一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > ブランディング事例 >株式会社三義漆器店(福島県)
会津から地球再生の合図を 脱プラスチックに挑む伝統漆器メーカーの革新的挑戦
2025年度BRAND MANAGEMENT AWARD 大賞・BRAND MANAGEMENT OF THE YEAR・中小企業長官賞 受賞


「会津から地球再生の合図を 脱プラスチックに挑む伝統漆器メーカーの革新的挑戦」は、会津の伝統漆器メーカーが植物由来の生分解性プラスチック「PLA」に可能性を見出し、脱プラスチックに挑戦した事例です。
会津若松で90年の歴史を持つ伝統漆器メーカー・三義漆器店では、時代の変化と共に量販店向けのOEM樹脂製品を中心に展開してきました。そんな中、プラスチック問題の現実を目の当たりにして心を痛めた曽根社長は、100パーセント植物由来の原料でできている生分解性プラスチック「PLA」に可能性を見出し、PLAを世界一薄く成形できる特許技術のライセンスを導入。数々の商品ブランドを生み出しました。
ただ、数千万円もの設備投資をしたもののPLA商品の総売り上げは5、6万円程度で、社内理解も進まない状況だったことから、ブランディングプロジェクトがスタートしました。
まず、若手を中心にブランディング推進チームを結成し、ワークショップを開催。環境問題への意識を高め、新たにサステナブル事業ブランド「IZ EARTH(アイヅアース)」を立ち上げました。さらに、社内の思いを1つにするためにミッションやビジョンを明確化したほか、IとZがSDGs12番目の「つくる責任つかう責任」を表現しているロゴも設計しました。


ブランド・アイデンティティは「ものを大切にする地域」であることが会津らしさの本質だと考え、「会津発 永く使えるサステナブルプラ・ブランド」に決定。このブランド・アイデンティティのもと「なん度も使えて可燃ごみに出せるペコペコしないサトウキビなコップ」や、会津の氷のような風合いの「IZ GLASS(アイヅグラス)」などの新商品が誕生。


会津若松市内で地域飲食店とのコラボによる実証実験を進めて高い評価を得たほか、会津若松の小学4年生との産学連携プロジェクトも実施しました。



こうしたブランディングによって、売上高は1万2500パーセント増という結果に。さらに同ブランドの商品は「ふくしまベストデザインコンペティション」の総合グランプリや、2025年度グッドデザイン賞などを受賞。また、慶応義塾大学大学院で曽根社長の講演が実現したほか、ホテルメトロポリタン エドモントで会津グラスが全客室に導入され、ザ・リッツ・カールトン日光とのコラボレーションによって大阪万博で会津グラスが使用されるなど、BtoBを中心に急激な需要増が生まれました。





英語で乾杯を意味する「Cheers」になぞらえ生まれた、未来の乾杯の合言葉「CHEARTH(チァ〜ッス)」は、ブランドをひろげるためのコミュニケーションデザインのひとつ。
IZ EARTHは「会津から、日本から、地球再生の合図を。」とのスローガンのもと、日本の脱プラを牽引していくブランドとなることを目指しています。