一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー >~特別篇~
【プロフィール】
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会
代表理事 岩本俊幸
聞き手:森田旭洋(株式会社イズアソシエイツ ディレクター)
聞き手
まず、最初に改めて協会のご紹介をお願いします。
岩本
当協会は、ブランド・マネージャーを養成する専門機関として、人材育成、啓蒙活動を行っております。
人材育成としては、2日間の「ベーシックコース」を基本に、実務能力の向上を目指す4日間の「アドバンスコース」と、協会認定のトレーナーを目指す「トレーナー認定コース」と各ステップアップコースがあり、資格を授与しています。
啓蒙活動としては、毎年「公開シンポジウム」というイベントを行い、ブランドに関する講演や、幣協会の講座で学ばれた方の実践事例の発表等を行っています。
そして、組織構成としましては、中央大学大学院 戦略経営研究科教授の田中洋先生を顧問に迎え、評議員には小池玲子先生、阪本啓一先生、榛沢明浩先生。理事は私 岩本と、水野与志朗さん、佐々木研一さん。アドバイザーには、徐 誠敏さん、山崎浩人さんと、ブランドに関する専門家を中心に、コンサルタント、クリエイター、大学講師の方々で構成しております。
このような協会関係者の協力によって、2015年2月には書籍『社員をホンキにさせるブランド構築法』(同文舘出版)を出版しました。ありがたいことに、先日、重版3刷となりました。
聞き手
この他にも、こちらのスペシャルインタビューなど、情報の発信にも積極的に取り組まれているようですが?
岩本
情報提供の取り組みとしては、ご覧のスペシャルインタビューは8年以上、毎月掲載しており、現時点で90本以上のコンテンツとなっています。ザ・リッツ・カールトンホテル前日本支社長の高野様、元スターバックスコーヒージャパンCEOの岩田様をはじめ、企業のマネージャーや実務家の方をはじめ、大学教授、コンサルタント、クリエイターなど専門家の方々のインタビューを掲載し、ご好評をいただいております。
メールマガジン「ブランド脳のススメ」は、すでに100号を超え、8年半毎月配信を続けているなど、積極的に情報提供をしております。
また、資格更新者向けの情報提供として、ブランディングラボというコンテンツサイトでの限定コラム掲載、情報誌『Me:iku』の発行、テキストの更新情報などを昨年から開始し、今後も積極的にお役に立てる情報を発信してまいります。
聞き手
協会のビジョン・ミッションについて詳しく聞かせてください。
岩本
協会のビジョンは、【「ブランド」の教育を通じて、ブランドとビジネスに深い洞察と実行力を持つ人材を育成し、彼らが集う世界に通用するビジネス・コミュニティを築く】です。
「ブランド」について学ぶならここ!と言われるように、地域・業界問わず広く認知される存在になりたいと考えております。そのために、3つ目指していることがあります。
1つめは、全国的なコミュニティの構築です。日本全国に協会卒業生のネットワークを広げ、学びはもとより、情報交換、個人・企業同士での連携など、お互いに貢献し合う活動を通じて、活発なコミュニケーションを行っていきたいと考えています。
2つめは、企業において必要な資格として位置付けられることです。協会のカリキュラムによって、ブランディングの成功事例を数多く生み出し、実務面での功績が期待できる、実践に裏付けられた資格になることを目指していきたいと考えております。
そして3つめは、 若い人材の育成です。学生・第二新卒といった若い人材育成に力を入れ、ビジネス価値の高い「ブランド」の知識を持った人材を数多く輩出していきたいと考えています。
岩本
そして、協会のミッションは【優れたブランドを構築できるブランド・マネージャーを数多く輩出することで、さまざまな組織の成長を促し、企業価値を向上させ、日本経済の活性化と発展に貢献する】です。
協会が提唱する「ブランディング」の考え方や実践方法を身に着けることは、企業における商品・サービスの価値向上を目指すことはもとより、従業員満足の向上にもつながり、組織が内側から元気になって、社員が生き生きと働ける健康的な企業文化を育むことができると考えています。
このような組織を内側から元気にしていく人材を、たくさん輩出していきたいという思いもこのミッションに含まれています。
現在、このようなビジョンとミッションを実現するために活動しており、今年で一般財団法人となって丸7年、任意団体としての設立からは丸9年となりました。来年は設立10周年の記念すべき年となります。
聞き手
設立10周年を迎えるということですが、もともと協会設立の経緯はどのようなものだったのでしょうか?
岩本
私自身、起業して今年で26年となる広告制作会社を経営しています。今から20年前の1997年に、(財)日本情報処理開発協会(現、日本情報経済社会推進協会)発行のプライバシーマークのロゴデザイン開発など初期のブランド構築を手がけました。
その頃から、ブランド戦略、ブランディングに興味があり、その関連の書籍を購読し、セミナーにはできる限り参加してきました。その頃はブランディング関連のセミナーはあまり見かけなかった時期ではありますが、たしか「ブランド・マネージャー養成講座」といった大手新聞社主催で数日間の講座に参加した時のことです。その講座には、著名企業のブランド・マネージャーが順番に講演されていて、刺激的な内容ではあったのですが、当時の私にはこのノウハウを中小企業にとって、どう応用していったら良いか分からななかったのです。
このような書籍やセミナー受講を繰り返しながら、再現性のあるフレームはないかと模索するようになり始めたのですが、当時見つけることはできませんでした。
それから数年後、見つけられないのであれば、ブランディングの再現性のフレームを作るための組織を作れば良いのではないかと考えるにいたり、田中先生をはじめ、ブランドの専門家の方々に相談し、協会として立ち上げるために、フレームを作成し始めたのです。
聞き手
最近は、ブランド戦略、ブランディングというキーワードが中小企業でも比較的浸透してきているように思いますが、当時は違っていたのですか?
岩本
10年位前は、このキーワードを胡散臭く感じている方が多かったように思います。というのも、1980年代にとくに大手企業で流行っていた「コーポレート・アイデンティティ(略称 : CI)」という手法があり、大手広告代理店は、数億円以上の予算を獲得して提供していたようです。その後、バブルがはじけて、CIというキーワードはめっきり聞かなくなり、替わりに台頭してきたのが「ブランディング」という手法です。大手広告代理店にとっては、この「ブランディング」という手法は、クライアントの予算を獲得するためには、都合が良く、消費者からのブランド認知を多く得るための媒体を、たくさん出稿してもらう口実にもなりました。 このようなこともあり、「ブランド戦略」「ブランディング」という手法、キーワードは、広告代理店が広告予算を獲得するための常套句という捉え方をしていた中小企業の経営者層が少なくなかったように思います。
聞き手
これまでの活動内容や実績について、もう少し詳しく教えていただけますか?
岩本
2日間の基本講座であるベーシックコースとそれ以上の上位コースを含めると、すでに延べ1,600名以上の方々に、受講いただいており、2時間のブランディング入門セミナーは、協会側への報告の義務がないため、正確には計測できませんが5年間で1,000名以上の方々にご受講いただいていると思われます。
受講生の傾向として、職種は、企業経営者、幹部、マーケティング担当者、クリエイター、コンサルタントの方が多いです。業種は、出版業界、理美容業界、食品メーカー、レジャー関連、通販などさまざまで、企業規模も大手から中小企業まで幅広くなっております。
岩本
また、ビジョンにもありました「ブランドとビジネスに深い洞察と実行力を持つ人材を育成」
といったことを具現化するためにも、通常の講座以外にもイベント、セミナー、研究会なども数多く実施しております。
毎年開催している公開シンポジウムは今年で7回目を迎え、おかげさまで毎年着実に参加者が増え、今年は約140名の方々にご参加いただきました。2015年より事例コンテストを実施しており、シンポジウムにて、大賞、準大賞の事例を中心に発表しています。今年は、中小企業庁からの後援をいただき、大賞受賞者には中小企業特別賞として、中小企業庁長官より賞状を授与いただくという大変名誉あることとなりました。
このようなコンテストでの受賞者や、過去のシンポジウムでの発表者の実践事例は、ほんの一部にすぎず、協会の講座卒業者によるブランディング事例は、着実に増え続けてきています。
このような活動に至っているのは、協会で提供するカリキュラムが、単なる机上の道具ではなく、現場で使えること、そして、再現性の実証がなされているからではないかと感じています。また、これらの成果は、協会のトレーナーや卒業生のみなさんの努力の賜物であり、
関係者のみなさんのご支援があったからこそです。改めて感謝いたします。
聞き手
協会自体のブランディングは、どのように取り組まれていますか?
岩本
当協会の講座を伝え、広めてもらっているトレーナーは、現在60名以上在籍し、東京、大阪、福岡、千葉、広島、名古屋、長野、富山など、全国各地で講座を開催しています。 当協会のトレーナーは、勉強家で、ブランディングの実践や啓蒙に熱心な方が多いこともあり、協会自体のブランディングを考えるにあたり、トレーナーの活動が最も影響を与えるものだと考えています。 一昨年よりトレーナーのクレド(下図参照)も完成し、この価値観をもとに、研修をはじめ、できるだけ多くのコミュニケーションを本部とトレーナー、またはトレーナー同士が図れるよう工夫し、講師として、また講座という場づくりの質の向上と、安定化を図っています。
岩本
当協会のブランド・アイデンティティは、【「ブランド」に関する深い洞察を持つ実践者が集うビジネス・コミュニティ】です。 ブランド要素の1つとして、ロゴマークに牛を使っているのは、現在使われている「ブランド(brand)」という言葉は、古ノルド語で”焼印をつける”という意味の「brandr(ブランドル)」が語源だという一説があるからです。 また、ロゴだけでなくコミュニケーションカラーをラズベリー、あるいは京紫にしているのは、「豊潤な」「充実した」という意味を持たせているからです。ラズベリーは小さな球形の身の集合体であり、優れた風味・甘味・酸味がありジャムや洋菓子、リキュールなどに用いられています。京紫は奈良、平安の都があったころに尊ばれた伝統的な色であり、冠位12階の中では高貴な色としている紫に一番近いと言われています。
聞き手
これまでの活動を通して大変だったことはどんなことですか?
岩本
大変だったことは、忘れることにしています。(笑) 強いて言えば、講座でどのトレーナーが伝えても、基本軸は変わらないというために、定期的にトレーナー研修を行うなどをしていますが、カリキュラム自体も、受講生がより分かりやすく、役に立つようにブラッシュアップを継続していることもあり、カリキュラム改訂のタイミングでいかに足並みを揃えるかということでしょうか。60名以上のトレーナーが在籍しているので、なかなか大変なことですが、これからも、進化し続けていくので、これは今後も継続する課題かと思います。
岩本
また、どのトレーナーでも同じ品質で伝えられることを重視していますが、やはり個性も大事だと思います。各トレーナーのキャラクターを大切にし、講座では、自分事化できる事例を持っておくことも重視してもらっています。 このように、基本軸の品質を担保しながらも、個性を尊重していくバランスを大切にしているつもりですが、とても難しい部分だとも思っています。
聞き手
では、これから目指していきたい方向性をお聞かせください。
岩本
ミッションである【優れたブランドを構築できるブランド・マネージャーを数多く輩出することで、さまざまな組織の成長を促し、企業価値を向上させ、日本経済の活性化と発展に貢献する】を実現するためにも、実践事例の共有の場を拡大・継続していきたいと考えています。そのためにも、ブランディング事例コンテストやブランド・セッションなどの勉強会を継続開催し、グループコンサルなどの実践事例の共有の場を増やしていきたいと思います。
また、昨年から始めた資格制度のメリットを拡充したいと思います。その他、地方講座開催のバックアップも強化していきます。それと、来春から開始予定の3級資格制度と、すでに出版が決まっている公式テキストの普及に努めていきたいと考えています。最近ニーズが増えている企業研修サービスに関しても、積極的展開を図り、法人向けにブランド・ブランディングに関する相談窓口の充実も考えています。
聞き手
最後に、HPをご覧の皆様にメッセージをお願いいたします。
岩本
先ほども申し上げましたが、トレーナー、講座、運営のクオリティ向上を図り、「ブランド」について学ぶならここ!と言われるように、地域・業界問わず広く認知される存在になりたいと考えておりますので、ぜひ今後の協会に期待していただければと思います。 未だ講座を受講されていない方は、まずは、ベーシックコースを受講いただければ幸いです。必ず、お役に立てる講座です。組織と自らの成長のために、ともに切磋琢磨していきましょう!
※掲載の記事は2018年7月時点の内容です。
掲載内容が変更となっている場合がございますので、ご了承ください。