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どんなものでもブランドにできる!
 「ブランドって何?」と聞かれて、誰もが思い浮かべるのは、iPhone、トヨタ、Google、ユニクロ、セブン-イレブンなどの大企業が提供する商品やサービスでしょう。しかし、どこにでもある、なんでもないもの、とてもブランドになんかなりそうにないものでも、ブランドにすることは可能です。
 阪本の周囲では、軍手、タオル、キャンドル、印鑑、クリーニング店、保育園……。まさに、「こんなもの誰が買うの?」と言いたくなるような、ごくフツーの商品やサービスが、確かなブランドに育っています。
 では「ブランドになる」「ブランドにならない」を分けるものは何でしょうか。
それは、「世界観」と「共感」と「熱」です。
 1人1台スマホを持ち、24時間つながりっぱなしの時代。ものすごく狭いターゲットの、マニアックな商品でも、1人のお客様にしっかりと届けば、共感ウィルスが、エコシステム(ビジネスの生態系)を通じて、無限に拡大していくのです。その秘訣について、阪本の実践例を元に、お話しましょう。

今年も、ブランディング事例コンテストの大賞・準大賞が決まりました!ブランド・マネージャーや現場担当者による事例発表は見逃せません!優秀な事例との出会いがあなたのビジネスに刺激をもたらすかも!?

  • 大賞&中小企業特別賞:株式会社石井事務機センター(岡山県)
    ブランド・マネージャー:株式会社ファーストデコ 扇野 睦巳
    ※「中小企業特別賞」は、後援をいただいている中小企業庁長官が交付する賞で、優れたブランディング事例と認められた中小企業に贈られます。
  • 準大賞:佐々木慎太郎行政書士事務所(宮城県)
    ブランド・マネージャー:コアラス 野村 佳生
  • 優秀賞:別所温泉中松屋旅館(長野県)
    ブランド・マネージャー:株式会社ウェブエイト 伏見 由紀
  • 優秀賞:家づくり工房ちゅうぶ(長野県)
    ブランド・マネージャー:株式会社ウェブエイト 今関 尚子

100年以上続くこれまでの会社の歩みを振り返りながら、新たな理念を見い出し、働き方にまで及ぶブランディングに成功。

岡山県に本社を構える事務機・事務用品・オフィス家具の販売を行う同社は、社員数29名、創業は明治44年という歴史ある企業です。2015年に4代目として社長に就任した石井聖博(まさひろ)さんは、リーマンショック直後の債務超過の状況から脱却すべく、同業他社と差別化するための新たなビジネスモデルの構築に悩んでいました。
 ブランド・マネージャーの扇野睦巳(おおぎのむつみ)さんに相談があったのは4代目の就任直後の2015年秋。100年を超える歴史を紐解き、創業の精神を振り返り、事業ドメインの変遷を辿り、時代とともに変化してきたこと、逆に変わらず提供し続けてきた価値とを棚卸して整理しました。
 ブランディングメンバーであった若手女性社員の病気療養をきっかけに、真の経営理念に巡り会い、社長以下ブランディングチームの方向性が一気に合わさっていきました。結果、明確なブランド・アイデンティティが見いだされ、その後のブランド要素の設計まで数か月で行いました。
 2016年年始からすぐに、ブランド・アイデンティティに則ったブランド要素の設計から、そのブランド要素をふんだんに活用した自社オフィスのリノベーションを実施。「ワクスマ」と名付けられた新規事業ブランドの核となるライブオフィスは、これまでの事務機販売業では珍しい情緒的価値を生み出しています。
 ブランディング開始からわずか1年後には、総務省の「テレワーク先駆者百選」(2016)に選出。次世代へ繋げるための新卒採用も成功し、2017年には岡山県内の入社したい企業ランキングで12位を獲得するなど、働き方改革にまで及ぶ改善プロセス、成果ともに優れていることから、大賞に選ばれました。

弱みだと思っていた「若さ」をブランド・アイデンティティに。ブランディングの前後では売上が5倍以上に変わった。

行政書士の資格を取って2年に満たなかった佐々木慎太郎さんは、2015年当時、建設業・産廃業に関わる行政申請を行っていました。ほとんどの案件は先輩行政書士事務所のサポートや紹介で、年齢が若いこと、経験が少ないことから自信もなく、将来に不安を感じていたそうです。
そんな中、ホームページのリニューアルを依頼したいとブランド・マネージャーの野村佳生(よしき)さんの元に相談に訪れます。見栄えの良いホームページを用意すれば、きっと相談も増え、直接の依頼も増えるはず…。そう信じていた佐々木さんでしたが、野村さんから士業としての「強み」や同業他者との「独自性」を聞かれても明確な返答ができなかったそうです。そこで、ホームページリニューアルの前に、ブランディングをイチから構築することになったのです。
マクロ分析から見出したドローンの飛行申請。弱みだと思っていた「若さ」を強みに転換させたブランド・アイデンティティ。そのブランド・アイデンティティを効果的に伝えるためのビジュアルツールなど、個人事務所であることと若さからくるバイタリティで、スピード感と粘り強さの二人三脚で徐々に効果を上げていきます。
集客に困っていた事が嘘のように、現在では直接案件の数も増え、全国からの相談や、顧問契約も実現しています。ブランディング前後の比較では売り上げが5倍以上。ドローンの飛行申請では国内の行政書士でも5本の指には入るだろう実績を上げています。
 DMM.com本社で行われたドローン飛行申請超会議に登壇したり、(社)日本ドローンレース協会(JDRA)の顧問行政書士を担当。ブルーイノベーション(株)とSoftBankC&S(株)が協業し提供している「SORAPASS」からの飛行申請代行を行うなど、独自性と第三者からの評価実績が認められ、準大賞に選ばれました。

優秀賞:別所温泉中松屋旅館(長野県)

ブランド・マネージャー
株式会社ウェブエイト 伏見 由紀

長野県上田市にある信州最古の温泉地別所。中松屋は、そんな別所温泉で江戸享保時代から続く、創業280年の老舗旅館です。温泉地全体の客離れから、老舗旅館が相次いで倒産する中、中松屋も2011年には経営再建を行いました。その中で就任したのが現在の支配人である内藤武信さん。ウェブサイトのリニューアルから始まった相談は、旅館全体のブランディングへと発展し、従業員を巻き込んだインターナルブランディングへ。当たり前と思っていたリソースに差別化ポイントを見出し、従業員の意識変革から館内の大改装などを行い、今では口コミサイトで上位ランクに名を連ねるまでになりました。緻密な市場調査や従業員への浸透研修など、その実行力の高さを評価され、優秀賞に選ばれました。

優秀賞:家づくり工房ちゅうぶ(長野県)

ブランド・マネージャー
株式会社ウェブエイト 今関 尚子

「家づくり工房ちゅうぶ」は長野県で創業72年を迎える建設会社 中部建設工業株式会社の建築部門のサービス名です。圧倒的な男性社会である建設業界において、同社の建築部門は女性のみ。古くから公共事業の請負で成り立ってきた同社において、個人向け住宅を提供する建築部は売上面でも苦しい立場にありました。一方年々減少する公共事業のあおりを受け、会社全体の業績は右肩下がり。経営コンサルタントと契約すると同時に、建築部門のブランディングを行うことになりました。「ブランドの育成と自走」、そして「ブランドの継続」をテーマに、顧客ターゲットの見直し、社長へのプレゼン、社内浸透、部門横断的な協力体制構築など、これまででは考えられなかった変化が起こり、肩身の狭かった建築部が、今では会社の成長をけん引する花形部門へと生まれ変わりました。女性の働きやすさ改革の推進を進めるなど、キーマンの意識改革から組織レベルでの改革へと波及させた影響力の強さが評価され、優秀賞に選ばれました。

一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会では、ブランド構築を体系立てたフレームワークをお伝えすると共に、毎年数多くのブランド・マネージャーを育成しています。本シンポジウムは、現場で活躍するブランド・マネージャーやこれからブランドを学びたいと考えている方々に、ブランド知識を深めていただくためのものです。実際の現場で行われているブランディング事例を紹介したり、有識者によるトークセッションもあり、自由な意見の交換から新しい発想が生まれることが期待されます。

詳細・料金

日時
2017年11月18日[土] 13:00~17:30(開場12:30)
会場
●東京国際フォーラム ホールD7
主催
● 一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会