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一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 > スペシャルインタビュー >関 幸子氏 Vol.2

地方創生のブランディング -地方創生にブランディングは有効か – 後編

関 幸子氏 Vol.2 株式会社ローカルファースト研究所 代表取締役

聞き手:一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 代表理事 岩本俊幸

【関 幸子氏のプロフィール】

三鷹市役所、財団法人まちみらい千代田にて、30年間地方自治に携わる。その間、基本計画、女性行動計画、産業振興計画、次世代育成計画策定、ビジネス支援図書館の推進に携わる。加えて、三鷹市では中心市街地活性化法のTMOとなる株式会社まちづくり三鷹市SOHO CITY みたか構想を推進し、日本で最初の公設公営のインキュベーション「三鷹産業プラザ」など4つの施設を整備。また秋葉原タウンマネージメント株式会社を設立し、都心のエリアマネージメントを実践。2009年10月から10年9月まで、内閣府企業再生支援機構担当室 政策企画調査官として、地域再生にも携わる。
地域産業政策、地域の資源を使って新しい産業を創出する専門家。

一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会2級資格取得者



予想以上に大胆な政府の動きは、危機意識のあらわれ

聞き手

地方創生の動きは現状どうなっているのでしょうか。


2014年12月に、地方創生法(「まち・ひと・しごと創生法」)が制定されました。実際には、2014年の夏くらいから国は準備を始めていたのです。人口減少はそれ以前から問題が指摘されており、国はいろいろな政策を実施してきましたが、効果が出ませんでした。ですから今回の地方創生法は、背水の陣で作った法律です。地域に任せておけないと国が主導へと大きく方向転換を図ったわけです。


聞き手

この動きについて、関さんは以前から予測されていましたか?


予測はしていましたが、それ以上に国が思い切りましたね。日本創生会議で「地方消滅」という言葉が出て、「約1700ある日本の自治体のうち、約半分は人口がゼロになりそうだ」という衝撃的な報告書を出しました。あの報告書で、危機的な状況であるという世論が形成されました。それに合わせて、国も人口減少対策に本気で動かざるを得なかったと思います。これからは地域や普通の人が予想している以上に、国は大胆に動きます。例えば、選挙年齢の18歳への年齢引き下げは、あっという間に法律を改正して、実施してしまったじゃないですか。


聞き手

確かに、あれはすごく早かったですね。それだけ危機意識が強いということですか?


はい。今の政府は、国民が考えている以上に日本の課題を把握しており危機的な状況にあることがよく分かっているので、早く大胆に手を打ってくると思いますよ。


聞き手

地方創生法が施行されてから1年以上経ちますが、動きはどのような感じですか。


とにかく国の指導力がすごくて、地方自治体はついていくことが精いっぱいの状況です。


聞き手

地方自治体にも危機感はあるということですか?


危機感はあります。


聞き手

お話を聞いて、国がどのように動いているかが分かりました。


日本政府の各省庁のキャリアは、やはり優秀です。それを政府が指導力を持って動かしています。今後の動きも素早いでしょう。自治体にもしょっちゅう言っていることですが、「今ある制度や法律が当たり前だ」とは思わないことです。明日になったら急に制度が変わることもあり得ます。制度が変わるときには摩擦が起きて、既得権益のないところが市場に出てくることができます。ですから、民間にもチャンスが生まれます。例えば、再生可能エネルギー産業がそうでした。今まで電力会社とガス会社以外は、エネルギーが作れませんでした。しかし東日本大震災以降、原発が止まってしまい、エネルギーがないので再生可能エネルギー法ができて、誰でもエネルギーを作って良いことになりました。エネルギーは買うものから売るものになったのです。そこに、新たに大きな市場が一気に生まれたわけです。これからも予想外の産業が出てくると思います。いろいろと規制緩和が出てくるし、世界も動いています。


聞き手

公共団体は、民間からのアプローチを求めているのでしょうか。


そうですね。特に、農業はこれからブランディングが必要です。私としては、民間の方からもっと公共団体に近づいてもらいたいと思っています。公共団体は民間に近づこうとしても、皆さんの動きが見えていません。


聞き手

公共団体に近づく方法は何かありますか。


広く企業のことをお知らせできるダイレクトメールもいいですし、無料のセミナーを開催することでもいいと思います。注意することは、あまり営業の匂いをさせないことです。


聞き手

売り込みではなく、公共団体と一緒に活動する感じですね。


そうです。公共団体の職員は非常にシャイですから、3回くらい様子を見てからでないと問い合わせをするなどの行動に移りません。


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何かのきっかけで人は生まれる

聞き手

最後にお聞きしますが、ローカルファースト研究所さんは、今後どのような方向を目指しているのでしょうか。


地方創生は、会社を興したときのポリシーそのものです。お話ししたように、現場に入って、現場の地域にある宝を探して磨いていきたいと思います。それに加えて、これからやりたいことは「人材育成」です。私たちは、人は“生まれる”と考えています。


聞き手

「発掘」するのではなく「生み出す」という意味でしょうか?


そうなのですが、少しニュアンスが異なるんです。産業政策研究会で、関 満博先生から「自治体が稼ぐ時代が必ず来るから備えろ」と言われて驚かされました。あの驚きは教えてもらったからではなくて、気づかされたことから生まれた驚きです。人が育つためには、何か内発的で自発的な変化が起きる必要があるんです。その瞬間人は変わる、“生まれる”んですよ。そのきっかけは、人によって違います。出会いや研修であったり、映画であったり、なんでもいいと思います。そのきっかけをいろいろなところに作ってあげたいと思っています。例えば、6月に行ったセミナーでは、私はパネラーの人選やコーディネーターも務めました。実力者ばかりを集め、シンポジウムで結構厳しいことも聞いたんですね。そのときは会場全体が、「学びたい」「発見がある」と良い雰囲気に包まれて、私としてはやった甲斐がありました。


聞き手

環境を整えてあげる、ということですか?


そうです。必ず何かで開眼する日があります。すると、その日からもう違う人になっているんですね。何かで「気づいた」という人をたくさん作りたいと考えています。さらに、これから気づいた人達のために、毎月1回、「地方創生フォーラム 人材育成講座」を開催します。気づいた人が、ステップアップしていけるような手法を教えたいです。気づき方は人それぞれに違いますが、そこから先は手法が必要です。この講座では、0の人が100点にはならなくても、60点くらいにはなれることを目指します。そのあとは自分で実践してみて、失敗したら、そこからまた学んでいくしかないでしょう。市場は難しいので、先生の言うとおりにやっていても、うまくはいきません。それに加えて、成功するためには手法だけではなく、時期の問題も絡んできます。時代が変わると手法が合っていても効果が出ないことがあるからです。


聞き手

関さんのご経歴でもタイミングが良かったり、ちょっと早かったりしたことがありましたよね。


はい。三鷹市のときは、時代の変化を人よりも少し前に気づいていました。ですから、すごく良かったのです。ちょうど良いタイミングで、東京都が勉強会を開催してくれました。そのように運をいただくこともあり、また「ああ、困ったな、どうしようかな」と思ったときに法律が変わることもありました。「渡りに船とは、このことだ」というくらい順調にいける時代もあるし、逆に仕込んでおいても動かない時期もあります。


聞き手

今日のお話を聞いている中で、各地域がいかに自立するか、個々もいかに自主性を出していくかということが、最終的に活性化につながるのだろうと感じました。本日は、ありがとうございました。


※掲載の記事は2017年11月時点の内容です。
掲載内容が変更となっている場合がございますので、ご了承ください。