしれません。

Q. 「社内再活躍型」がうまくいかない人もいると思いますが、何が問題なのでしょうか?
過去の実績と変なプライドですね。
実績は、知見として下の世代に伝えられればいいのですが、自慢話として伝えてしまう人が多いんです。
まずは、相手の話を一生懸命聞くこと。
相手も答えを期待しているわけではありませんから、まず自分が壁打ちの壁になって話を聞いてあげて、本当に言いたいことがあったら言ってあげればいいと思います。

「社内再活躍型」を成功させるためには、「会社の中で少しでも役に立つ人間になりたい」という思いを持っていることが大事です。
そして負け犬ではなく、非常に大事な役割を担っているのだと考えること。
また、年下の部下の呼び方も考えたほうがいいでしょう。

これは、ある中小企業向けコンサルティング会社の社長から聞いた話ですが、大企業を退職後に運よく中小企業に雇ってもらっても、高飛車な態度で前の会社の自慢ばかりするなど、使い物にならない人が多いらしいです。

自分の“資産”を可視化することが大事

Q. 新著では、サラリーマンのサバイバル時代の対策として「会社との“距離感”」についてのお話もありました。
距離感について重要なポイントを教えてください。
「出世がすべてではない」「出世なんかしょせんは運の部分が多いのだから、そこにすべてを委ねない」という考え方は非常に大事だと思います。
また、社風や入社年次など、その会社だけのカルチャーに染まらないことを意識すべき。たとえば仕事の進め方には、極めて非効率なものも多くあるし、常に客観的に見ることが重要です。
社風や入社年次の枠を超えて、いろいろな会社のやり方を勉強するのもいいでしょう。
結局、働く意味は人それぞれなので「自分はこういうつもりで働く」ということをしっかり考えるべきです。
会社を愛すること自体は悪いとは思いませんが、会社が自分の期待に応えてくれなかったときは絶望しか残らないので、染まりすぎないようにすることが大事だと思います。
Q. ちなみに高田さんご自身は、在職中にどのようなシナリオやキャリアのイメージを描いていたのでしょうか?
私は人より早く昇格していたので、①「社内出世型」も一応念頭には入れつつも、一方では40歳を過ぎたあたりからは「55歳までには会社を辞めて独立したい」とも考え始めました。
その意味では⑤「シニア独立型」もシナリオに置いていました。
役員、社長になれる可能性があったら辞めなかったかもしれませんが、会社はいろいろなことがあるのでなれるとは限りません。
だから先が見えてきた時点で意識を切り替え、50歳を過ぎたころから「自分にどんなビジネスができるだろうか」と考えたり、先輩に相談したりしていました。
つまり、をベースにシナリオを書いていたんです。

ちなみに、なぜ55歳で辞めるつもりだったかというと、55歳になるとトヨタでも当然役職を外れるようになり、ここから上に行く人は役員になるような人だけなので、そこがひとつの節目だと思ったから。
そのうえ、いろいろな人に相談したときに「辞めるなら55歳を過ぎたらしんどい」と言われていたからです。
独立する際は、辞めるまでに蓄積した人脈を使いながらスタートを切る形が理想的ですが、自分が55歳を過ぎると、お世話になった人たちも55歳を過ぎていて会社の中で権限がなく、仕事の相談もしにくくなります。
その意味でも、辞めるなら55歳までがいいと思います。 ただ、40歳を過ぎてから55歳で辞めることを考え始めましたが、その前からマーケティングを生業にしようとは思っていました。
30歳を過ぎて商品企画部に異動し、そこで現法政大学名誉教授の小川孔輔先生と出会っていろいろ教えていただいて、「これはすごく面白いな」と思ったんです。
その後タイ、シンガポール駐在を経験して本社に戻ることになったときに海外部門と商品企画部門という選択肢があり、商品企画部門に戻りましたが、そのときはすでに辞めることを考え始めていました。
ただ、早い段階で社内における自分の得意領域を見極めることができたのは良かったと思います。

自分の“資産”を可視化する

Q. 著書では「自身の能力を可視化する」ことについてのお話もありました。
その内容と重要なポイントを教えてください。

自分の資産というのは、いわゆる「ポータブルスキル」と「テクニカルスキル」のこと。
「ポータブルスキル」は問題解決能力や対人能力などのことです。
マネージメント能力や対人能力というのは、あまり資産だとは思われていないのですが、実は資産であると認識することが大事です。
これと「専門性のあるテクニカルスキル」も含めたものを「生産性資産」と呼んでいます。

では、これをどう可視化するか。
履歴書では「今まで会社の中で、どういう部署でどういう仕事をしてきたか」を書きますが、私は「その横に、そこでどういう苦労をしたかを書きなさい」とアドバイスしています。

たとえば、私はタイ駐在時代にすごく苦労したので、それをどんどん書いていくわけですが、そうすると「このときにこういうことを学んだ、こういう力が付いた」と、当時のことをどんどん思い出すようになるんです。
私はトヨタで商品企画と宣伝を経験しましたが、駐在先では現地生産で車を作っているので、車を作るとはどういうことか、車の販売の仕組みはどうなっているかなど、業界で通用する専門性が身に付きました。
そういうことを書いていくと、自分の資産が意外と見えてくるわけです。
見えれば転職の際に面接で話せますし、自分でこれを使って何ができるのか、考えることもできると思います。

重要なのは、壁を乗り越えたとき、何を持って乗り越えたのか、乗り越えたときにどういう能力が上がったのか、ということ。
私の場合は、タイで問題が起きたときに、それを解決するためにいろいろな方と交渉したり、場合によっては 本社の役員に直接直訴したリ、様々なネゴシエーションを行いました。
一例を挙げると、 キーパーソンに納得してもらうために今の自社の車がどれだけ他社に劣っているか体感してもらったり、販売店が困っていることを知ってもらうため実際に販売店に連れて行ったり……。
そうした交渉力、人の心をつかむ能力は、会社員としては非常に重要な能力だと思います。

生産性を見える化する1

生産性を見える化する2

Q. 改めて、サラリーマンがサバイバル時代を生き抜くうえで大切だと思うことや、持つべき考えを教えてください。
「『65歳定年』ということを、自分なりにちゃんと考えてほしい」ということですね。
65歳まで正社員、というと良い話に思えますが、会社としては65歳まで正社員でいられたら困る、というのが本音。
最悪の場合、将来的には解雇条件の緩和などを言い出す可能性もありますし、50歳ごろから給与を下げられる可能性もあります。
だから、何らかの形で存在価値がある人間にならなければいけません。
今、みなさんは「働かないおじさん」を馬鹿にしているかもしれませんが、自分たちは「働かないおじさん」としてさえも生きていけなくなるかもしれないんです。
そこまで考えて、自分なりの会社人生を送るべきだと思います。
Q. では最後に、高田さんの今後の展望を教えてください。
今はブランドコンサルをしつつ、お役に立てればどこにでも行き、何でもやるという方針です。
それがいつまで続くのか、65歳までか、70歳までか、もっと先なのかはわかりませんが、ここまで来たら、お役に立てるなら何でもやるというのが99パーセント。
あとの1パーセントは、実業というか、もしできるならモノを売るような商売をちょっとやりたいなとは思っています。
これは夢で、ご縁があれば、ですね。

※掲載の記事は2023年4月時点の内容です。
掲載内容が変更となっている場合がございますので、ご了承ください。

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