受講生の声|ブランド・マネージャー認定協会の実践事例とインタビュー

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スペシャルインタビュー 「納品型から参謀型へ」 “継続的に収益をあげる”ための仕組みづくりとは? 株式会社ゼクスデザイン代表 経営デザイナー® 高田 昇浩 氏

株式会社ゼクスデザイン代表 経営デザイナー® 高田 昇浩 氏
プロフィール
株式会社ゼクスデザイン代表
経営デザイナー®
一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会スタンダードトレーナー

大手製紙会社のグループ印刷会社に営業職として入社。
広報・宣伝・デザイン・マーケティングの現場で感覚と経験を積む。
その後デザインプロダクションや広告代理店で、大手有名企業の販促ツール制作やプロモーションなどのブランディングプロデュース、クリエイティブディレクターを歴任。
2009年ゼクスデザイン事務所(現株式会社ゼクスデザインの前身)を創業。
マーケティング上の様々な課題を、ブランディングで解決に導くブランド・マネージャーとして広告デザイン・ブランド構築・マーケティングの知識と経験を活かし、ブランドづくりのプロセスに幅広く携わっている。

現在、デザイナーのビジネスモデルといえば、単発で受注し、期限内にクライアントへ納品する「納品型」が主流です。
しかし、この働き方には過労で倒れるリスクや、収入が不安定になりやすいなどの課題があります。
そこで、今年4月に書籍『納品からの卒業〜デザイナーのビジネスモデル再構築〜』(ザメディアジョン)を発刊した株式会社ゼクスデザインの高田昇浩氏は、クライアントに長期に寄り添い成果に導く「参謀型ビジネスモデル」を提唱。
書籍の中で継続的に収益があがる仕組みを作る重要性を訴えています。
高田氏にお話を伺いました。

作業者業者から、経営に関わる参謀へ

本日は、今年4月に発売された書籍『納品からの卒業〜デザイナーのビジネスモデル再構築〜』(ザメディアジョン)について、詳しくお話をお伺いできればと思います。
まず、本書を執筆された背景についてお聞かせください。

いちばん大きかったのは、長くデザインの仕事をしてきたなかで、ずっと感じていた違和感ですね。

デザイナーって、自分ではクリエイティブ=創造していると思っていても、実際には「頼まれたものをつくる人」になりやすいんです。
ロゴ、パンフレット、Webサイト。
もちろん大切な仕事ですが、納品した瞬間に関係が終わってしまうことも多い。
ちょっと意地悪な言い方をすると、都合の良いときだけ呼ばれる存在なんです。

でも、企業と長く付き合っていると、経営者が本当に悩んでいるのは、ロゴの形やWebサイトの見た目だけではないことがわかります。
「会社をどこに向かわせるのか」「何を強みにするのか」「誰に、どんな価値を届けるのか」そういう、もっと上流の部分です。
だったらデザイナーも、「つくるところ」だけではなく、その手前から関われるんじゃないか。
それがブランドマネージャーという仕事でもあり、この本を書く出発点になりました。

この本で伝えたかったのは、単価を上げる方法ではありません。
デザイナーやクリエイターには、もっと違う働き方があるということです。
特にAIによって「つくる」ことの価値が大きく変わっている今、必要なのは制作スキルだけではなく、「何をつくるべきか」「そもそも、つくる必要があるのか」を一緒に考える力です。
納品する人から、相談される人へ。
作業者から、経営に関わる参謀へ。
その可能性を、ぼく自身の経験をもとにまとめたのが『納品からの卒業』です。

高田さんご自身も、もともとは「納品するデザイナー」だったわけですよね。
そこから、今の「参謀型」の仕事へは、どのように変わっていったのでしょうか?

もちろんです。
最初から今みたいな仕事をしていたわけではありません。
昔は本当にたくさんの案件を抱えて、一時期は100社近くと取引していました。
でも、仕事を増やせば増やすほど忙しくなるし、売上を維持するには、また次の案件を取らなきゃいけない。
しかも、いつ仕事が来るか分からないので自分の予定も組みにくい。
納品したらゼロに戻って、また次の納品を目指す。
その繰り返しです。

あるとき、「これ、ずっと続けるのはシンドいな」と思ったんです。
そこから少しずつ、制作物そのものよりも、「この会社がどうすればもっと良くなるんだろう」と経営者と一緒に考えるようになりました。

すると、「これをつくってください」ではなく、「高田さん、これどう思います?」と相談されることが増えていったんです。
経営者の横に立って、ブランドや事業、売り方や伝え方まで一緒に考える。
必要ならデザインもするけれど、デザインすること自体が目的ではない。
目的は、クライアントのビジネスを前に進めることです。

この働き方に変わってから、むやみに案件数を増やさなくても、長く深く付き合えるクライアントが増えました。
ぼく自身、以前よりずっと仕事が楽しくなりました。
今では、こうした働き方を「参謀型」と呼んでいます。

「ワン・タイム・バリュー」から「ライフ・タイム・バリュー」

本書では「構造」の変化として、「納品型」から「参謀型」への転換や、継続的に収益があがる仕組みづくりを勧められています。
改めて、具体的にはどのようにすべきか、知っておくべきポイントを教えてください。

まず大事なのは、「継続契約を取ろう」と考えることではないんです。
ぼくは、この違いをOTVとLTVで考えると分かりやすいと思っています。
OTVはワン・タイム・バリュー。
つまり、一回の取引でどれだけ売上をつくるか。
たとえば100万円のWebサイトをつくって納品する。
従来のデザイン業界は、基本的にこのOTVを積み重ねて売上をつくってきました。
だから納品したら、また次の案件を探さなきゃいけない。
一方、LTVはライフ・タイム・バリュー。
そのお客さんと長く関わることで生まれる価値です。

ただ、「じゃあ月額契約にすればいい」という話ではありません。
毎月バナーを10本つくる契約に変えても、それはOTVを月額払いにしただけなんですよ。

大切なのは契約形態ではなく、「何を提供するのか」を変えることです。
「Webサイトをつくります」ではなく、「売上を伸ばすためにWebをどう使うか、一緒に考えます」。
「ロゴをつくります」ではなく、「この会社のブランドをどう育てるか、一緒に考えます」。
成果物を売るのではなく、課題解決や意思決定に関わっていく。
そこまで入ると、仕事は一回の納品では終わりません。
会社経営に「完成」はありませんから。
ひとつ課題が解決すれば、次の課題が出てくる。
そのたびに一緒に考える存在になることで、結果としてLTVも高くなり、継続的な収益につながっていきます。

だから順番が逆なんです。
「どうすれば月額契約を取れるか」ではなく、「どうすれば、この会社に長く必要とされる人になれるか」。
OTVを取り続ける働き方から、LTVを育てる働き方へ。
それが、本書で何度も言っている「構造を変える」ということです。

継続的に収益をあげる “参謀型”スタイル

本書では、継続的に収益があがる仕組みとして4つの「ビジネスモデルの軸」を紹介されています。
これらについて改めて詳しく教えてください。

本書では、ビジネスには大きく4つの「選ばれる軸」があると整理しています。
「安価」「便利」「品質」「密着」の4つです。

「安価」は価格の安さ、「便利」は早い・簡単・頼みやすいこと、「品質」は専門性や技術力、クオリティの高さで選ばれるモデルです。
デザイナーは、ほとんどの人がこの「品質軸」で勝負しようとします。ぼく自身も長い間そうでした。
「もっとうまくなれば評価される」「もっといいものをつくれば高く売れる」
でも品質軸で戦い続ける限り、必ず自分よりうまい人が出てくる。なかなか技術競争から抜けられないんですよね。

そこで4つ目が「密着軸」です。
これは、「一番うまいから」ではなく、「一番、自分たちのことをわかってくれているから」で選ばれるモデルです。
会社のことも、経営者の考え方も、これまでの経緯も知っている。
だから、「高田さんだったら、どう思う?」と相談される。
ぼくが「参謀型」と呼んでいるのは、まさにこの密着軸です。

もちろん、4つのうちどれが正解という話ではありません。
ただ、自分がどの軸で選ばれたいのかは、意識しておいた方がいい。
特にフリーランスや小さな会社なら、顧客数をむやみに増やすより、一社一社との関係を深くしていく方が強いこともあります。

先ほどのLTVの話でいえば、密着軸はまさにLTVを育てやすいモデルです。
「何をつくれる人か」だけではなく、「この人と一緒に考えたい」と思ってもらえる。
参謀型を目指すなら、この「密着軸」をどうつくるかが、とても重要だと思っています。

顧問契約を獲得するために必要なポイントとは?

まず、「顧問契約を取りにいこう」としすぎないことですね。
いきなり「月額で契約してください」と言われても、相手からしたら怖いじゃないですか(笑)。
顧問契約って、商品を買うというより、「この人を経営の近くに置いておきたい」と思ってもらえるかどうかなんです。

だから最初に必要なのは、売り込むことではなく、相手のことを深く知ること。
何に困っているのか。これから何をしたいのか。
経営者自身もまだ言葉にできていないことまで、一緒に整理していく。
そこで、「この人に話すと頭が整理されるな」と感じてもらえることが大事です。

もうひとつは、言われたことだけをやらないことですね。
「パンフレットをつくってください」と言われても、「本当にパンフレットが必要ですか?」と考える。
場合によっては、「会社紹介スライドで充分ですよ」と提案することもあります。
何でも「はい、できます」と答えるのではなく、クライアントにとって本当に必要なことを一緒に考える。
そういう関係ができてくると、自然に「これからも相談したい」と言われるようになります。

つまり顧問契約は、最初に売るものではなく、信頼関係を積み重ねた先に生まれるもの。
「この人がいないと困る」と思ってもらえる存在になることが、一番大事だと思っています。

顧問に求められる“スキル”とは?

本書では「顧問に求められるスキル」についても解説されています。
スキルとはどのようなものなのか、教えてください。

顧問というと、「経営のことを何でも知っていないといけない」と思われがちですが、ぼくはそうではないと思っています。
もちろん、マーケティングやブランディング、数字などを学ぶことは必要です。
でも、それ以上に大事なのが「聞く力」「問いを立てる力」「提案する力」です。

デザイナーの仕事だと「何をつくりますか?」と聞きますよね。
でも顧問は、もう一歩手前に入る。
「なぜ、それをつくりたいんですか?」「それによって何を変えたいんですか?」「そもそも今、本当にそれをやるべきですか?」そうやって対話していくと、経営者自身も気づいていなかった課題が見えてくることがあります。

ぼくは、ここが作業者と参謀の大きな違いだと思っています。
顧問に必要なのは、何でも答えられることではなく、相手と一緒に考えて、課題を整理し、必要なときには自分の意見を言えること。

デザイナーは、実はその素地をかなり持っています。
ヒアリングして、情報を整理して、課題を見つけ、形にする。普段やっていることですよね。
その力を「制作物をつくるため」だけではなく、「クライアントのビジネスを前に進めるため」に使う。
そこから、参謀としての仕事が始まるんだと思います。

最後にメッセージをお願いします。

今は、「デザインなんてAIができる」と言われる時代です。
ぼくは、それでいいと思っているんです。
つくることだけがデザイナーの価値なら、たしかにAIに置き換わる仕事は増えていくでしょう。
でも、「何をつくるべきか」「なぜ、それをやるのか」「この会社は、これからどこへ向かうのか」。
そこを経営者と一緒に考える仕事まで、デザインの外に出す必要はない。
むしろAI時代だからこそ、デザイナーはもっと経営に近づけると思っています。

「つくる人」で終わるのか。
「この人と一緒に考えたい」と言われる人になるのか。
『納品からの卒業』が、自分の仕事をもう一度見直すきっかけになったら、うれしいですね。

※掲載の記事は2026年8月時点の内容です。
掲載内容が変更となっている場合がございますので、ご了承ください。
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