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一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー >相山 大輔氏 Vol.2

企業戦略を成功に導くインターナルコミュニケーション – 後編

相山 大輔氏 Vol.2 株式会社産業編集センター はたらくよろこび研究所 企画営業部 部長

聞き手:一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 代表理事 岩本俊幸

【相山 大輔氏のプロフィール】

日本パブリックリレーションズ協会認定 PRプランナー。1998年、産業編集センターに入社。ライターとして10年にわたり、社内広報媒体の企画立案や取材に携わる。現在はディレクターとして、さまざまな企業の広報戦略立案をサポート。これまでに手がけた企業数は200社を超える。経団連主催のセミナーや企業研究会などで多数の講演実績を持つ。



社内外のブランディングを同時に行なうことで、ミラー効果を狙える

聞き手

実際にインターナルブランディングの支援をするときには、どのようなところから始めるのですか。


相山

まずは、現状調査から始めます。現在の課題感やコミュニケーションの目的についてお訊きします。
次に、今のコミュニケーションの状況やコミュニケーションの接点を洗い出します。広報媒体や社内イベント、ブランドに関する特別な取り組みなどです。その後で、トップの意向やブランド推進部の意向、来年以降の戦略などをお訊きします。
そのうえで、我々がコミュニケーション計画を作り、その中からマッチする取り組みを実行していくのです。たとえば、某企業では、社内のコミュニケーションがうまくいっていないという相談を受けました。そこで、一部社員の方にグループインタビューを行ない、コミュニケーションのボトルネック調査を行いました。本音を出してもらうためのいろいろなテクニックを使って、コミュニケーションの障害になっているところを洗い出し、それを元に、全社員に裏付けアンケートを行ないました。
結果は問題がある一方、非常に有効なコミュニケーションが実在していることも分かりました。たとえば、ほぼ全員が、自分たちが勤める企業のことが好きという結果だったり。結果、その企業へは、弊社からはインターナルブランディングのためにも、外向けのブランディングを行うことを提案しました。つまり、外向けのCMや広告を出すことで、社員にも良い影響があるということです。CMを見た社員は「あんなことを言っている、自分もちゃんと行動しよう」と考えます。一方、お客さんはCMどおりのことを期待して来てみたら、社員がちゃんと意識して行動しているのを見て安心します。その倍増効果、ミラー効果を狙ったのです。「今回は社外、次は社内」という順番よりも、同時に実行した方が効果的な場合があります。



かけ声だけでは動かない インターナルブランディングの成功カギ

聞き手

答えづらい質問かもしれませんが、インターナルブランディングがうまくいかないケースはありますか。


相山

会社がブランド化を進めようとしても、それを評価する軸がないと進まないんです。たとえば、「これからは挑戦する企業で行く」と表明しても、今までと同じように堅実さが評価されるとしたら、社員は動かないですよ。また、経営企画と人事、広報やブランド推進などのコミュニケーション部門が連携していない会社は、途中で失速しがちです。会社の文化が変わるところまで持って行くためには、人事と経営企画とコミュニケーション部門が連携していることが条件です。


聞き手

逆に評価以外で、インターナルコミュニケーションがうまくいく会社の共通ポイントはありますか。


相山

まず、トップがコミュニケーションの重要性を理解している会社は、成功の確率が上がります。もう1つは、運営の実行部隊に持続力があるかどうかですね。定期発行物があるなら定期的に出す、伝えるべきことをコツコツと出す必要があります。時折、社員が見ないからと、社員向けWebを閉じてしまったり、更新を止めてしまうケースがあります。しかし、社内向けのWebはしっかり動線設計などを施しながら3年粘れば盛り上がるんです。1年でWebの成果を見てはいけません。


「自分ゴト化」しなければ進まない

聞き手

会社の企業理念やビジョン、ミッションを浸透させることに、インターナルコミュニケーションが必要だと思います。御社の場合、この3つをどう位置づけるのでしょうか。


相山

そこがすごく難しい問題で、ビジョンや理念やバリューといった言葉だけがたくさんあって、整理できずに困っている企業もあります。その場合は、整理するところから始めます。逆に整理ができていて、自社の理念体系はこれだと明確になっているケースもあります。その場合は、いかに実行化させるかが鍵になります。
そこで弊社が今一番力を入れていることは当事者意識を持ってもらうことです。言い換えると「自分ゴト化」。ブランドもバリューも経営戦略も、社員にとっては他人ゴトになりがちです。その他人ゴトを自分ゴト化してもらい、実行してもらうことがブランドや理念などの抽象概念を推進するうえで最大のカギとなります。「ブランドを体現しましょう」と口で言うのではなく、会社側は体現するための方法を社員に与えることが必要です。社員の服装や言葉遣い、態度、決断の基準、それらすべてがブランドになっていきます。我々がコミュニケーションするのは、最終的に行動してもらうことが目的です。change behavior、社員の行動変革に及ばなければならないと思っています。そのために社員がやらなければいけないことを具体的に説明していくのです。



グローバル企業ではビジョンが明確

聞き手

外資系や日本のグローバル企業で、インターナルコミュニケーションについての違いを感じることはありますか。


相山

いわゆるグローバル企業の方がビジョナリーです。バリューやビジョンが明確になっているケースが多いです。


聞き手

コミュニケーションの方法に違いはありますか。


相山

まず、ビジョンやバリュー、ブランドといった概念の浸透に対して、あまり抵抗がない印象があります。海外の方が、アワードやワークショップなど、社内イベントにも積極的な傾向が見られます。
当然、グローバル企業で働く社員は多様性に富んでいるため、打ち出す施策が非常にオープンで分かりやすい傾向があります。分かりやすい旗印を示し、多くの社員の1つの方向に導こうという姿勢が見受けられます。


今後の方向性

聞き手

今後、御社はどういう方向に向かって行くのでしょうか。


相山

弊社のスローガンは、「はたらく人にはたらくよろこびを」です。その言葉にある通り、働く皆さんが仕事のよろこびを実感してもらいつつ、企業の役に立てればと思っています。今は働くことに関するリスクや厄介さばかりが語られがちで、面白みや醍醐味があまり語られていない気がしています。もっと仕事の魅力について自由闊達にコミュニケーションできる機会や媒体をたくさん提供していきたいと考えています。
本気のコミュニケーションを交わしながら、より積極的に仕事に臨めるようになればと切に思っています。そうした機会づくりにこれからも寄与していきたいと思います。


聞き手

手法ではなく想いを、もっと深めていこうということですね。良い話をたくさんいただきました。ありがとうございます。



※掲載の記事は2017年8月時点の内容です。
掲載内容が変更となっている場合がございますので、ご了承ください。