本書を選択した理由は?
フランス人著者のブランド論
今回紹介する本は、『ブランドマーケティングの再創造―21世紀が体験する新たなリアル』(J.-N.カプフェレ著、東洋経済新報社)です。この本を選んだ理由のひとつは、著者のカプフェレ氏がフランスのご出身ということです。カプフェレはもともと米国ノースウェスタン大学で博士学位を取り、その後フランスに戻ってHECという非常に格の高い大学院でブランド論の教授になった人。そこで、今まで取り上げてきたアーカー先生やケラー先生と違う、アメリカ以外の人が書いたブランド論を読んだらどうか、と考えました。また、この本は現地で2000年に出版され、20世紀から21世紀にかけてブランドがどう変わったのかを中心に論じようとされていますので、20世紀と21世紀の違いを見るうえで役に立つのではないかと思ったことも選択した理由です。フランス的なエッセイのように書かれた部分もあり、一方でアメリカ的に実証的な研究を中心に書かれている部分もあるなど、アメリカ的なものとヨーロッパ的なものが入り混じっているのも本書の特徴かもしれません。