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スペシャルインタビュー サステナブルブランド「IZ EARTH」を生み出し売上高1万2,500%達成!“脱プラ”に挑んだ伝統漆器メーカーのブランディングとは? 株式会社OICHOC 八幡 清信氏

株式会社OICHOC 八幡 清信氏
プロフィール
株式会社OICHOC代表取締役/ブランドディレクター
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 スタンダードトレーナー/プラクティショナー

26歳でデザイン会社「OICHOC」設立。経営者の「おもい」に寄り添うブランドデザインを目指す。
ブランディング事例コンテストにおいて3度のブランディング大賞を受賞。
グッドデザイン賞2021 審査員セレクション選出など受賞歴多数。
著作に『第一線で活躍する研究者×実践者×コンサルタントが教える 超実践的 マーケティング・ブランディングの教科書』(徐誠敏・編 共著:八幡清信他、ビジネス実用社)。
2025年度のBRAND MANAGEMENT AWARDで大賞・BRAND MANAGER OF THE YEAR・中小企業庁長官賞を受賞。

プラスチックごみが世界的な問題になっている現在。
会津若松で90年の歴史を持つ伝統漆器メーカーの三義漆器店では、脱プラを目指してサステナブルブランド「IZ EARTH」を立ち上げ、植物由来の生分解性プラスチック「PLA」を使用した商品開発に挑戦。
「IZ GLASS」など革新的な商品を生み出し、売上高はブランディング以前の1万2,500%を記録するなど大きな成果をあげています。
2025年度のBRAND MANAGEMENT AWARDで大賞・BRAND MANAGER OF THE YEAR・中小企業庁長官賞を受賞したブランディング事例「会津から地球再生の合図を 脱プラスチックに挑む伝統漆器メーカーの革新的挑戦」について、ブランディングを担当した株式会社OICHOC代表取締役の八幡清信氏にお話を伺いました。

プラスチック問題に心を痛め植物由来の「PLA」に着目

本日は、2025年度「BRAND MANAGEMENT AWARD」で大賞、BRAND MANAGER OF THE YEAR、中小企業庁長官賞を受賞したブランディング事例「会津から地球再生の合図を 脱プラスチックに挑む伝統漆器メーカーの革新的挑戦」についてお話をお伺いできればと思います。
はじめに、今回のブランディングの背景について教えてください。

創業90年の三義漆器店は、400年の歴史を持つ会津塗器の技術を受け継ぎながら、これまで量販店向けのOEM樹脂製品を中心に展開していました。
しかし、世界的にサステナブル志向が高まる中、代表の曽根社長はプラスチック問題の現実を目の当たりにして心を痛め、木製よりもプラスチック製の器が圧倒的に多い現状に課題を感じていました。
そんな中、100%植物由来の生分解性プラスチック「PLA」と、それを開発した小松技術士と出会い、PLAを世界一薄く成形できる特許技術をライセンス導入して複数の商品ブランドを生み出したんです。
ただ、数千万円もの設備投資をしたものの、PLA商品の当時の総売り上げは5、6万円程度で、社内理解も全く進んでいませんでした。
そこで曽根社長から声が掛かり、ブランディングプロジェクトがスタートしたという形です。

ブランディング推進チームを結成し脱プラブランド「IZ EARTH」誕生

プロジェクトはどのように進めていったのでしょうか。

まずは若手を中心にブランディング推進チームを結成しました。
そしてワークショップを開催して環境問題への意識を高め、新たにサステナブル事業ブランドを立ち上げました。
それが「IZ EARTH(アイヅアース)」です。

そして社内の思いを1つにするため、「会津から、ひとと地球のために。」「ふだん使いのサステナブルで自然にecoする暮らしをつくる。」などとミッション、ビジョンを明確化しました。

さらに、ブランドのシンボルとなるロゴを設計しました。
ロゴの「I」と「Z」は、SDGs12番目の「つくる責任つかう責任」を表現しています。
円型矢印の角度は、地球を表現するために地軸と同じ角度でデザインしました。

100%植物由来のプラスチックを使用した「IZ EARTH」の強みは、それは本質的な環境配慮のプラスチックであることや、子供が口にしても安全であること、会津の伝統工芸の美意識と技術力であると考えました。

また、プラスチックの「長持ちする、軽い、割れにくい」という機能的価値や、「可愛い、美しい」などの情緒的価値、「石油プラからの脱却、使い捨てプラの削減、カーボンニュートラル」などの社会的価値を踏まえつつ、「ものを大切にする地域」であることが“会津らしさ”の本質であると考えて、ブランド・アイデンティティは「会津発 永く使えるサステナブルプラ・ブランド」と決めました。

ブランド・アイデンティティ決定後はどのような活動をされたのか、教えてください。

この「会津発 永く使えるサステナブルプラ・ブランド」というブランド・アイデンティティのもと、新しい商品ブランドが誕生しました。
そのひとつが「なん度も使えて可燃ごみに出せるペコペコしないサトウキビなコップ」、そして、会津の氷のような風合いのサトウキビグラス 「IZ GLASS(アイヅグラス)」です。
このグラスは、うっかり落としても割れないので長く使えるのが特徴です。

商品が完成してからは、会津若松市内で地域飲食店とコラボして住民にソフトクリームを提供し、容器を使い捨てない実証実験を実施しました。
容器を返却すると地域通貨で100円が戻る仕組みで、実験では、顧客満足度調査で驚異的なスコアを獲得するなど、極めて高い評価をいただきました。

また、会津若松の小学4年生との産学連携プロジェクトも実施しています。
「サトウキビなコップ」でスイーツを堪能していただいて、コップは持ち帰って家庭内で再利用していただくという取り組みで、この模様はテレビでも紹介されました。

売上高1万2,500%達成 今後は海外輸出を視野に

ブランディングの成果を教えてください。

まず、商品開発や営業、マーケティングまで一貫したインターナルブランディングを戦略的に行った結果、社内意識が向上しました。

そして売上高ですが、ブランディング前の2023年に6万円だった売上高は、2025年には750万円となり、1万2,500%を記録しました。

また、パブリシティ効果としては、テレ朝や日経新聞など多数のメディアで紹介され、信頼性やブランド価値の向上につながりました。
さらに、著名クリエイターが審査員に名を連ねている「ふくしまベストデザインコンペティション」では、小山薫堂審査委員長をはじめとする審査委員から絶賛されて満票を獲得し、総合グランプリとプロダクト部門ゴールドのダブル受賞を果たしたほか、2025年度のグッドデザイン賞も受賞しています。

それ以外の成果としては、慶応義塾大学大学院での曽根社長の講演も実現し、教授や学生から絶賛されました。

また、慶應の卒業生1万人以上が集う連合三田会大会で日本酒の器として採用されたほか、読売ジャイアンツとのコラボも実現して、商品が完売したんです。

さらに、ホテルメトロポリタン エドモンドでは「IZ GLASS」が全客室に導入され、星野リゾート磐梯山温泉ホテルではPLAの盃で日本酒が提供されています。

ザ・リッツ・カールトン日光とのコラボレーションも実現し、大阪万博で「IZ GLASS」が使用されるなど、BtoBを中心に現在、急激な需要増が生まれているという状況です。

今後の展望を教えてください。

今後は、BtoCでも「IZ EARTH」を広げていくことを構想しています。
それとともに、脱プラ意識の高いEUや北米への海外輸出も目指していきたいと思っています。

 

※掲載の記事は2025年12月時点の内容です。
掲載内容が変更となっている場合がございますので、ご了承ください。
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