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スペシャルインタビュー 一人の女性経営者の悩みから日本最大の跡取り女性コミュニティへ! 女性後継者を支援する「跡取り娘コミュニティのブランディング」とは? 一般社団法人日本跡取り娘共育協会 内山 統子氏
一般社団法人日本跡取り娘共育協会 代表理事
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 スタンダードトレーナー/プラクティショナー
ブランディングコンサルタントとして活動。
これまで200社以上のクライアントへの提案を行い、イメージの向上、販路の拡大の提案を行う。
中小企業を軸に、老舗企業などファミリービジネスのブランディングを得意とする。
2019年、未来の女性リーダーとなる跡取り女性(女性後継者)の支援事業として「一般社団法人日本跡取り娘共育協会」を設立する。
2024年度の「BRAND MANAGEMENT AWARD」では「跡取り娘コミュニティのブランディング」でSDGs審査員特別賞を受賞。
“超老舗大国”の日本で、明治から続いている「イエ制度」。
法的にはすでに廃止されていますが、現在でも老舗企業が継続するための有効なシステムとされています。
一方、この制度は女性にとって後継者になりにくい構造を持っていて、結果としてジェンダーギャップを生み出す要因にもなっています。
実際、企業の女性後継者の比率は男性後継者の10分の1程度という状況にあります。
そんな中、一人の女性経営者の悩みをきっかけに、「一般社団法人日本跡取り娘共育協会」が発足。
「跡取り娘.com」というブランドを構築し、様々な取り組みを行っています。
ブランドがどのように誕生したのか、一般社団法人日本跡取り娘共育協会代表理事の内山統子氏にお話を伺いました。

一人の女性経営者の悩みがブランド構築のきっかけに
本日は、2024年度「BRAND MANAGEMENT AWARD」でSDGs審査員特別賞を受賞した「跡取り娘コミュニティのブランディング」についてお話をお伺いできればと思います。
今回のブランディングの背景について教えてください。
「跡取り娘コミュニティのブランディング」は、一人の女性経営者の悩みから始まったプロジェクトが日本最大の跡取り女性のためのコミュニティに成長するまでのブランド構築事例です。
超老舗大国の日本では、明治から続く「イエ制度」が現在も社会的・文化的な慣習として、老舗企業が継続するための大変有効なシステムとなっています。
ですが、女性にとって後継者になりにくい構造を持ったこの制度は結果としてジェンダーギャップを生み出す要因にもなっています。

実際、事業承継で見ると10%しか女性が承継できていない状況にあるのです。
そんな中、ブランドのコンサルティングを通して一人の女性経営者と出会い、疎外感や孤独を抱えているという悩みを聞き、そのシビアな現実に触れたことで「そういう人たちが集まる場所を作ろう」と考えました。
そして令和が始まった2019年の5月に「一般社団法人日本跡取り娘共育協会」を立ち上げ、ブランド構築に取り組んだという形です。

インサイトに注目し差別化ポイントをマッピング
「一般社団法人日本跡取り娘共育協会」のブランド構築について教えてください。
協会を立ち上げるときに、まずはインサイトに注目しました。
女性経営者の方は、「女性の会社の中での働き方・ポジションは管理部門が多く、キャリアのスタートラインが限定されてしまっている」「カリスマ社長・男性的リーダーシップへの違和感」「女性の事業承継者が少ないため、ロールモデルが見当たらない」という悩みを抱えています。
それを踏まえて、「自分らしいあり方に即したアプローチ」「長期的な付き合い」「女性後継者に特化」「オンライン化」などの差別化ポイントをマッピングし、長期的に付き合えて、オンラインでコミュニティとして出会える場所を構築しました。

次に、ペルソナを決めました。
ペルソナは、「親の期待はあるけれど地域的な女性軽視や従業員との関係性を考え、継げるか不安がある」「自分が学び自信をつけて親の期待に応えて、自分を育ててくれた地域に恩返しをしたい」という考えを持つ、「長女タイプでしっかり者の30代女性」と設定しました。

また、ブランド名称は「ドットコム」とすることで事業承継にハードルの高さを感じてしまう方が集まりやすいようなカジュアルな場にしたいと「跡取り娘.com」と決定。
ブランドのロゴは、ハートを3つ合わせたデザインとし、両親からの「想いの継承」などを表現しました。
さらに、ハートが3つ重なった形は「梅の花」の形でもあります。
元号が令和に変わった日に生まれた協会なので、「令和」という名前の由来になっている梅の花をシンボルにしています。

そしてブランド・アイデンティティは「私だけの承継を味方にする 私だけの場所」と決め、協会の理念を「承継をわたしらしく 全ての女性を自信に満ちた経営者に変えていく」とし、ミッションは「女性の新しい価値観を社会に浸透させていく」、バリューは「共育(ともに育つ)」と定めました。


そして、ウェブサイトを制作。さらに「問題意識を持つ」「好奇心と向上心を持つ」「秘密は墓場まで持って行く」「利他心」「長期的観点」という跡取り娘会員の“5か条”も定めました。
特に秘密は墓場まで〜は言葉が一人歩きして、参加者の方はもちろん外部講師の方にとっても心理的安全性を担保できることに繋がっています。

「跡取り娘.com」の提供する価値について教えてください。
ここには3つの価値があると考えています。
1つは、「コミュニティと連帯感」です。
同じ人たちが毎回集まって学べる場所を作り、知識や経験を共有することで“連帯感”を作っていくことを大切にしています。

そして2つ目は「学びの場」としての価値です。
定期的な学びの場を作ることで、経営力を高め、経営者としての視座をあげることに寄与します。

そして3つ目は、「この中でだけ話せる」という「信頼と安心感」です。
「跡取り娘.com」というブランドでは、これらの3つの価値を重視しています。

2035年までに女性の後継者比率を25%に
これまでの活動実績について教えてください。
2019年にスタートした当時は数名のコミュニティでしたが、関係省庁など様々なところへ働きかけたり、書類を刊行したりする中で、社会的な意義を感じていただけて外部からの信頼も得て、現在は100名以上の会員にお集まりいただけるまでになりました。
また、会員同士のつながりもでき、事業承継に関する相談はもちろん、コラボレーションした商品が販売されるなどの盛り上がりもみせています。

今後の課題とビジョンを教えてください。
課題としては、パートナーシップの構築などが挙げられますが、最近は徐々に外部から人が集まってきてチームが出来上がりつつあります。
今後は理念に共感してくれるメンバーと共に2035年までに女性の後継者比率を、現在の10%から25%にすることを目指すゴールとして掲げています。
また、金融機関や自治体、大手企業、経営者団体などとも連携して活動していければと思います。

掲載内容が変更となっている場合がございますので、ご了承ください。
