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スペシャルインタビュー 「販促」と「ブランディング」は両輪で回す 知っておきたい「レスポンス広告」のポイントとは? セールスエンジニアリングデザイン(SED)開発者 岩本 俊幸

一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 代表理事
株式会社イズアソシエイツ 代表取締役
1991年、株式会社イズアソシエイツ設立30年以上にわたり広告制作・販促支援・コンサルティングに従事。
「広告は販売につながってこそ価値がある」という考えのもと、Sales Engineering Design(SED)を開発。
広告代理店・通販会社・銀行系コンサルティング会社などで研修講師を務め、現在はブランド・マネージャー認定協会代表理事としてブランド人材の育成にも取り組んでいる。
著書に『確実に販売につなげる 驚きのレスポンス広告作成術』(同文舘出版)、『この1冊ですべてわかる 販促手法の基本』(日本実業出版社)、『BtoBマーケティング&セールス大全』(同文舘出版)、『担当になったら知っておきたい「販売促進」実践講座』(日本実業出版社)など。
ブランディングを行ううえで、欠かせないのが「刺激の設計」。
広告表現や販促などを通して消費者に意図したブランド・イメージを抱かせるものですが、ブランド・マネージャー認定協会代表理事の岩本俊幸氏によると、意外にもブランディング担当者の間でも理解が十分に浸透していないケースもあるそうです。
2010年に『確実に販売につなげる 驚きのレスポンス広告作成術』(同文舘出版)を出版した代表理事の岩本氏に、本書の内容を元に、販促の知っておくべき重要なポイントなどについてお話を伺いました。

「レスポンス広告」で必要な4要素とは?
本日は、2010年に出版されました書籍『確実に販売につなげる 驚きのレスポンス広告作成術』を元に、販促で知っておくべきポイントなどについてお話をお伺いしたいと思います。
本書では、「レスポンス広告」の内容や重要性、制作するうえでのポイントなどが具体的な事例を交えて語られています。
本書の出版から時間が経った現在も、販促物の見せ方などについて多くの相談が寄せられていると聞きました。
出版から15年以上が経ちますが、今でもいろいろな方からチラシやバナー、LPなど、広告表現について個別相談を受ける機会は多いですね。
特にこの半年でそうしたご相談を受けることが多く、「これはそもそも、販促の根底が正しく理解されていないのではないか」と気づきました。
そこで相談者の方々に本書を勧めたところ、「この本をもっと早く読んでおけばよかった」と言われて。
相談者はブランディングを学んでいる人ばかりですが、販促の部分では実は困っているんだな、ということがわかりました。
ブランド・マネージャー認定協会では、独自のブランド構築手法として「ブランド構築の8ステップ」を提唱しており、7ステップ目の「刺激の設計」が広告表現、販促の部分にあたります。
本書で解説しているのも、まさにこの「刺激の設計」についてですね。
ただ、自社の商品やサービスを消費者に届けるためには販促だけではダメで、ブランディングも必要です。
一方で、ブランディングばかりに意識を向けていると販促が疎かになってしまう。
バランスを意識することが重要なんですね。
本書の内容についてお伺いします。
第1章では、具体的な事例をもとに消費者の反応の違いを紹介し、第2章以降では「レスポンス広告」についての事前知識や、岩本氏が開発された「セールスエンジニアリングデザイン(SED)」について、そしてレスポンス広告に特化した法則「AUMFA(アウムファ)」について語られています。
一つひとつ紐解いていきたいと思いますが、まずは「レスポンス広告」とは何か教えてください。
「レスポンス広告」とは、いわば“反応を計測できる広告”のことです。
そして、「レスポンス広告」を考えるにあたって押さえておきたいワードとして「マインドシェア」があります。
簡単に言うと“顧客の心の中に占めるブランドのシェア”のこと。
この「マインドシェア」を、階層ごとのターゲットの心理目標に置き換えたのがAの図です。

この図は、最下層の未認知客から最上位層の常連客までを表したもので、それぞれの層で異なる心理目標があります。
ここでは、「見込み客」である顧客リストを持つ前の段階から、顧客の心の中のシェアを増やしていくことが重要な視点である、と覚えておくといいでしょう。
このように、ダイレクトマーケティングでは、「各顧客階層のパイ(人数)をいかに広げるか」「各階層の顧客をいかに上へと昇華させるのか」という課題を解決することが目的になります。
そして「レスポンス広告」とは、ここで一番下の階層である「未認知客」を、「見込み客」または「トライアル客」にまで上げていくための広告であり、最もコストがかかる、特に難しいステップに挑戦する広告なのです。
「レスポンス広告」で必要な要素として、本書では4つの要素を挙げています。
これら4要素について具体的に教えてください。
4つの要素とは「媒体」「タイミング」「オファー」「表現の工夫」です。

まず「媒体」は、チラシ、DM、ミニコミ誌、雑誌広告など、「何を媒介して広告を打つのか」ということです。
そして「タイミング」は、年間、曜日、1日の時間などの中の最適なタイミングのこと。
「オファー」は、「何を使って集客するのか」ということで、いわば広告の目的。
ダイレクトマーケティングの世界では「特典」ともいいます。
また、顧客や見込み客に対して、レスポンスの見返りとして提供する条件・セールステクニックでもあり、大別すると「取引条件」「購入促進要因」「顧客の安心要素」の3種類に分けられます。
そして最後の「表現の工夫」が本書のメインテーマで、広告業界では「クリエイティブ」といいます。
これら4要素は掛け算になっており、ひとつでも選択を間違えてしまうとターゲットからの反応がゼロになってしまうため、注意が必要です。
このようにコストがかかり、難しいレスポンス広告ですが、だからこそ反応を計測するためのモノサシとなる指標が欠かせません。
この指標の代表格が「CPI(Cost Per Inquiry)」と「CPO(Cost Per Order)」と呼ばれるもので、「CPI」は1人の見込み客を獲得するためにかかったコストのこと。

「広告費÷引き合い数」で計算します。
また、「CPO」は1人の注文・成約を獲得するためにかかったコストで、「広告費÷注文数」で算出します。
また、このふたつ以外にも、たとえば「レスポンス率」という指標もあります。
これは、たとえばチラシを5万部配布して100人の新規客が来店した場合、「100人÷5万部」で算出する値で、この場合は「0.2%のレスポンス率」というわけですね。
そして、これらの指標は、先ほどお話しした「媒体」「タイミング」「オファー」「表現の工夫」という4つの要素の掛け算で成立します。
この指標を元に反応を計測して検証していくと、媒体の特性やタイミングによる効果の違い、オファーによる効果の違い、表現の工夫による効果の違いなどが見えてきます。
つまり、こうした指標を元に検証することで、何が成功で何が失敗かを計ることができるわけです。
まずは指標を知ることが「レスポンス広告」を始める第一歩、といえるでしょう。
レスポンス広告に特化した「SEDブリーフ」とは
本書では、「SED(セールスエンジニアリングデザイン)」という手法を提唱されているのが特徴です。
中でも「SEDブリーフ」というワードが重要なポイントとして紹介されていますが、具体的にどういうものなのか教えてください。
この「SED」は私が開発した手法で、レスポンス広告における表現の仮説検証のアプローチ手法であり、広告づくりの「型」となるものです。
そして「SEDブリーフ」ですが、これについてお話しする前に「クリエイティブ・ブリーフ」という、レスポンス広告を制作するうえで押さえておきたい要約書についてご説明します。
Bの図は、当協会の評議員でもある小池玲子先生に教えていただいた貴重な資料で、無駄をそぎ落として作成された「クリエイティブ・ブリーフ」ですが、これをさらにレスポンス広告に特化させたものが、「SED」のブリーフィングである「SEDブリーフ」です。
◆B図 クリエイティブブリーフ

◆SEDブリーフ

一つひとつ具体的に紹介すると、SEDブリーフの1は「あなたは何のために広告を打ち、どれくらいの成果をあげたいのか?」ということ。
2は「あなたの内なる驚異とは何か?」で、3は「あなたの競合相手は誰なのか?また、その中であなたはどのようなポジションにいるのか?」ということ。
4は「あなたを欲しい人は誰なのか?」で、5は「あなたを欲しいであろう人が感じている本音とは何か?」、6は「広告を打った結果、あなたが期待したいターゲットの反応は何か?」。
そして7は「ターゲットに関心をもってもらうため、あなたが訴える最も大切な提案とは何か?」であり、8は「あなたの信頼できる最大の点は何か?また、信頼性を証明する根拠とは?」で、最後の9が「ターゲットに告げるべき、次にとってもらうべき行動とは何か?」ということです。
シンプルですが、これらを一つひとつじっくりと考え、要件をまとめることで、効果が上がる広告づくりの第一歩を踏み出すことができると思います。
本書では「広告の構造地図」についても語られています。
「広告の構造地図」とは何か、教えてください。
簡単にいうと「レイアウト」のことです。
アートディレクターの故山田理英先生の著書『広告表現を科学する』(日経広告研究所)の中で、広告を見た時に圧倒的に「構造地図」の注目率が高いという結果が記されているように、人が広告で最初に目にするのは構造地図、いわゆる「全体のレイアウト」であることがわかっています。
つまり、消費者ははじめに広告の全体像を見る、というわけですね。

この「広告の構造地図」を確認するポジショニングチャートは私が開発したもので、「右脳と左脳の違いを広告表現として置き換えてみると、どのような位置づけになるのか」をざっくりと定義づけしています。
右脳型広告とは「感性的表現」で、つまりビジュアル面を重視した広告であり、イメージの主張やイメージの持続性などを目的としています。
一方、左脳型広告は「言語的表現」で、機能面を重視した広告を指します。
目的はセールスマンシップや説得で、差別化ポイントの認知や理解を促進するという特徴があります。
構造地図が左脳型である文章中心のものは、ターゲットが女性の場合は適さない場合がありますが、かといって右脳型のイメージ中心の広告では、消費者は反応しにくい。そこでチラシ系広告の理想的な構造地図は「両脳型」のパターンに行き着くわけですね。
両脳型広告には、ビジュアルが目を引くように工夫されていたり、顧客ベネフィットを表現していたり、全体のデザインのバランスが良いなどの特徴があります。
ただ、これも絶対ではありません。
業種やターゲット、商品特性、価格帯、広告媒体によって、どのタイプの広告が有効なのかは異なるので、よく検討して活用することが重要です。
「SED」の肝となる「AUMFA」の法則とは?
第5章では、「SED」の中での核心として「AUMFA(アウムファ)」という法則をご紹介されています。
これは岩本氏が開発されたそうですが、どのような法則なのか教えてください。
「AUMFA」は「SED」の肝となる部分です。
広告設計にはすでに代表的な法則「AIDMA(アイドマ)」があり、これは「Attention(注意)」「Interest(興味・関心)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」の5段階を表したもので、広告業界では誰もが知る消費行動理論です。
ただ、開発された1920年代と比べて現在はモノがあふれ、「こだわり」「共感性」が重要なキーワードになっており、当時とは事情が変わっています。
そこで、この法則を現代のレスポンス広告に当てはめるためにもう一歩踏み込んで開発したのが、この「AUMFA」です。

具体的には、「Awake(感情を呼び起こす)」「Understand(理解を深める)」「Memory(記憶に残る)「Fade(矛盾や葛藤を解消する)」「Action(行動を喚起する)」という5段階になっています。
このうち、「Awake」「Understand」「Memory」「Fade」までの4段階を“感情段落”とし、「Action」を“行動段階”と区別しています。
この中でも、特に重要な段階として位置付けているのが「Fade」です。
なぜなら、ターゲットが広告に注目し、感情を喚起され、理解を深め、記憶したとしても、そこで何かしらの矛盾や葛藤が生じるからです。
つまり、広告を見たターゲットは、「試しに買ってみようか」と購買意欲が一瞬、頂点に近づきますが、そこでリスクを避けようとして、購買意欲を脳のどこかで押さえようとするのですね。
そうした葛藤を解消していくことが、販売につなげるうえで重要になるわけです。
葛藤を解消する方法としては、「圧倒的な証拠を見せる」「保証する」「権威づけをする」という3つの要素があり、これらを意識することが大切です。
本日は、レスポンス広告の基本と重要なポイントについて伺ってきました。
改めて、最後に読者の皆さまへメッセージをお願いします。
伝えたいのは、「広告に正解はない」ということです。
そして、「広告は知識がなければ失敗する。しかし知識だけでも成功はしない」ということも覚えておいてほしい教訓ですね。
なぜなら、広告設計の原則を知り、多くの事例に触れることが大切なのはいうまでもありませんが、広告は結果がすべてであり、結果は実施してみなければわからないからです。
まずはテストを繰り返し、結果を分析・検証する。
こうした地道な仮説検証の繰り返しこそが正解に近づく道であると思います。
2026年9月2日(水)より、本記事でご紹介したSED(広告設計)を、
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※掲載の記事は2026年7月時点の内容です。
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