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『赤酢』がある食卓で人生を豊かに!和歌山の蔵元が販路開拓に挑戦
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赤酢
ブランド戦略
九重雑賀の「ブランド」マネージャーによるこのプレゼンテーションは、和歌山で酒と赤酢を醸造する老舗蔵元が、いかにして「ブランド」戦略を通じて新たな市場を開拓し、成長を遂げたかを示す事例です。
九重雑賀は、これまでB2Bを中心に事業を展開していましたが、国内市場の縮小と競合の激化という課題に直面していました。そこで、自社の独自性である「赤酢」に焦点を当てた「ブランディング」を提案しました。九重雑賀は、日本酒を醸造する際にできる酒粕から赤酢を製造しており、日本酒と赤酢を同じ敷地内で醸造している唯一の蔵元であるという「強み」がありました。特に、山田錦の純米大吟醸の酒粕のみを使用した「雑賀吟醸赤酢」は、その品質において他社との「差別化」を図れる「コアプロダクト」でした。
「ブランディング」の目的は、「自社醸造の酒粕でつくる赤酢」という強みを最大限に活かし、「ブランド力」を強化すること、そして一般消費者への「認知度」を高め、企業全体の売上アップを目指すことでした。経営陣と事業部の担当者がプロジェクトメンバーとなり、3C分析を徹底的に行い、「健康志向・本物志向」の消費者をターゲットに設定しました。
「ブランド」アイデンティティは「上質な素材・丁寧な製法を守り、100年後も使い続けられる商品で人生を豊かにしたい」と設定され、タグラインは「真っ当な酢、真っ当な酒、時をこえる。」となりました。ロゴマークのリニューアルやホームページ・ECサイトの改善を通じて、「ブランド」要素と「ブランド体験」を顧客視点で設計しました。
さらに、「赤酢のすし酢」という新商品を開発。これは、家庭で手軽に高級寿司店の寿司飯を再現できる商品として、2021年の調味料選手権で入賞するなど、高い評価を得ました。
これらの「ブランディング」施策の結果、赤酢事業の売上はサポート前と比較して2.07倍に成長し、ECサイトの注文総数と売上も約2倍に増加、リピーター率は10%から37%へと飛躍的に向上しました。数値的な成果だけでなく、社内では部門間の連携が活発になり、顧客視点での商品作りができるようになったほか、B2B営業においても「ブランド」の「価値提案」が取引に繋がるなど、多くの「インターナルブランディング」効果も生まれました。
九重雑賀は今後も各事業で「ブランド」イメージを確立し、相乗効果で企業全体の「ブランド力」アップを目指すとともに、海外向け「ブランディング」にも取り組み、世界中の人々の「おいしい」に貢献することを目指しています。この事例は、伝統的な企業が「ブランド戦略」を通じて、いかに「事業革新」と「市場拡大」を実現できるかを示す好例です。
スピーカー坪田 有希子 氏
2022年ブランディング事例コンテスト
株式会社TTDESIGN
