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一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー > 青栁 寛之氏

パッケージデザインでブランド発信力が向上!
天然クラフトコーラ「UMAMI COLA」の
ブランディングとは?

株式会社 月白青栁 寛之

Profileプロフィール

株式会社 月白 代表取締役/ブランド経営オフィサー
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 スタンダードトレーナー/プラクティショナー

大学卒業後、大手広告代理店傘下のTVCM制作会社に入社。
プロデューサーとして多くのCMを手掛ける。
その後グループ内で転籍。
エージェンシープロデューサーとして、広告を通じ企業のブランディング活動に関わる。
2024年度「BRAND MANAGEMENT AWARD」では「天然クラフトコーラ『UMAMI COLA』のブランディング」で優秀賞を受賞。

天然の原料を使い、米麹甘酒をベースにした唯一無二のクラフトコーラ「UMAMI COLA」。
開発したUMAMI COLA株式会社では、これを世界に広めるためにはRTD化が必須と判断。
様々なネガ要因を分析したうえで戦略をデザインし、パッケージデザインに活路を見出すことで国内のみならず、海外で展開するという成果を生みました。
ブランディングを担当した株式会社月白の青栁寛之氏に、UMAMI COLAの取り組みについてお話を伺いました。

UMAMI COLAパッケージ

ネガ要因を分析し戦略をデザイン

Q.

本日は、2024年度「BRAND MANAGEMENT AWARD」で優秀賞を受賞した「天然クラフトコーラ『UMAMI COLA』のブランディング」について、お話をお伺いできればと思います。
まずは「UMAMI COLA」と、今回のブランディングの背景について教えてください。

「UMAMI COLA」は、天然の原材料を使用したナチュラルなエナジードリンクです。
八海醸造の米麹のみで作られた甘酒をベースにしており、スパイスやハーブなどを調合しています。
遺伝子組み換えの素材は使用しておらず、炭酸以外無添加でノンカフェインであり、「病気になりにくい体づくり」をコンセプトにしていることも特徴です。
クラフトコーラにはいろいろな商品がありますが、米麹甘酒をベースにしたものはなく、「UMAMI COLA」は唯一無二のクラフトコーラと言えるでしょう。

UMAMI COLAの特性

そんな「UMAMI COLA」ですが、もともと、いわゆるRTD、つまりすぐに飲める缶ジュースを作る前は、炭酸などで割るシロップタイプの商品を販売されていました。
ですが、UMAMI COLA株式会社の山田貴久社長は、世界に広めていくためにはRTDとして販売することが必要だと考えていたんです。
そこで「UMAMI COLA」をRTD化するために動き出しました。

Q. ブランディングの課題と方向性について教えてください。

販促予算が無いため、ブランドコンセプトの「気軽に!美味しく!健康に!」を発信する媒体はSNSやオウンドメディアに限られていました。
そのような中、クラフトコーラであり、エナジードリンクでもある「UMAMI COLA」の魅力を世界に向けて表現するためには、世界で通用するロゴデザインとパッケージデザインの開発が必須だと捉えました。
つまり「デザインでブランド発信力を高める」ことに挑戦したのです。
ブランディングのゴールは、「ナチュラルドリンクという新ジャンルの確立」「全国で販売網を持つコンビニエンスストアなどでの販売」「海外マーケットへの進出」を見据えました。

UMAMI COLAパッケージデザイン

Q. どのようにブランディングを進めていったのか教えてください。

全国で販売網を持つコンビニでの販売、そして海外マーケットへの進出には、国内外のバイヤーから評価されることが必要です。
ここでの評価とは、つまり消費者がどう感じるかということ。
では、消費者の購買行動とは何かというと、大別するとトライアル購入か、リピート購入に分かれます。
そして新発売の商品となる「UMAMI COLA」は当然トライアル購入になるので、まずはしっかりトライアル購入してもらえる商品を作ろうと考えました。

次に、トライアル購入のネガ要因について考えました。
ネガ要因は大きく4つあり、まず1つめは「価格設定」です。
「UMAMI COLA」は285円と比較的高い価格設定になっています。
2つめは「商品の認知不足」、3つめは「確立したブランドとの戦い」、4つめが「中身への不安」です。
それぞれ見ていくと、まず「価格設定」は変更できません。
次に「商品の認知不足」は、販促費がゼロなのでこれも解消できない。
そして「確立したブランドとの戦い」は、ブランドパワーが無いのでこれも難しい。
最後の「中身への不安」も、信頼性が未醸成なので厳しいわけです。

トライアルのネガ要因

そこで、こうした諸条件を理解したうえで戦略をデザインしました。
まず市場機会の仮説ですが、エナジードリンク市場自体は上昇トレンドにありました。
健康志向が高まっており、エナジードリンクに対しても健康的な成分や機能性を求める傾向が高まっていたのです。
また、都市部での需要が増加していることもわかりました。
さらに、女性のエナジードリンク飲用率が3割を下回る一方、76%は飲用志向を示しているというデータを発見し、実際の消費と意向には大きなギャップがあることも明らかになりました。
こうした分析から、現在のエナジードリンク市場が女性のニーズに十分応えられていないという気づきを得ることができたのです。

エナジードリンク市場は上昇トレンド

ではなぜ飲まれないのかというと、理由は3つあり、1つは「健康への懸念」です。
エナジードリンクには高いカフェインや糖分が含まれているため避けられているのです。
次に2つめが「社会的、文化的な通念」です。
エナジードリンクは、一般的に男性的なイメージが強いわけですね。
そして3つめが「味や嗜好」。
エナジードリンクには甘さ、炭酸感が強いものが多いですが、健康志向の高い女性は自然な成分や低カロリーを選ぶ傾向があります。
これらの理由を踏まえたうえで「UMAMI COLA」を見てみると、まず「健康への懸念」ですが、まったくカフェインは入っていません。
次に「味や嗜好」でいうと、「UMAMI COLA」は微炭酸です。
つまり、プロダクトとしては非常に力があり、「エナジードリンクは一般的に男性的なイメージが強い」という部分を払拭できればトライアル購入につながるのではないか、と考えました。

健康に悪影響と男性的なイメージのため、避ける

ネガ要因をパッケージデザインで解決

Q. ブランディングの具体的な内容を教えてください。

ターゲティングした顧客層は、都市部在住の健康意識の高い20代から30代の女性です。
そのため、エナジードリンクを買う時に「恥ずかしい」と思わせないことが大事であり、活路はパッケージデザインしかないと考えました。
パッケージデザインから「健康×美味しさ×おしゃれ」というブランド・イメージを想起してもらうことに賭けたのです。
パッケージデザインのコンセプトは「成分を活かした心地良いデザイン」とし、お客様に合理性と感性の両方で判断してもらおうと思いました。

パッケージデザインのコンセプト

そこで、感性だけではなく、成分に自信があるのでそこを全面的に押し出したデザインにしようと考え、「UMAMI COLA」の独自性である麹甘酒やハーブなどの成分をフィーチャーしたデザインを採用しました。
なぜピンク色にしているかというと、複雑な液色を表現しているからです。
さらに、お客様に「センスの良いものを購入している」と思われることが大事だという考えもありました。
また、逆さまに印刷されたデザインは、成分が沈殿するため飲む際にボトルを逆にする必要があることから生まれました。
クレームのリスクもありますが、飲む行為を印象に残すために逆のプリントにしたわけです。

さかさまに印刷されたデザイン

パッケージデザインで意識したことは「奇をてらわない」こと。
B級商品に見えず、堂々としているデザインです。
また、男性的にならないことを前提としつつ女性的になり過ぎない「ユニセックスなデザイン」も意識しました。
さらに、複数本を購入してもらうため、リビングや冷蔵庫の上に置いていても心地良いデザインであることも重視しています。
加えて、「パッケージデザインが販促になるタレント性」も必要だと考え、購入者がSNSなどで発信してくださることを期待しました。

このように、ネガ要因の「商品の認知不足」に対してはパッケージデザインをタレントにして発信力を高め、「確立したブランドとの戦い」に対しては堂々としたデザインでノーブランド感を払拭し、「中身への不安」に対しては、成分をフィーチャーしたデザインで安心感を醸成したわけです。

国内外のバイヤーから高評価

Q. ブランディングの成果を教えてください。

オウンドメディアやSNSでの発信と、イベントへの出展などを行いました。
これにより、イベントでの購入者がパッケージに惹かれてSNSで投稿してくださる、という結果につながりました。
また、アジアの優れたパッケージを表彰する「TOPAWARDS ASIA」も受賞したほか、「日本パッケージデザイン大賞」でも金賞を受賞することができました。

デザイン賞など受賞によるPR効果

全国で販売網を持つコンビニであるナチュラルローソンでの販売や、全国のオフィスに野菜を届ける「OFFICE DE YASAI」での取り扱い、シンガポールのスーパーマーケットでの販売にもつながっています。
小売店からは、陳列効果が通常商品の約2倍あると評価されています。
国内外のバイヤーからの評価も順調に獲得しており、今後は北米などもターゲットとして展開していく予定です。

※掲載の記事は2025年4月時点の内容です。
掲載内容が変更となっている場合がございますので、ご了承ください。

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