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一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー > 小椋 亮氏

インサイドセールスの本質的な価値は
「顧客が本業で最大限の力を発揮できること」である

株式会社Sales Lab小椋 亮

Profileプロフィール

株式会社Sales Lab 代表取締役社長

2007年、株式会社ネクスウェイ入社。
2016年4月、同社インサイドセールス支援事業の事業部長に就任。
2017年7月、一般社団法人インサイドセールスコンソーシアムを設立。
2020年4月、株式会社Sales Labを設立し、代表取締役社長に就任。
現在に至る。

リモートワークが普及し各社導入が進む「インサイドセールス」サービスを手がける株式会社Sales Lab。
2016年に株式会社ネクスウェイの一事業部としてスタートし、2020年に分社独立しました。
独立からの半年で従業員数2.5倍にし、成長を続けています。
成長の要因のひとつとして、ブランディングの積極展開があり、同社のブランディングやサービスの特徴について代表取締役社長の小椋亮氏にお話を伺いました。

インサイドセールスとはどのような事業なのか

Q. 本日は株式会社Sales Labが展開している「インサイドセールス支援事業」の特徴やブランディングについてお話をお伺いしたいと思います。
まずは小椋社長のご経歴からお聞かせください。
大学で所属していたのは心理学部で、「営業心理学」について卒論を書きました。
これは「営業現場でどう心理学を生かせるか」を研究したもので、在学中から「営業」に注目してキャリアを形成していたんです。
卒業後は、その営業心理学が実践で本当に生かせるのかチャレンジしたいと思い、ITのベンチャー企業に入社して営業職に。
これがキャリアのファーストステップで、その企業で3年間、営業のプレーヤーから組織の責任者までを経験し、営業マンとしてのキャリア形成をしていきました。
そのとき、ベンチャーならではの急成長する中での組織作りを経験したので、次は大きな組織の中で自分の能力や経験をどのように生かせるのかチャレンジしたいと思い、ネクスウェイに転職しました。
ネクスウェイでも営業のキャリア形成をしていきましたが、あるとき、営業という領域でのキャリア形成はやり切った、という感覚を抱き、新しいビジネスを作ることにチャレンジしたいと思ったんです。
そして2007年に当時リクルートグループだったネクスウェイに入社しました。
12年からは事業部長に就任し、既存事業の再編や新規事業の立ち上げなどを行っていました。
そして2016年にインサイドセールス支援事業を立ち上げ、2020年に分社独立をしました。
その他には一般社団法人インサイドセールスコンソーシアム 代表理事やAA-ISP(グローバル展開を行っているインサイドセールス専門協会)のJapan Chapter Presidentを担っています。
Q. インサイドセールス支援事業はどのような経緯で立ち上げられたのでしょうか?
インサイドセールス支援事業は、営業という領域で何か新しいビジネスを生み出せないかと2016年に立ち上げました。
当時はまだまだインサイドセールス自体の認知度は低く、どんな内容で、どんな意味があるのかも知られていないようなフェーズでしたが、「営業現場はもっと進化しないといけない」という問題意識や、世の中の人口減少、IT・テクノロジーの発達も鑑みて、「営業現場に新しい価値を生み出せるサービスを作りたい」という思いがありました。

ただ、インサイドセールス支援事業は既存のマーケットがない、生まれたてのマーケットです。
ということは、世の中にネクスウェイやインサイドセールス支援サービスをもっと知ってもらう前に、インサイドセールスそのものを知ってもらわなければ利用が始まりません。
そこで、2017年に「インサイドセールスコンソーシアム」という一般社団法人を立ち上げ、定期的にインサイドセールスの事例などを発信し、普及活動を行っていきました。
その結果、事業自体は着実に拡大していったのですが、「ネクスウェイは通信サービスの会社」というイメージが強いため、新しい事業で新しいマーケットにチャレンジしていくうえでは、ネクスウェイというブランドが足かせになってしまっていたんです。
そこで「インサイドセールス支援事業に特化した会社を作り、対外的にアピールする必要がある」と考えたことが、「Sales Lab」として2020年に分社独立したきっかけです。
Q. そもそも「インサイドセールス」とはどのようなものを指すのでしょうか。
「インサイドセールス」とは、一言で言えば内勤型の営業活動全般です。
つまり客先を訪問することなく、電話やメール、ビデオ会議など、あらゆる非対面型の手段を使って見込み客の需要を掘り下げ、購買意欲を高め、面会の約束を取り付けて訪問営業の部署に引き渡す……という取り組みですね。
メリットとしては、まず訪問営業の担当者が提案や受注・契約に専念できることです。
その結果、訪問回数あたりの成約率の向上につながります。

次に、訪問時間の費用対効果の向上も見込めます。
インサイドセールスの段階で受注の可能性が高い見込み客が選ばれるため、訪問営業の担当者は手間が省けますし、訪問時間に対する費用対効果の向上につながるわけですね。

そして最後に、多くの見込み客の長期的な「育成」が可能になります。
「育成」とは見込み客の購買意欲を高めることで、インサイドセールスでは見込み客と継続的にコンタクトをとるため、相手の状況を常に把握できますし、タイムリーな対応も可能です。
これらのメリットがインサイドセールスの大きな特徴と言えると思います。

そしてSales Labについてお話しすると、こうしたインサイドセールスのプロセスを丸ごと行うアウトソーシング型の企業であり、戦略立案や人材、ツールなどもすべて提供しています。
そのため、クライアントにとっては内製の場合と比べて圧倒的に負担が少ないですし、人材教育もシステム環境の用意も必要ありません。
そのため短期間でインサイドセールスを始められるというメリットがあり、さらに自社製品を持たないため、最適な他社製品を客観的に選択することが可能なんです。

Q. テレマーケティングなど従来からある類似業種とインサイドセールスの違いは?
そもそも、訪問営業の前段階の営業プロセスを分担して行うことは、ご指摘の通り従来からテレアポやテレマーケティングといった形で存在していました。
たとえばテレアポは、見込み客のリストをもとに網羅的に電話をかけて面会の約束をとりつけ、訪問営業に引き渡すものですし、テレマーケティングは電話で見込み客から需要を聞き出して商品説明などを行うもので、部分的には共通しています。

ただ、これらの業種はどこか一つの手段のみに特化しており、営業活動全体の計画においてその方法が最適かどうかを判断する際、その業務範囲を超えていることが多いんです。
一方、インサイドセールスは全体的な計画に照らして電話かビデオ会議か、郵送かと最適な手段を組み合わせて考えるので、そこが大きな違いだと思います。
Q. インサイドセールス支援事業を立ち上げた当時、業界的にはどのような課題があったのでしょうか。
2016年の発足当時、インサイドセールス業界で問題になっていたことが「無駄訪問」です。
つまり、インサイドセールス事業者から引き渡された見込み客を営業担当者が訪問したけれど、成約には至らずに無駄足になってしまった……ということですね。
こうした事態を起こしてしまう原因の一つには、面会の約束を取り付けることばかりを優先し、見込み客の育成が不十分であった、そもそもニーズが対応可能なものではなかった、ということが考えられます。

では、なぜそのようなことが起こるのかというと、インサイドセールスを行うための「ツール」、それを使いこなせる「人材」、それらを有効活用する「戦略」がそろっていないため。
逆に言うと、インサイドセールス事業者が事業を成功させるためには、これら「ツール」「人材」「戦略」を包括的に提供できる組織体制を確立することが重要になるのではないでしょうか。

重要なのは「顧客企業が本業で最大限の力を発揮できる」こと

Q. インサイドセールス支援事業におけるSales Labのブランディングについて教えてください。
どのような課題があり、どのようなブランディングに着手されたのでしょうか。
2016年にネクスウェイ内でインサイドセールス支援事業部を立ち上げましたが、先程お話ししたように顧客、業界、求職者などから「ネクスウェイは通信サービスの会社」というイメージが強くあったため、それが足かせになっている部分がありました。
そこで事業部を分社独立させ、「インサイドセールス専門の会社」という新しいイメージを形成するためのブランド戦略が必要と判断したわけです。

そのブランディングですが、まずペルソナは「IT系中堅企業の、真の意味で意識の高い営業部長」と設定しました。
Sales Labというブランドはこのペルソナにとって魅力的か、常に考慮しています。

次に、ブランドが持つ機能面でのメリットについては、「営業プロセス全体を網羅する、緻密な戦略立案」「ツールや環境一式をSales Lab側が用意する」「独自のデータマネジメントツールで顧客企業と営業データを連携し、常に最新状態に保つことができる」「PDCAサイクルの着実、丁寧な運用」に集約しました。

そして、それによって実現される顧客企業のベネフィットは、「質の高い見込み客を得ることができる」「顧客企業が自前でツールや環境を用意する労力や費用が省略できるため、短期間かつスムーズにインサイドセールスを立ち上げることができ、しかも本業に専念できる」ということ。
これを念頭に、顧客に提供できる本質的な価値としては「顧客企業が本業で最大限の力を発揮できる」と定めました。
「戦略・ツール・人材」というのは我々の強みですが、顧客企業から見れば単なる「手段」に過ぎません。
顧客が本来の事業で最大の成果を得るために支援すること、それがSales Labの本質的な価値だと考えています。
Q. Sales Labのブランド・アイデンティティネーミングなどについて教えてください。
ブランド・アイデンティティは「データとテクノロジーで営業を革新する」と定めました。
これは、ブランド・アイデンティティをフックに強みや提供価値を連想できること、先進的なブランド・イメージと整合すること、比較的新しいサービスなため、事業領域が想像できることなどを考慮しています。
また、「Sales Lab」というネーミングについてですが、あえて「インサイドセールス」ではなく「セールス」を用いました。
理由は二つあり、一つは大多数の見込み客に対して、説明が不要でできるだけなじみのある言葉を使ったほうが良いと考えたため。
もう一つは、将来的にはインサイドセールスだけではなく、営業プロセス全体を支援できるように事業範囲を拡張したいと考えているためです。

さらに、「緻密な戦略立案」を行うという我々の強みを社名から想起してもらいたい、という思いから、「Lab」という言葉を使いました。
その他のブランド要素については、タグラインやステートメント・コピー、イメージカラーなどを制作し、ウェブサイトや個別のプロジェクトの提案書で使用しています。
また、見込み客に対するサービスの認知度を高めるための施策として、チラシやパンフレットの制作、サービス内容の説明会、展示会への出展、プレスリリースやウェブメディアでの情報発信などにも着手しました。
Q. ブランディングによってどのような効果が得られたのでしょうか?
これまでお話ししたようなブランド戦略の実践自体は分社化前の2017年から行っており、年間売り上げは2017年を基準とすると、2019年には170%を達成しました。
従業員数は事業発足時から2020年10月までに約2.5倍にまで成長しています。また、求人への応募者数も増え、特に2020年の分社後は、前年の4~5倍に増加しました。
このほか、ブランディングを実施したことによる効果として、社内の意思統一や意欲の向上も挙げられます。
我々が何を目的としている会社なのか、どのような価値を世の中に還元していく会社なのか……それが社内にブランディングが浸透する中で明確になり、社員同士の目線が合ったのだと思います。

これまでを振り返ってみると、Sales Labが成功した要因として、いくつかの理由が考えられると思います。
まず一つは、早期に創業し、外的環境の波に乗ったこと
事業発足時は前にも述べたように、まだインサイドセールスという言葉自体、あまり認知されていませんでしたが、その時期にいち早く事業を始めたことで、市場の急速な成長の後押しを受けることができました。
また、世間の生産性向上を求める風潮にも適合していましたし、コロナ禍での急速なオンライン化への動きにも対応していました。

次に、分社前の顧客資産を活用したことも大きいです。
つまり、ネクスウェイの既存事業の顧客企業にアプローチして、かなりの受注を得ることができたわけです。

そして最後に、独自性の確立です。
我々は発足当時から競合他社の問題点を分析し、それを解決することで自社サービスを構築してきましたが、それが市場のニーズに適合することにつながったのだと思います。

「営業現場のDX化」を実現したい

Q. Sales Lab設立から約2年が経ちました。
小椋社長とSales Labのこれからのチャレンジについて、お聞かせください。
営業現場から求められていることは、新しい営業の形。
そこで、もちろんデータやテクノロジーも活用していきますが、「営業現場のDX化」を実現していきたいと思っています。
単にアナログなものをデータ化するだけに留まらず、もっと営業活動から経営的な課題が見えるようになったり、マーケティング的な課題が見えてきたり、そういうことが実現できるサービスモデルに進化していきたいですね。
現場からキャッチアップできる課題というのは、企業にとって非常に価値ある情報でもあります。
だから単に営業成果をあげることのみに留まらず、企業全体に価値のある営業現場の情報をしっかり活用していく、そういうサービスにしたいと考えています。

目指すところは、営業プロセスのエコノミー化
これまでの営業現場で評価されていた成果は、受注や売り上げのような部分だと思いますが、そこに至らないまでも、非常に価値がある情報、価値があるヒアリングデータというものはたくさんあります。
そういうものを営業現場からキャッチアップして、会社全体に展開し、そして受注に至らなかったプロセスをもっとエコノミー化していく。
そのために営業現場のDX化を実現していく。
これからの1年間で、そうしたことにチャレンジしていこうと思っています。

※掲載の記事は2022年6月時点の内容です。
掲載内容が変更となっている場合がございますので、ご了承ください。

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