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一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー >高橋 真理子氏 Vol.2

伝統にとらわれない自由な発想とチャレンジが消費者の心をつかむ 後編

高橋 真理子氏 Vol.2

【プロフィール】

株式会社ピックルスコーポレーション
開発室室長 兼 開発室企画開発課課長
高橋 真理子氏

大学卒業後、2000年に株式会社ピックルスコーポレーション入社。入社以来、大手コンビニチェーン・量販店向けの商品開発で最前線を歩み、新工場の立ち上げなどにも参画。商品開発の傍ら、新規売場開拓、他企業コラボレーションの推進なども務める。2016年1月より現職(開発室室長 兼 開発室企画開発課課長)に就き、ナショナルブランド商品のブランディングプロジェクトリーダーとして日々奔走している。


伝統的な漬物業界において、斬新な発想で時代をつかみ、異例の存在として順調に業績を伸ばしている株式会社ピックルスコーポレーション。今回は主力商品である「ご飯がススム」キムチシリーズにおける開発の経緯や、浅漬シリーズのブランディングプロジェクトについて、開発室室長の高橋真理子氏に話を伺いました。

聞き手:平野史恵(株式会社イズ・アソシエイツ クリエイティブディレクター)


ピックルスを再定義する

聞き手

2015年にブランディングプロジェクトを発足させたとのことですが、このことについてお聞かせください。


高橋

「ご飯がススム」キムチが大ヒットし、消費者に広く認知されるようになったのですが、一方、この商品を製造している「ピックルスコーポレーション」という企業認知度は低かったのです。通常消費者はスーパーなどで漬物を買うとき、大体が指名買いです。というのも、漬物は他の売場に比べて、売場で足を止める時間はとても短い。例えば消費者は一度商品を食べておいしかったら、次に買うときもなんとなくパッケージで「この商品はおいしかったな」と手に取ります。売場でどこの商品を買おうかと迷う人は少ないのです。ですから、短い時間の中で、「ピックルスコーポレーション」の商品だと認知し買ってもらうためには、パッケージがとても重要なのです。しかしこれまで弊社では、パッケージに関しては特に全社でイメージが統一されていませんでした。毎回商品ごとに、開発段階でそれぞれのコンセプトに合わせてパッケージを決めていたので、複数の商品を並べても同じ会社の商品だとわかりにくかったんです。そのため、売場で「企業」として消費者にアピールする力が弱いのが悩みでした。そこでパッケージの統一により「企業」の認知度を高め、消費者に「指名買い」してもらうために立ち上げたのが「ブランディングプロジェクト」です。


聞き手

この「ブランディングプロジェクト」のコンセプトを教えてください。


高橋

ピックルスコーポレーションという会社を消費者に広く認知してもらうためには、弊社が提供する価値を表現する必要があります。そこで、改めてピックルスとは何か、漬物とは何かを伝えるために、「ピックルスを再定義する」ことをコンセプトとしました。そのためにまず製品カテゴリを整理し、ピックルスをブランドネームとするロゴを作成したのです。


聞き手

製品カテゴリの整理とは具体的にどのようなことだったのでしょうか?


高橋

弊社の商品ラインナップは、キムチ、浅漬、惣菜、サラダです。それまでは「ご飯がススム」シリーズで浅漬を出したり、惣菜を出したり、ということがあったのですが、それを「ご飯がススム」シリーズはキムチのブランド、浅漬は浅漬のブランドというようにシリーズを分けました。そしてそれぞれのシリーズが売場で同じ顔に見えるように、シリーズごとにパッケージを統一させることにしたのです。


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ロゴに込めた想い

聞き手

次に行ったのはロゴの変更ですね。ロゴにはどのようなコンセプトがあるのでしょうか?


高橋

弊社の企業ロゴは英語表記での「PICKLES」です。実は「PICKLES」という文字では「ピックルス」と読めない人が結構います。私も長年会社にいるため気づかなかったのですが、これはかなり衝撃でしたね。そこで企業ロゴ以外に商品ブランドに使用するロゴはカタカナ表記の「ピックルス」を使うことにしました。私たちがこのロゴで伝えたかったのが、「ピックルスの商品は『品質のよい新鮮な野菜』であること」、それと「ピックルスコーポレーションが『新しい挑戦を続ける元気な企業』であること」です。「ピックルス」のフォントも野菜をイメージさせるような丸みのある形状のものを使用しました。


聞き手

ロゴにある「忙しい人の野菜。」とは、どういう意味なのでしょうか?


高橋

漬物は調理された野菜ですから、買ってきてすぐに食べられます。そのため忙しい人でも調理せずすぐに野菜が摂れることを訴求したのが、「忙しい人の野菜。」です。色もなすやキュウリといった野菜をイメージさせる色を使用しています。


聞き手

シリーズごとにパッケージを統一させたことに関して、取引先の反応はいかがでしょうか?


高橋

実は流通先からはパッケージの統一はあまり喜ばれることではありません。というのも、それぞれのスーパーでは競合他社と違う商品を置いて差別化したい、という思いがあります。ですから他の店舗でも同じものが置いてある、と消費者に思わせるようなパッケージはあまり好まれません。とはいえ、こちらの希望もありますし、このあたりが難しい点ですね。ただ、商品が売れればそれが一番ですので、実績が出れば問題はありません。そのため今は、じっくり消費者への認知度を上げながら「指名買い」につなげる努力をしているところです。


商品のローカライズ

聞き手

なるほど。確かにそうですね。ところで、漬物って全国各地で好まれる味が違うように思うのですが、そのあたりはどうされているのでしょうか?


高橋

キムチはもともと韓国から入ってきたものなので、全国どこでも同じ味で展開できます。しかし、浅漬は日本の各家庭で昔から食べられていたものですので、地域によって好まれる味付けも素材も異なります。弊社では地域によって味はその地域で好まれるように改良しています。ただパッケージに関しては、味が変わっても同じデザインにしてブランドの統一を図っているのです。


聞き手

商品を開発する際、そのような味の好みや消費者の嗜好などはどのようにして取り入れているのでしょうか?


高橋

基本的には従業員にアンケートを取ったり、店頭でマネキン販売を実施したときにお客様からいただいたご意見などを参考にしたりしています。商品開発の際、開発担当者たちと一緒に店頭に立って、お客様からの意見を商品に活かしたこともありました。今後はウェブアンケートやモニター調査も行っていこうと思っています。


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世界に認められる企業になるために

聞き手

ピックルスコーポレーションの今後の展望についてお聞かせください。


高橋

現在はキムチを中心に浅漬、惣菜、サラダなども展開しています。しかしその販路はまだまだコンビニやスーパーがメインです。今後はドラッグストアや百貨店などにも販路を広げ、さらに業務向けの給食事業といった展開も検討しているところです。これからも積極的にこれまでにない自由な発想で新商品を開発して、消費者に受け入れられる「新鮮でおいしい元気な野菜」を提供していきたいと思っています。 弊社の代表がよく言っていることは「世界に認められる企業になること」です。それは単純に海外に事業展開することだけではなく、ピックルスコーポレーションという企業が、漬物や惣菜に限らず、食品、もしくはそれ以外も含めて企業として認められるということです。そのためには社員の中に企業内起業を行うような人材を育てていくことが重要だと言っています。


聞き手

ありがとうございました。




※掲載の記事は2018年4月時点の内容です。
掲載内容が変更となっている場合がございますので、ご了承ください。